土曜日, 5月 24, 2025
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日本販売も視野に入れたASRockのゲーマー向け有機ELディスプレイは価格対スペック比に優れる



 COMPUTEX 2025で,ASRockは,ゲーマー向けディスプレイの主力製品を有機ELパネル中心で展開していく方針を打ち出した。しかも,Samsung Display(以下,Samsung)式の量子ドット有機ELパネル(QD OLED)と,LG Display(以下,LG)式の白色有機ELパネル(WOLED)という2種類の映像パネルで,同じような製品を展開するというユニークな戦略を取るそうだ。

ASRockのゲーマー向け有機ELディスプレイの展示コーナー
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 ただASRockは,日本市場において,ゲーマー向けディスプレイに力を入れているとは言えなかった。しかし今後は,新製品の国内投入もあるかもしれないという情報も掴んだので,そのあたりもレポートしたい。

32インチ4K有機ELディスプレイ「PGO32UFS」と「PGO32UFSA」を披露

 ゲーマー向けディスプレイのハイエンドモデルとして披露されていたのは,32インチ4K(3840×2160ピクセル)モデルの「PGO32UFS」と「PGO32UFSA」だ。
 PGO32UFSは,LG製白色有機ELパネル採用製品で,PGO32UFSAはSamsung製の量子ドット有機ELパネル採用製品となる。

白色有機ELモデルのPGO32UFS。コントラストの高さはお見事
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量子ドット有機ELモデルのPGO32UFSA。発色はこちらのほうが優秀か
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 32インチ4Kだけでなく,以下の仕様は共通だ。

  • 画素応答速度:0.03ms
  • 垂直最大リフレッシュレート:240Hz
  • DCI-P3色空間カバー率:99%
  • パネルドライバー:リアル10bit駆動
  • 総発色数:約10億7000万色
  • ネイティブコントラスト:150万:1
  • HDR表示性能:DisplayHDR True Black 400準拠
  • 色誤差:ΔE<2
  • ディスプレイ同期技術:FreeSync Premium Pro対応
  • インタフェース:DisplayPort 1.4×2,HDMI 2.1×2,USB Type-C(DisplayPort Alternate Mode対応,60W)ポート×1,USB 3.0 Type-B×1,3極3.5mmミニピンヘッドフォン出力×1
  • PC切換器機能:あり
  • スタンド部内蔵型Wi-Fiアンテナケーブルあり

 スタンド部のデザインも共通で,上下回転(チルト)は−7〜20度,左右回転(スイーベル)は左右20度,100mmの高さ調整にも対応する。VESAマウントは,一般的な100×100mm仕様だ。
 一方,スペック面における違いは表1のとおり。

表1 PGO32UFSとPGO32UFSAの仕様における違い
  PGO32UFS PGO32UFSA
sRGB色空間カバー率 129% 138%
SDR時輝度 275nit 250nit
HDR最大輝度 1300nit 1000nit
デュアルモード 480Hz 非対応
USB 3.0 Type-A 3 2
内蔵スピーカー 5W+5W なし

 傾向をまとめると,LG製白色有機ELモデルのPGO32UFSは,輝度が高めで,解像度下げて垂直最大リフレッシュレートを2倍に引き上げるデュアルモードを搭載する。スピーカーも内蔵しており,USB Type-Aポートもひとつ多い。
 新旧で言うなら,量子ドット有機ELモデルのPGO32UFSAのほうが新しく,白色有機ELモデルのPGO32UFSは,北米市場ですでに販売中だ。メーカー想定売価は900ドル前後(税別,約12万8300円)とのこと。

PGO32UFSのインタフェース部
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PGO32UFSAのインタフェース部。PGO32UFSに比べると,だいぶシンプルだ
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 ASRockブースでは,左右に並べて展示されていたので,画質を見比べることができた。純色や原色の表現は,やはり量子ドットの得意分野なためか,量子ドット有機ELパネルのPGO32UFSAのほうが鮮烈だ。
 スペックでも,sRGB色空間カバー率は量子ドット有機ELパネルのほうが優れており,発色の違いも一目で分かるものであった。ゲーマー向けの性能を重視しつつも,画質にもこだわりたいと言うユーザーは,量子ドット有機ELモデルのPGO32UFSAがお勧めか。
 逆に,輝度スペックは,白色有機ELモデルのPGO32UFSのほうが明るいのだが,パっと見では違いが分かりにくかった。ブースではSDR映像のデモが中心であり,HDR映像の比較であったなら,PGO32UFSの特徴を強くアピールできたかもしれない。
 最大リフレッシュレートも,デュアルモード搭載の白色有機ELモデルのPGO32UFSのほうが高いので,ゲーマー向け性能を最重要視する場合はこちらのほうを選ぶべきか。
 量子ドット有機ELモデルのPGO32UFSAは,2025年後半に発売予定だ。メーカー想定売価は,白色有機ELモデルのPGO32UFSに近い価格になりそうだという。

2560×1440モデルも量子ドット有機ELと白色有機ELの2機種展開

 ASRockは,27インチサイズ,解像度2560×1440ピクセル(以下,1440p)のゲーマー向け有機ELディスプレイでも,ダブルモデル戦略を採っている。こちらは量子ドット有機ELモデルが「PGO27QFV」で,白色有機ELモデルが「PGO27QFS」だ。

量子ドット有機ELモデルのPGO27QFV
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白色有機ELモデルのPGO27QFS
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 共通スペックをまとめると,こんなところか。

  • 画素応答速度:0.03ms
  • DCI-P3色空間カバー率:99%
  • パネルドライバー:リアル10bit駆動
  • 総発色数:約10億7000万色
  • ネイティブコントラスト:150万:1
  • HDR表示性能:DisplayHDR True Black 400準拠
  • 色誤差:ΔE<2
  • ディスプレイ同期技術:FreeSync Premium Pro対応
  • インタフェース:DisplayPort 1.4×2,HDMI 2.1×2,USB Type-C(DisplayPort Alternate Mode対応,15W)ポート×1,3極3.5mmミニピンヘッドフォン出力×1

 27インチ1440pの共通スペックは,32インチ4Kモデルとほとんど同じだ。違いは,USB Type-Cポートの電力供給能力が15Wに引き下げられていたり,32インチ4KモデルのPC切換器機能を搭載していない点などがある。
 さらにいえば,白色有機ELモデルはUSBハブ機能を備えているが,量子ドット有機ELモデルには,USBハブ機能がないといったところか。
 スペック的に異なるポイントをまとめたものが表2になる。

表2 PGO27QFVとPGO27QFSの仕様における違い
  PGO27QFV PGO27QFS
sRGB色空間カバー率 138% 129%
SDR時輝度 250nit 275nit
HDR最大輝度 1000nit 1300nit
垂直最大リフレッシュレート 360Hz 240Hz
USB 3.0 Type-A なし 2
内蔵スピーカー なし 3W+3W
Wi-Fiアンテナ スタンド内蔵 なし

 注目すべき違いは,垂直最大リフレッシュレートだろう。白色有機ELモデルは最大240Hz,量子ドット有機ELモデルは最大360Hzとなった。32インチ4Kモデルとは異なり,量子ドット有機ELのほうが,垂直最大リフレッシュレートは高くなっているのも興味深いところだ。なお,どちらもデュアルモードには対応していない。
 内蔵スピーカーは,32インチ4Kと同じく,白色有機ELモデルだけが備える。

PGO27QFVのインタフェース部
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PGO27QFSのインタフェース部
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 スタンド部もデザインは異なり,また,Wi-Fiアンテナ内蔵スタンドは,量子ドット有機ELモデルのみとなった。ちなみに,量子ドット有機ELモデルのスタンドは,32インチ4Kモデルと同一仕様だ。
 白色有機ELモデルのPGO27QFSのスタンドは,Wi-Fiアンテナ非内蔵という点だけでなく,見た目,そして機能面でも異なる。上下回転(チルト)は−5〜30度,左右回転(スイーベル)は左右30度,高さ調整は150mmである。また,縦回転(ピボット)機能も可能だ。VESAマウントは75×75mm仕様である。
 こちらも画質を見比べた感じでは,量子ドット有機ELモデルのPGO27QFVのほうが,発色は良かった。また,垂直最大リフレッシュレートも,有機ELモデルのほうが高いので,27インチ1440pモデルでは,画質でもスペック面でも,量子ドット有機ELモデルのほうが魅力的に見える。
 逆に白色有機ELモデルの利点は,USBハブ機能やスピーカー内蔵,スタンドが縦回転対応くらいか。
 27インチ1440pモデルは,北米ではすでに販売中で,税込のメーカー想定売価は,量子ドット有機ELモデルのPGO27QFVが625ドル前後(約8万9000円),白色有機ELモデルのPGO27QFSが600ドル前後(約8万5500円)となっている。白色有機ELモデルのほうが少し安いので,どちらを選ぶべきかは悩ましい。
 北米以外の地域では,今後数ヵ月での発売を予定しているそうだ。

垂直最大リフレッシュレート400Hzと520HzのIPS液晶モデルもあり

 ASRockでは,IPS型液晶パネルを採用した高リフレッシュレート対応のゲーマー向けディスプレイも2モデルを出展していた。
 どちらも画面サイズが27インチのIPS型液晶パネルを使っているのが共通点で,1440pモデルの「PG27QFW2A」と,フルHD(1920×1080ピクセル)モデルの「PG27FFX2A」という2モデルをラインナップしている。

1440pモデルのPG27QFW2A
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フルHDモデルのPG27FFX2A
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 スペックの共通点をまとめてみよう。

  • 画素応答速度:1ms(Gray to Gray)
  • パネルドライバー:8bit+FRC
  • 総発色数:約10億7000万色
  • ネイティブコントラスト:1000:1
  • 輝度:400nit
  • HDR表示性能:DisplayHDR 400準拠
  • ディスプレイ同期技術:FreeSync Premium対応
  • インタフェース:HDMI 2.1×2,DisplayPort 1.4×2,USB 3.0 Type-A×2,USB 3.0 Type-B×1,3極3.5mmミニピンヘッドフォン出力×1
  • 内蔵スピーカー:2W+2W
  • スタンド部内蔵型Wi-Fiアンテナケーブルあり

 一方,主なスペックの違いは表3のとおり。

表3 PG27QFW2AとPG27FFX2Aの仕様における違い
  PG27QFW2A PGO27QFV
sRGB色空間カバー率 93% 94%
垂直最大リフレッシュレート 400Hz 520Hz

 スタンドの可動範囲は,32インチ4Kモデルとまったく同じだ。スタンド部にアンテナが組み込まれるモデルは,スタンドのデザインや機能が共通なのかもしれない。

PG27QFW2Aのインタフェース部
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PG27FFX2Aのインタフェース
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 500Hzを超えるような高リフレッシュレート表示対応の液晶パネルを採用するゲーマー向けディスプレイは,TN型液晶パネルが主流だ。一方,ASRockは,画質も重視したIPS型の高速応答パネルを採用するあたりに,こだわりが見える。
 実際,表示映像の品質は,一般的なIPS型液晶ディスプレイに近く,視線の向きが変わっても色の変移は少なかった。発色はいいが,暗部の表現力はやや苦手なIPS型液晶パネルなので,コントラスト感はそれなりといったところ。ただ,TN型液晶パネルに比べれば,十分に高画質だ。
 なお,今回の2製品はスペックで見ると色域性能が異なる。ただ,ASRockブースで見た限りでは,とくに差は感じられなかった。
 27インチサイズを「大きすぎる」と感じるようなFPSプロゲーマー勢でもなければ,IPS型液晶パネルのこれらの製品は,多くのユーザーに響きそうな製品のように思う。
 フルHD/520HzモデルのPG27FFX2Aは,北米市場で販売中であり,メーカー想定売価は約390ドル前後(税別,約5万5600円)だ。1440p/400HzのPG27QFW2Aは,2025年後半の発売予定で,価格は未定とのことだが,フルHD/520Hzモデルに近い価格になるようだ。
 価格対スペック比は優秀なので,日本での発売も期待したい。

ASRockのゲーマー向けディスプレイがなかなか日本で販売されないわけは?

 日本市場で販売しているASRockのゲーマー向けディスプレイは少ない。この理由について,ASRockブースで聞いたところ,「細かく言えばいろいろあるが,大きな問題をひとつ挙げるとすれば,Wi-Fiアンテナ内蔵スタンドにある」とのこと。
 ASRockのゲーマー向けディスプレイでは,Wi-Fiアンテナ内蔵のスタンドが付属するものが多い。デスクトップPC向けマザーボードのWi-Fiアンテナ端子をこのスタンド部に接続することで,デスクトップPCでも高感度なWi-Fi接続環境を実現させる仕組みだ。
 Wi-Fiアンテナをディスプレイのスタンドに内蔵させることは,多くの国では大丈夫なのだが,日本では電波法の規定に反してしまうのだそう。

スタンド内部に埋め込まれたWi-Fiアンテナに接続するためのアンテナ延長ケーブル
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 というのも,日本の電波法では,剥き出しのアンテナであれば,任意の技適認証済みのWi-Fi機器との接続が認められている。しかし,アンテナをなんらかの構造物内に組み込む場合は,接続するWi-Fi機器との一体評価で認証を取らないと,日本で発売できないのである。
 ただ,日本のASRockファンからの,同社のディスプレイ販売を望む声が高まっていることから,ASRockでは,ディスプレイに付属させるスタンド部を,日本仕様に限ってはWi-Fiアンテナ非搭載のものに変更することを検討しているという。
 今回紹介した32インチ4K有機ELモデルや,IPS型液晶の27インチモデルは,価格対スペック比に優れている製品なので,日本でも注目は集めそうな気がする。発売を期待するファンは,ASRockの日本法人に熱いメッセージを送ろう。

ASRock 公式Webサイト

4Gamer.netのCOMPUTEX 2025特集ページ



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🧠 編集部の感想:
ASRockの新しいゲーマー向け有機ELディスプレイは、価格と性能のバランスが非常に良く、特に量子ドット技術を搭載したモデルは発色に優れている点が魅力的です。日本市場での参入が期待される中、Wi-Fiアンテナ内蔵のスタンドに関する規制にも対応する可能性があるのは朗報です。今後の展開が楽しみです。

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