🧠 あらすじと概要:
映画「時間之子」のあらすじ
「時間之子」は、時を操る能力を持つ宝「时轮」を巡る青年十七の冒険を描いた作品です。彼はマフィアから逃れるために宝を探し続け、仲間との争いから宝を海に落としてしまいます。その後、指名手配されながらも、少女千晓(千暁)と出会い、意気投合します。千暁が宝を持っていることを知った十七は、彼女に返すよう求めますが、彼女は約束の一日を経て、共に冒険することになります。
記事の要約
雨模様の上海で、「時間之子」という映画を観ることで気分転換を図った作者は、作品の魅力に強い感銘を受けています。3Dアニメーションの質感やキャラクターの描写に驚かされ、豪華な声優陣にも注目。物語はクールな青年と天真爛漫な少女の組み合わせで、適度に実写的な要素を持ちながら、ディズニーっぽい雰囲気も漂っています。作者は、感情のこもった大きな愛の物語として評価し、エンドロールの演出にも言及。技術と心が融合した新たな中国アニメーションの可能性を感じています。
上海にも梅雨入りというものがあるのか、今週はずっと雨模様。このジメジメとしただるい空気をどうにか吹き飛ばさないものかと、気分転換に映画を観に出かけた。
公開前から気になっていた作品だが、予想を超えてあまりにも好みで面白くて、もし日本で上映するなら私に字幕翻訳をやらせてくれと思うレベルだった。余韻を噛み締めながらこの記事を書いている。
“しばらく世界を止め、時に逆らってあなたを愛す”
あらすじ
時を操ることができる时轮(時輪)という宝を手に入れ、それをボスに渡せばマフィアを離れられると言われた青年十七。無事に見つけたものの仲間と船上で口論になり、船も難破して宝を海に落としてしまう。裏切り者として懸賞金もかけられ指名手配されながらも探し歩いていると、ある少女千晓(千暁)と出会う。実は千暁は遠く離れた島で暮らしていたが、ひょんなことから街に流れ着いてしまったのであった。彼女が時輪を持っていることを知った十七は返すよう言うが、千暁は聞き入れない。1日経ったら返す約束をして、2人は行動を共にすることになったが……
みどころ
この作品は3Dアニメーションで作られているが、そのリアルさに引き込まれる。海、砂浜、冒頭の雪山、実写と見紛うほどの質感だ。驚くのは人物の描写だ。アップになった手の指の関節の皺、老人の顔の皺、傷跡が特にリアルで、今までのアニメーションでここまで表現した作品はあっただろうかと考えた。
加えて声優陣も豪華だ。若手俳優の王俊凯が主演、さらにベテラン俳優の黄渤、歌手の周深までいる。周深は挿入歌およびエンディングも担当している。
そして世界観。少女千暁は「映画のような素敵な人生」に憧れているだけあり、途中でミュージカルのようなシーンがあったり、往年の作品のオマージュと思われる部分もある。西洋と東洋の雰囲気が入り交じる街並みでストーリーが繰り広げられつつも、どこかディズニー作品を彷彿とさせる部分もある。
今まで私が観てきた中国アニメーション作品では「ライオン少年」「兵馬俑の城」「新封神演義 楊戩」「傘少女」「ナタ 魔童の大暴れ」など、中国の伝統文化や古典に絡めたものが多かった。「時間之子」は街並みこそ民国時代っぽさを感じさせつつも、あくまで背景として溶け込んでいる。これは世界市場を見据えているな……と観ながら思わず考えてしまった。
クールで訳ありな青年と天真爛漫な少女という組み合わせ、時間をテーマにしたファンタジーというのは往々にしてよくあるが、それを今の中国映画界が3Dアニメーション技術を駆使して作り上げるとこうなるのかと思わせられる作品だ。一人で観に行くも良し、だが作り手としてはおそらく誰か大切な人と一緒に観に行くことを想定している。一人一人の人生こそが映画であり、かけがえのない作品であり、それを共に観る人がいる。大きな愛情の物語である。
余談だが、中国の映画館ではエンドロールが始まると同時にシアター内が明るくなり、清掃のスタッフが入ってくる。無言で清掃を始めるスタッフとそれに追い立てられるように席を立つ観客を横目に居座る私……というのがこちらに来てからの常であったが、この作品ばかりはそうでもなかった。
エンドロール途中にエピローグ的なシーンがあり(明るくなってしまい少し見づらかったのが残念)、それを観ると立ち去る人もいたが、エンディングの周深の歌に清掃スタッフも聴き入っていたのが少し面白かった。曲名は「梦见你(夢見你)」。また大好きな歌が増えた。
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