楽天モバイルが23日、「Rakuten最強衛星サービス」を2026年第4四半期に開始すると発表した。同日、都内で開催された説明会を終えた三木谷浩史代表取締役会長が囲み取材に応じた。楽天モバイルCTOのシャラッド・スリオアストーア氏も同席した。なお、プレゼンテーションの詳細は、別記事でお届けする。
三木谷氏
プレゼンが早く進みすぎて、衛星とタイミングが合うか、ちょっとドキドキしながらやりました。(発表会場でライブデモが成功し)繋がってよかった。いや、ちょっとドキドキしながらやってました。
――正式サービスよりもだいぶ前のタイミングでの発表となった。
三木谷氏
これは結構すごいことなんですよ。やっぱりブロードバンドでビデオ会議が、普通のAndroidスマホでできてしまう。そこに向かって進んでいきますよ、ということになります。
やっぱり安否確認も含めて、法人での需要が結構高いなというふうに思っています。今、一番重要なメッセージとして「サービスインをする」ということはもちろんあるんですが、「技術的にちゃんと成功した」ことが、皆さんへの大きなメッセージ。あとは衛星を上げればいいだけという話になったということです。
――衛星を打ち上げることもハードルがあるのでは?
三木谷氏
いや、それは量産ラインをもう作ってあって。あとは、どんどん打ち上げていくだけ。1回で、5~6基かな。製造工程もできていて、今の第1バージョンの衛星である「ブルーバード1」のあと、さらに対応周波数が広いものなど、面白いことになるんじゃないかなと思っています。
――(楽天モバイルを支える、完全仮想化ネットワークのソフトウェアを開発、販売する)楽天シンフォニーと同じような役割を果たす存在は作るのか?
三木谷氏
スターリンクの場合は、いわばスポットライトのように地上でエリアを作り、次から次へ衛星がやってきます。端末はハンドオーバーで繋がる衛星が切り替わります。極端に例えれば、時速1000kmで地上を走り抜けているようなものです。
一方、ASTに搭載されるものはリピーター。基地局機能は地上にあります。ASTの衛星はいわば鏡の役割を果たして、地上からの通信内容をまた地上へ反射するようなイメージ。リピーターが動いても(リピーター側のIDが変わらず)ハンドオーバーしない。これが技術的に違う。だから機器も軽いんです。
――地上局の数は?
三木谷氏
3カ所になります。
――全ユーザーが繋がる?
三木谷氏
何百万人も使えるわけではないんですけども、周波数が増えれば、その分、多くの方が使えます。
テキストメッセージだけなら、たくさん使えますし、動画サービスなら料金を少しいただかなくちゃいけない、とか。
――第2弾、第3弾もあるとのことだが。
スリオアストーア氏
たとえばビーム(衛星からの電波)のサイズが大きくなります。
三木谷氏
トランスポンダー(送受信機)の機能が変わるということです。
――サービス内容はどうするのか? 料金の設定もあるが。
三木谷氏
どうしよう? どうする? どうしましょうかね(笑)。
2026年なので(まだ時間がある)……災害の時には楽天モバイルユーザー以外にも使えるようにできたらいいなっていうのはまず思ってます。
みんながYouTubeへアクセスするのはダメなので(通信容量に限りがある)、その時はテキストメッセージしか使えませんよとなるかもしれません。ユーザーが少なければブロードバンドでフルで使えるとか。
ソフトウェア制御も自分たちが権利持ってるんです。スターリンクは、イーロン・マスクが全部握ってるじゃないですか? いわば(ASTの衛星は)鏡が飛んでいるだけ。我々が地上局のソフトウェアも含めて、全てのソフトウェアの制御の権利を我々が持ってるということですよね。
――ASTの仕組みを取り入れる海外の通信事業者は、楽天シンフォニーを採用せずとも大丈夫か。
三木谷氏
できればシンフォニーを採用してほしいといったお願いはしていますが、たとえばAT&T、ベライゾン、それぞれの基地局がある。現状の仕組みを使いたいならそうなる。
ただ、ソフトウェアの制御でやってることによる柔軟性が出てくるので、楽天シンフォニーの優位性は生きるんじゃないかなと思っています。
――そこでも稼げる?
三木谷氏
(冗談めかして)稼ぎたいねぇ。
――ASTが実用化されることで、楽天シンフォニーのO-RANビジネスが加速する?
三木谷氏
そうなりたい。そういう風に狙ってます。
――ASTの立ち上げ当初は楽天だけといった形でしたが、参画する事業者が増えた。ほっとしたのか?
三木谷氏
それはそうです(笑)。とはいえ、私も慎重なので、「本当に動くのか?」と。で、本当に動いちゃったよと。
(今回の実験では)プラチナバンドなので、ある程度、建物内でも繋がります。もちろん(発表会場のような)18階建てとかは無理ですけど。
今回が第1弾、今後の第2弾、第3弾で、どんどん周波数帯が大きくなっていけばいいかなと思っています。面白い展開になるかもしれないです。