近年、日傘のニーズがますます高まっている。猛暑の常態化や美白志向の広がりに加え、近年では強風にも耐えられる機能性を備えたモデルも登場し、今では女性だけでなく、男性が日傘を差す光景も珍しくなくなった。今回は、そんな注目の高まっている日傘について、「ものづくり」にこだわり、衣食住に関わるオリジナル商品を自社店舗で販売しているライフスタイルブランド・KEYUCA(以下、ケユカ)の河崎さんと金井さんにお話を伺った。
ひとり1本持っておきたい、生活必需品
はじめに、傘の売れ筋や人気状況について教えてください。
河崎
遮光傘はもはや“ひとり1本持っておきたい生活必需品”になってきていると感じています。
日傘を使用する男性も増えていますよね。
河崎
夏の異常気象、そして春、秋といった端境期がなくなり、夏が長くなっていることからロングランで売れる遮光傘のニーズは男性、女性今後も増えていくと考えております。今までレインアイテムはどうしても天候に左右されていたところがありましたが、遮光傘の供給が増え、年間を通して生活に必要なツールになることが予想できます。
春や秋でも遮光傘を使う方が増えていますが、販売時期に変化はありますか?
河崎
“あったらうれしい”をかたちにするケユカの傘づくり
ケユカの傘のこだわりについて教えてください。
河崎
ただ種類を広げるだけでは、お客様も選択肢は広がり逆に迷ってしまうので、「日常のあったらうれしいちょっとした機能」を入れるようにしています。ライフスタイルブランドが作る傘だからこそ、日常のちょっとした残念を解決する、重さでしたり、サイズ感、使いやすくなる機能は必ず取り入れるようにしています。
たとえばどんな機能がありますか?
金井
金井
最近、車の傘収納としても使用できる長傘用のケースも発売し、そちらも徐々に売れてきています。
河崎
河崎
他にない機能を開発するのは苦労も多いと思いますが、開発の過程で特に大変なことはありますか?
金井
また、傘に使う生地・骨・ハンドルといったさまざまなパーツは、それぞれ工場が違うので、生産工程が非常に多いんです。素材選びもパーツごとに必要で、そこを調整するのも大変です。種類が豊富なぶん、ラインアップのバランスを見ながら作るので、傘は全体的に時間がかかるアイテムです。
素材選びにも工夫があるのでしょうか?
河崎
日傘がトレンドになるまでは、「傘は片手をふさぐネガティブなもの」というイメージを抱く人が多かったと思います。けれど遮光傘が普及するにつれて、アクセサリー感覚で傘を持つ人が増えてきました。ケユカは種類が豊富なので、今後は「傘をふくめて毎日の服をコーディネートをする」という楽しみ方をお客様に提案していけたらと思っています。
豊富なラインナップと選べる価格帯
豊富なラインナップから、特におすすめの機能性傘はありますか?
河崎
ポリカーボネート骨を使用した丈夫な構造で、ゲリラ豪雨のほか、突風やビル風の多い都市部でも安心して使えます。さらに、生地にはPUコーティングを施しており、紫外線遮蔽・遮光・UPF50+・遮熱・防水機能を備えているため、まさにどんな天候でも活躍する傘です。
河崎
また、年配の女性のお客様だと、華やかなデザインの傘が人気です。百貨店よりもリーズナブルに買えるところやギフトアイテムとしてもご好評をいただいています。
河崎
どれも手に取りやすい価格帯ですね。
河崎
そのうえで、これだけ多様化ですからお客様の消費も多様です。傘にお金をかける人、かけない人、あらゆる人がケユカでお買い物を楽しめるように、価格帯はシリーズごとに「松・竹・梅」とランク付けで設定しており、幅広いお客様が自分にとってのベストな商品選定が叶うように価格設定を決めております。なるべくお求めやすい価格でお届けできるように、企画段階から生産過程でもさまざまなやりくりをしています。無駄な仕様を極力減らし、生産拠点の見直しなど、あらゆる工夫を行っています。
長く使うためのケアと、これからの傘づくり
傘を長く使うためのケア方法はありますか?
金井
一番よくないのは、濡れたまま放置すること。家に帰ってきたら、日陰でしっかりと乾かしてから畳むことが大切です。たまにするとよいお手入れは、生地に付いた汚れや手垢を取るために、ぬるま湯を生地の表面にかけ流すこと。乾いてから撥水スプレーをかけるときれいな状態を保ちやすいです。
傘をすぐだめにしてしまうNG行為があれば教えてください。
金井
また、高温になりやすい車内や直射日光が当たる場所での保管は、生地が劣化しやすくなるので避けることをおすすめします。簡単なことですが、こうした点を意識していれば、数年たってもきれいに使い続けられます。
今後、取り組みたい機能や分野はありますか?
金井
特に、今はメンズ向けの傘が伸びているので、注力していく予定です。
河崎
だからこそ、丈夫で長持ちする傘の開発と、そのためのお手入れ方法の発信にも取り組んでいきたいですね。
Text by まいしろ
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