日本製鉄は、トランプ米大統領が141億ドル(現在のレートで約2兆400億円)規模のUSスチール買収計画を承認した場合、同社への投資額を増やす方針だ。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
日鉄は新たな製鉄所を建設し、現在の鉄鋼労働者の雇用を維持する方針で、今後さらに多くの労働組合員の雇用を創出する可能性もある。計画は未公表だとして関係者が匿名で語った。
関係者によれば、今回の投資増額はトランプ政権の働きかけがあった。ただ、最終的にトランプ氏が買収計画を承認するかどうかはまだ分からないという。
USスチール買収を巡る動きは既に1年5カ月に及んでいる。この買収案は、USスチール経営陣の支持を得ているが、全米鉄鋼労働組合(USW)に加え、昨年の米大統領選に出馬した両候補から強い反発があった。米外国投資委員会(CFIUS)による審査を経て、バイデン前大統領は政権末期に買収計画を阻止した。
関連記事:バイデン大統領、日鉄によるUSスチール買収阻止決める-関係者 (3)
トランプ氏は4月、日本企業がUSスチールを所有することは望ましくないとの見解を示したが、それでも日鉄は買収成立に望みをつないでいる。トランプ氏は両社の経営統合が国家安全保障に与える影響についてCFIUSに再審査を命じており、その報告期限は5月21日。
日鉄とUSスチールはコメントを控えた。USスチールの株価終値は3.2%高の41.62ドル。日鉄が提示した買収額は1株当たり55ドル。一方、日鉄の米国預託証券(ADR)は2%下落した。
ロイター通信は、米政権が買収を承認した場合、日鉄はUSスチールに140億ドルを投資する計画で、一部資金を新しい製鉄所に充てる計画だと先に報じていた。
関連記事:日鉄はUSスチールに2兆円投資へ、米政権が承認なら-ロイター (2)
関係者によると、日鉄は先週の投資家向け電話会議で、トランプ氏が決定する期限の6月5日まで米政権からの正式発表はないと見込んでいると説明した。また同社は買収合意延長の可能性も排除せず、米政府判断がさらに後ずれする可能性も示唆したという。
原題:Nippon Steel Boosts Investment for Proposed US Steel Deal (1)(抜粋)
🧠 編集部の感想:
日鉄がUSスチールへの投資を拡大する方針を示したことは、国際的な鉄鋼業界における大きな動きです。トランプ政権の承認が必要とはいえ、経済政策の変動が企業戦略に影響を与えることが改めて浮き彫りになりました。労働者の雇用維持や新規雇用創出に繋がる可能性があるのは、ポジティブな側面と言えます。
Views: 0