2025年4月19日,都内のJ:COMホール八王子にて,VTuber/バーチャルライバーグループ「にじさんじ」に所属する樋口 楓さんのライブイベント「Higuchi Kaede 2024-2025 LIVE Tour “BREAKING” in Tokyo」が開催された。台湾・東京の2公演からなるツアーは,2024年11月に台北で開幕し,本公演が国内初のステージとなる。
本稿では,多彩な演出やセットリストで観客を魅了し,大盛況のうちに幕を閉じたライブの様子をレポートする。なお,本ライブの配信視聴チケットは5月5日23:59まで購入可能だ。視聴期間は5月6日23:59までとなっている。以下,ライブ内容のネタバレを含むため,これから視聴予定の人は注意してほしい。
樋口さんはVR関西に住む高校2年生で,先日単独ライブを実施した月ノ美兎さんと同じく,にじさんじ発足時のメンバー「元1期生」のひとりである。2020年1月にはLantisよりメジャーデビューを果たし,リリースした楽曲は数々のドラマやアニメ主題歌にも起用されるなど,今注目のライバーだ。
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2025年4月18日,VTuberグループ「にじさんじ」所属,月ノ美兎さんの2ndワンマンライブ「Paper Rabbit」が開催された。約3年半ぶりの単独ステージは,サプライズ満載,リスナー愛たっぷりの感動の夜に。本稿では,多彩な演出と熱いパフォーマンスに包まれたライブの模様をレポートする。
[2025/04/21 14:30]
開演時間になると会場が暗転し,映像が映し出される。飛行機が着陸し,スーツケースを引く樋口さんの姿からは,2024年11月に行われた台北公演とのつながりを感じさせられた。
1曲目に披露したのは「アイムホーム!」。スクリーンには台北で撮影された写真が次々と投影される。曲タイトルや彼女の「ただいま〜! 東京!」という言葉が,先ほどの映像とリンクしているようにも思えた。
“恋愛ゲーム”をモチーフにした映像演出が目を引いた「Feel it now」は,2025年3月に「にじさんじ」を卒業した瀬戸美夜子さんが作詞を手がけた楽曲だ。アップテンポな曲調が特徴となっている。
制服からアーティスト衣装へと着替えた樋口さんは,続いてカッコ良さが際立つ「恋すな」を披露。さらに,「野球讃歌」ではステージ上でバッティングを披露し,ボールが客席に飛んでくるというサプライズ演出で会場を沸かせた。「VR関西圏立高校最高〜!」と叫ぶ樋口さんに,にじさんじ恒例の「にじさんじ甲子園」で監督を務めてきた彼女の活躍を思い出したファンも多かっただろう。
「でろーんでろーん こんでろーん!」とおなじみの挨拶から始まったMCでは,「『恋すな』を生バンドで歌えてうれしかった」と喜びを語った。また,今回のセットリストは台北公演とはかなり違っているとのことで,変化を楽しみにしているファンへの配慮もうかがえた。
オンラインRPG「マビノギ」とのコラボ楽曲「MML」,「アンサーソング」と続き,樋口さんのまっすぐな歌声が会場を包み込む。
ここからはゲストとのコラボがスタート。最初に登場したのは,「NIJISANJI EN」所属のエナー・アールウェットさん。一緒に桜を見に行ったこともあるという2人が,この季節にぴったりな「桜の季節」(フジファブリックカバー)をデュエットした。
ゲストたちは歌唱後にそれぞれ朗読を披露し,楽曲と朗読が物語のようにつながっていく。今回は“星空”をテーマにしたストーリーが展開された。
同じユニット所属の周央サンゴさんとは「東京」(くるりカバー)を熱唱,見事なハモリも披露した。「下北以上 原宿未満」(藤井フミヤカバー)では,文野 環さんとのかわいらしいダンスも見どころだった。
同期であり交流も深い月ノ美兎さんとは,「東京」(SUPER BEAVERカバー)を披露。バーチャル東京出身の月ノさんと歌うにはぴったりな選曲だった。
月ノさんの朗読後,スクリーンには夜空が広がり,流れ星が現れる。星空をバックに歌い上げたのは,「東京」(Saucy Dogカバー)と「mimi」だ。「mimi」ではバーチャルならではの雪が降り積もる演出も加わり,幻想的な空間が演出された。
続いて披露されたのは,ファンから贈られた楽曲たち。「放課後Memory」「夕暮れリフレイン」など,ファンメイド楽曲5曲をメドレー形式で歌い上げ,ファンを魅了した。
歌唱後にはゲストたちも再びステージに登場し,和気あいあいとした賑やかなトークタイムが繰り広げられた。初のリアルライブ出演となった文野さんは,「ダンス練習をめちゃくちゃ頑張った」と笑顔でコメント。このほか,ゲスト選出の理由についても語られ,「やりたかったことができた」とあらためて感謝の気持ちを伝えていた。
トークがひと段落したあと,出演者全員で「にじさんじの“春”といえば?」ということで「Budding!」を披露した。2024年11月に発売された「HE4RT BE4T!」に収録された“四季”をテーマにした楽曲だ。「Take My Chance」ではライブグッズのマフラータオルを振り回し,会場の熱気も最高潮に!
続いて,ゲストたちからそれぞれ感想が寄せられた。エナーさんは英語と日本語を織り交ぜながら挨拶をし,周央さんは「楓さんのことがめっちゃ好きになった!」と笑顔を見せた。文野さんは,「ライブに出たらやってみたかった」というコール&レスポンスで会場を盛り上げる。月ノさんは「セトリに“東京”がつく曲が多かった」と語り,普段のライブではあまり見られない特色にも触れていた。
ライブはいよいよ終盤へ。ラストを飾ったのは,「Reset and…」と「キュンリアス」の2曲だった。生バンドの演奏と樋口さんの歌声が見事に調和し,“樋口 楓”らしさを存分に味わえる公演となった。
出演者たちが一度降壇し,ライブは終了……かと思われたが,アンコールに応えて樋口さんが再びステージに姿を見せた。ライブグッズのTシャツを着用し,「こんな良い時間に何してんねん!」を披露。ノリの良いこの楽曲は,振り付け動画も公開されており,まさにライブ映えする一曲となった。
歌唱後のMCでは,告知コーナーが実施された。ライブグッズの販売やLINEスタンプの発売に加え,新曲「CALLING†」が2025年7月放送開始のアニメ「転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます」 第2期のオープニング主題歌に決定したことも発表された。このうれしいニュースに,樋口さんも満面の笑みを見せていた。
日頃の応援に感謝を述べたあと,最後に歌い上げたのは「MARBLE」。客席からは「ありがと〜!」と感謝の声が飛び交い,大盛況のうちにライブは幕を閉じた。