火曜日, 5月 20, 2025
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最後の「トリプルA格付け」喪失、米国に何を意味するか-QuickTake – Bloomberg


米国は16日、ムーディーズ・レーティングスによる格下げを受け、国際的大手格付け会社による最後のトリプルA(Aaa)格付けを失った。

  ムーディーズのアナリストは格下げの理由について、歴代の米政権と議会が、巨額の年間財政赤字と金利負担の増加傾向に歯止めをかける対応を10年余り怠ってきたと指摘した。米議会付属の政府監査院(GAO)の予測によれば、政府の債務利払いコストは、コロナ禍後のインフレ高進を受けて急増し、今年は1兆ドル(約145兆円)と、2017年の2630億ドルから大きく膨らむ見通しだ。

  共和党主導の下院は「トランプ減税」の恒久化などを盛り込んだ税制・歳出パッケージを審議中だが、成立すれば今後10年で連邦債務がさらに数兆ドル増えると批判されている。

なぜ格下げしたのか

  米国の債務残高はおよそ36兆ドルに達し、国民1人当たり約10万6100ドルに相当するとピーター・G・ピーターソン財団は推計する。

  S&Pグローバル・レーティングは11年に、フィッチ・レーティングスは23年にそれぞれ米国を格下げした。インフレ下で超低金利時代が終わって以降、債務の利払いコストが歳入に占める割合が高まっている。ムーディーズによると、この割合は21年の9%から24年には約18%に高まり、35年には30%程度に達すると見込まれる。

  24年度は連邦政府の歳出が歳入を1兆8000億ドル上回り、5年連続で1兆ドルを超える財政赤字を記録した。GAOは、政策転換がなければ、47年までに公的債務が国の経済規模の2倍に膨らむと想定し、「持続不可能」な現状に対処する断固たる措置を求めた。

  ムーディーズは23年11月時点で、米国の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げ、格下げの可能性を警告していた。

Aa1とは何か

  ムーディーズの米国の新たな格付け「Aa1」は、同社で2番目に高く、フィッチとS&Pが米国に付与する「AA+」と同等だ。Aa1債はなお質が高く、リスクが極めて低いという位置付けだ。

どのような経緯で格下げに至ったか

  簡単に言えば、深刻なリセッション(景気後退)を招き、雇用・投資を支える多額の経済対策を実施せざるを得なかった世界金融危機やコロナ禍以降、連邦政府の税収が歳出増に追いついていない。

  1980年代以降、歴代政権は経済活動を促進し、納税者の家計を潤す減税措置を次々に実行したが、財源を埋め合わせる歳出抑制には失敗してきた。

どんな影響が生じたか

  米国以外の国・地域では、財政赤字が制御不能になると通貨や債券が売られて金利が上昇し、政策担当者はより責任ある財政スタンスの採用を迫られる。しかし米国の場合、財政赤字が拡大する過程で、世界の準備通貨、国際貿易で多用される決済手段としてのドルの役割が、借り入れコスト上昇の抑制に寄与してきた。

  ムーディーズによる格下げ発表後、最初の営業日の取引で、米国の30年国債利回りは心理的節目とされる5%を上回った。過去20年でこの水準を上抜けたケースは限られる。

ムーディーズによる米国の信用格付け引き下げに関するリポート

Source: Bloomberg

米国の信用格付けはどれほど重要か

  格付け会社は債券発行体の財務の健全性を評価し、債務返済能力に応じて信用力のスコアを付ける。新たな債券を購入する投資家は格付けを参考にすることが多く、借り手が資本市場で資金調達する際の金利決定に重要な役割を果たす可能性がある。



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🧠 編集部の感想:
アメリカの格付けがトリプルAを失ったことは、長期的な財政政策の不備が顕在化した結果といえます。特に、巨額の財政赤字が今後の経済成長を圧迫する懸念が強まります。この変化が市場や投資家に与える影響は大きく、冷静な分析と政策見直しが求められる時期です。

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