🧠 あらすじと概要:
映画『悲情城市』のあらすじと要約
あらすじ
『悲情城市』は1989年に公開された台湾の映画で、監督はホウ・シャオシェンです。物語は第二次世界大戦後の台湾を舞台にしており、日本の統治から中国国民党の支配に移り変わる際の激動の時代を描いています。
特に基隆という港町に住む林家一族の日常とその周囲の人々に焦点が当てられています。家族構成は老齢の父阿禄、長男文雄、戦時中に行方不明となった次男文龍、精神を病んだ三男文良、写真館を営む耳の不自由な四男文清で構成されています。この映画では、独特の視点で彼らの日常が淡々と描かれ、特に四男文清の視点から時代の混乱がいかにして彼の世界に影響を与えるかが強調されています。
記事の要約
『悲情城市』は、戦後の台湾における混乱と家族の物語を描いた作品で、特に林家の家族構成や各キャラクターのサブプロットが重要な役割を果たしている。映画は政治的な話題が交わされる中でも、静かな視点を保ち、特に耳の聞こえない文清の存在が物語に独自の深みを与えている。また、ノスタルジックな音楽や台湾の美しい風景も見どころで、激動の時代を背景にしながらも派手さを排除した映像美が印象的である。
映画『悲情城市』は、この激動の時代を背景に台湾北部の港町である基隆に居を構える林家一族とその周囲の人物を描いている。特に誰かが主人公として描いているわけではない。
林家に人々に、まず老齢の父阿禄。林家は舟問屋らしいが、阿禄は日本人から「やくざ」と呼ばれていたようで裏社会にも顔がきいていたらしい。長男の文雄は家業を継いでいる。腹巻姿でいることが多い。次男の文龍は戦時中にルソン島へ軍医として向かったが、その後の消息が不明である。おそらく戦死したと思われる。三男の文良は上海にいたが戦後台湾に戻ってきた。密輸のトラブルなどから重傷を負い終いには精神をおかしくしてしまう。四男の文清は写真館を営んでいて実家とは離れて暮らしている。子供の頃の事故が原因で耳が聞こえない。
文清の友人とその妹が文清の元をしばしば訪ねてくる。
これらの人々をわりと淡々と描いている。たとえば日本刀ふりまわして喧嘩している場面であっても、カメラはかなり引いて、人物の格闘が画面の中で小さくなるように撮っている。
四男のトニー・レオンが比較的物語の中心に位置しているけれども、彼は耳が聞こえないし、言葉を発することがない。皆が政治的な話題で盛り上がっていても文清には分からない。
時代から一歩引いた人物がいることで、カメラも人物に近づき過ぎないでいるのかもしれない。
それにしても台湾の風景は、むかしの日本の地方の風景といっても通じそうだ。いまや台湾北部の代表的な観光地である九份も登場する。昨今の同地の写真を見ると綺麗ではあるが賑やかすぎる。
まだそれほどガチャガチャしていない、今から思えば鄙びてるくらいの九份の風景のほうが、惹かれるものがある。
激動の時代を背景にしているが、いろいろなところでド派手なもの、あざといものは排除されている。
ノスタルジックな音楽が心地良い。音楽には日本の立川直樹が参加している。偶然にも先に見た『マルサの女』では音楽プロデューサーとしてクレジットされていた。
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