遠距離武器の追加により幅広いプレイスタイルを楽しめる
──弓や火炎放射器などの遠距離用の武器が確認できましたが、これらを導入した経緯について教えてください。
チェ氏:
Lies of P本編では近距離攻撃武器が主体でしたが、DLCでは違った面白さを検討した結果、遠~中距離攻撃用の武器を多く追加しました。プレイヤーキャラは2種類の武器を装備してチェンジできるので、近接攻撃武器と組み合わせることで、攻略の幅が大きく広がっています。
──DLCのバトル面において、そのほかにこだわった部分はありますか?
チェ氏:
新たに追加される武器は、従来のものと同様に「刀」と「柄」のパーツに分解できます。そのうえで、本編の武器(刀や柄)との合成ができます。
一方で、Lies of P本編とは違ったギミックが盛り込まれたボスも登場します。本編を遊びこんだ人でも、DLCではプレイスタイルの幅を感じつつ、より手応えのあるバトルを楽しめますよ。
──DLCエリアの入場条件として、「Lies of P本編でチャプター9まで到達」が設定されていますが、これはどういった理由なのでしょうか?
チェ氏:
Lies of P本編はマルチエンディングなので、仮に最後までクリアすることをDLCの入場条件にすると、ストーリー上でつじつまが合わなくなってしまうんです。なので、最終盤の手前であるチャプター9まで進めることを条件にしました。
──これから新たにLies of Pをプレイする人は、チャプター9に到達後、いきなりDLCに行っても構いませんか?
チェ氏:
そのようなプレイでもストーリーは破綻しないようになっています。
ただ、開発チームとしては、いずれかひとつのエンディングを見てから、DLCをプレイするのをオススメしたいですね。
──すでにLies of P本編を最後までクリアしている人は、もう1回プレイする必要はありますか?
チェ氏:
チャプター9までクリアすることで、とあるアイテムを入手しており、それがきっかけでDLCに参加できます。すでにクリア済の人は、当該アイテムを自動的に所持しますので、再プレイは必要ありません。
──メインビジュアルで主人公の後ろに描かれている「レア」について、現在話せることはありますか?
チェ氏:
Lies of P本編をクリアした人ならご存知のとおり、レアは伝説のストーカーという人物です。
今回のDLCでは、彼女がクラットで過去に何が起こったのかを説明してくれる、水先案内人の役割を担っています。本編では存在感が薄かったですが、今回のDLCでは大きくフィーチャーされていて、彼女の魅力もたっぷり感じられますよ。これはぜひ期待してください。
──そもそも、いったいなぜ主人公は過去の世界に行くのですか?
チェ氏:
まさに、それを確認するのがOvertureのメインテーマです(笑)。
──クラット動物園には機械人形が確認できませんでした。たとえば、Lies of Pの本編で、ゼペットが機械人形を作るまでの詳細のプロセスなどが明らかになるのでしょうか?
チェ氏:
それは私も非常に気になりますね(笑)。
DLCを購入せずとも楽しめるボスラッシュモードも追加
──ボスラッシュモード「戦闘の記憶」のアンロック条件について教えてください。
チェ氏:
まず大前提として、「戦闘の記憶」はDLCには含まれず、Lies of P本編のアップデートとして導入されます。
そして、本編やDLCで特定のボスを倒すと、そのモンスターがボスラッシュモードでも挑戦できるようになります。それ以降は、ボスラッシュモードで討伐することで、ワンランク上の難度がアンロックされる仕組みです。
──「戦闘の記憶」を実装するに至った経緯について教えてください。
チェ氏:
Lies of Pはソウルライクですが、発売後のフィードバックを受けると、コアゲーマー以外のプレイヤーも多いことが判明しました。たとえば、主人公のビジュアルやストーリーに興味を抱いて開始したけど、バトルがクリアできなくてもどかしい思いをしたという人も少なくなかったんですよ。
こういったフィードバックを受けて、Lies of P本編で難度調整を行えるようにしたほか、「戦闘の記憶」の難度を複数に分けたんです。たとえば難度1~2なら、本編のアクションが苦手という人でも楽しめるように調整していますよ。
一方で、最高難度の5は、本編を遊びこんだような熟練プレイヤーでも相当手強いはずです。これらの攻略を通じて、シビアなバトルや、ゲーム内で熟達する楽しさや達成感を、あらためて感じてもらいたいですね。
ソウルライクゲームのなかでも異彩を放つ『Lies of P』
──今回のDLCは開発期間が2年ほど掛かっており、終盤に差し掛かっていると思いますが、現在の手応えはいかがですか?
チェ氏:
Lies of Pの発売後に、たくさんのフィードバックを受けました。それを受けて、ああすればよかった、こうすればよかった、といった数多くの反省がありました。今回のDLCでは、これまで受けたフィードバックを踏まえて、Lies of P本編とは違った面白さを盛り込めたと思います。
今後もフィードバックを積極的に吸収し、より良いゲームを作っていきたいですね。
──現在、Lies of Pの続編を開発しているという海外報道がありました。これに関して、なにか話せることはありますか?
チェ氏:
現在言えることは、NEOWIZ社内の開発スタジオであるROUND8が、Lies of Pの次回作を準備中であることです。ですが、それがLies of Pの続編なのか、Overtureの次のDLCなのか、あるいは完全新規のIPなのかは、現時点では決まっていません。さまざまな方向性を視野に入れています。
──ソウルライクゲームの進化は、かなり高いところまで到達している印象です。フロム・ソフトウェアはマルチプレイを取り入れるなど、違った方向性を模索しているようにも見えますが、このジャンルの進化の余地についてはどのように考えていますか?
チェ氏:
ソウルライク、つまり高難度のバトルを乗り越える達成感を重視したゲームは、広く浸透していますね。そういったなか、Lies of Pでは世界観やストーリーにも注力しており、世界中にあるソウルライクゲームのなかで異彩を放っていると思います。
この魅力を、多くの人が楽しめるための方向性は、まだまだ進化の余地があると感じています。
──それは、ソウルライクのジャンルの間口を広げる、という意味でしょうか?
チェ氏:
その通りです。
難度調整を取り入れた背景にも、身近な動物園をDLCのテーマとして取り入れたことにも、そのことが言えるでしょう。

──韓国産のソウルライクゲームだと、最近ではNexonの『The First Berserker: Khazan』の評価も高いですが、クリエイターとしてどのように受け止めていますか?
チェ氏:
国がどうこうというよりは、新しい良質なソウルライクが登場したという意味で、一人のゲーマーとして歓迎しています。
同時にクリエイターとしても、良い刺激を受けてますよ。
──最後に、Overtureに注目している読者にメッセージをお願いします。
チェ氏:
私は小さい頃から日本のゲームを遊んで育ちました。
そういった日本に向けて、Lies of Pをリリースできたのは大変に光栄で、さまざまなフィードバックを送ってくれたことにも感謝しています。
今回のOvertureは本編以上に一所懸命に開発しており、ソウルライクゲームの発祥の地である日本のゲーム好きに向けて披露できるのが待ち遠しいです。
また、ゲーム開発は、ファンの人と一緒に作り上げていくものだと私は考えています。
今回のDLCのフィードバックも今後の開発に活かしていきたいので、プレイされたかたは、奇譚のない意見をぜひお願いします!
※開発中のバージョンを取材しているため、本稿に掲載されている情報は今後修正される場合があります
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🧠 編集部の感想:
動物園が舞台という設定が、ゾンビ化した動物たちで恐怖の世界に変わるというのは非常にユニークです。プレイヤーの選択肢を広げる武器追加や新たなギミックも楽しみですが、一歩間違えればただのホラーになりそうでドキドキします。楽しい場所のはずの動物園がこのような形で描かれるのは、意外性とともに興味を引きますね!
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