楽天グループは5月14日、2025年度第1四半期の連結業績を発表した。
第1四半期の連結売上高は、「インターネットサービス」「フィンテック」「モバイル」の全セグメントで増収。前年同期比では9.6％増の5627億円でとなり、過去最高を計上した。
「楽天カード」における取扱高増、金利上昇を背景とした楽天銀行の増収を受け、フィンテックが好調。インターネットサービスにおける国内ECおよび海外事業の好調に加え、「楽天モバイル」の契約回線数増加が増収に大きく貢献したという。
過去最高売り上げ、連結EBITDAは51.4％増の799億円–営業損失はマイナス3億円
第1四半期の連結Non-GAAPは、前年同期比で251億円の改善となり、営業損失がマイナス3億円、連結EBITDAが51.4％増の799億円で着地した。加えて、「楽天モバイル」単体かつ固定資産税を除くEBITDAは1億200万円となり、四半期黒字化を達成している。
インターネットサービスとフィンテックは増収増益
セグメント別で見ると、インターネットサービスセグメントの売上高は、6.9％増の3055億円、Non-GAAP営業利益は25.8％増の132億円と増収増益。
利用者数の伸長を背景に、「楽天市場」やポイントバックサイト「楽天リーベイツ」などの国内EC流通総額が拡大し、3.0％増の1兆4000万円に推移したという。Non-GAAP営業利益は約10.0％増の243億円だったとしている。
インターナショナル部門では「Rakuten Rewards」が弱含みとなったものの、2024年に発売した電子書籍向けの新端末「Rakuten Kobo」の販売が好調。モバイルメッセージングアプリ「Rakuten Viber」の広告売上も好調で、売上高は2.7％増の4億2950万米ドルとしている。
フィンテックセグメントも、売上高が15.6％増の2236億円、Non-GAAP営業利益は21.7％増の439億円と増収増益。
特に「楽天ペイメント」の取扱高が拡大し、Non-GAAP営業利益は133.2％増の19億円と、営業黒字が大幅に拡大。楽天グループのフィンテックサービスの入口としての役割を強化し、保険販売などの各金融サービスとの連携を加速させているという。
そのほか、「楽天証券」は総合証券口座数が3月時点で1234万口座を突破。売上高は12.3％増の350億円と過去最高を記録した。「楽天銀行」も3月末時点で単体口座数が10.4％増の1683万口座へ拡大、単体預金残高は8.8％増の11兆4000万円を突破するなど、増収増益を達成している。
なお、「楽天カード」はショッピング取扱高が12.8％増の6兆3000万円となった一方で、市場金利上昇による金融費用が増加し、Non-GAAP営業利益は約5.4％減の145億円。ただし、グループ外へのキャッシュアウトの増加は軽微としている。
モバイルはEBITDAベースで黒字–携帯キャリア事業参入以降初
モバイルセグメントでは、楽天モバイルが大幅に損失を改善。売上高が40.7％増の872億円、Non-GAAP営業損失が175億円増のマイナス491億円で、EBITDAベースで202億円増の1億200万円となった。携帯キャリア事業参入以降初の四半期黒字化を達成している。
MNO（B2C）開通数が前年の成長率を上回る16.9％増、ARPUが16円増の2827円と、データARPU、広告売上などで構成するその他ARPUの向上に貢献したという。
説明はほぼAIアバター–「AIを圧倒的に使い倒すAI大国」へ
楽天グループ 代表取締役会長兼社長を務める三木谷浩史氏は、今回の説明会の冒頭で「AI業界は本当に日々進化している。まだ多少不自然な所もあるかもしれないが、近い将来このような形がスタンダードになる可能性もある」と切り出し、本編となる説明部分をAIアバターに任せた。
また、AIアバターを通して約3万人の従業員のうち1万3000人以上が社内向け生成AIツールを日常的に活用していることなどを説明。「AIを圧倒的に使い倒すAI大国として進化させていきたい」（三木谷氏のAIアバター）と話した。
その後の質疑応答では、本人が再度登場。楽天モバイルにおける大きな値上げは考えていないなどの返答に加え、AIについて「少しぎこちなかったが、スクリプトも全部確認している。全て私の発言として問題ない」と話すなど、同社のAI活用をアピールした。
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