土曜日, 5月 3, 2025
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新次元の没入感!ユニバーサル新パーク「Epic Universe」先行体験、現実と仮想が曖昧に – CNET Japan


 煙突飛行の部屋に足を踏み入れ、緑色の煙に包まれてテレポートした先は、大規模かつ見事に再現された「ハリー・ポッター」の魔法省だった。筆者はエレベーター(のような何か)に乗っていた。その前には、絵画やポスターの中からさまざまなキャラクターが話しかけてくる廊下や部屋を練り歩いた。エレベーターに乗った後は、シミュレーションされた魔法の世界で飛んだり、落ちたり、自由に動き回ったりする感覚を味わった。いや、あれは本物だったのだろうか?あるいは、その両方だったのか。現れては消えるキャラクターや、細部にまでこだわりが行き届いたいくつもの広大な空間を見ていると、次々と疑問が浮かんだ。「これはスクリーンなのか?それともアニマトロニクス?その両方?自分は動いているのか、それとも1カ所に止まっているのか?」

 筆者はこれまで、高解像度ディスプレイに表示されたイメージと現実を融合させるヘッドセットや、そこにはない物体や音を目の前に生み出すよう設計されたスマートグラスなどをはじめとする、数多くのバーチャル技術を体験してきている。テーマパークのメッカであるフロリダ州オーランドに建設されたUniversalの最新のテーマパーク「Universal Epic Universe」では、バーチャルと現実が極めて滑らかに融合していた。この訓練された私の目でさえ騙されてしまう場面があったほどだ。

 このテーマパークは、高度な没入感を提供することに特化した冒険的な試みであり、奇妙さや没入感を高める方向に進む一方のエンターテインメント業界のハードルを、一気に引き上げようとしている。昨今のテーマパークは、まったくの別世界を堪能できる体験を提供する方向に向かっており、乗り物はより過激になり、あらゆる場所にスクリーンが置かれるようになっている。Disneyの「スター・ウォーズ:ギャラクシーズ・エッジ」や、Universalの「ハリー・ポッター」エリア、シュルレアリスムを極めたアトラクション施設である「Meow Wolf」などがその例だ。それに加えて、VRや複合現実がある。

新次元の没入感

 筆者は、同僚のBridget Carey記者と一緒に、5月22日の開業に先駆けて開催されたEpic Universeのプレビュー公開に参加した。これは、数十億ドルもの巨費を投じて、テーマパークの方程式を根本から再構築しようとする新たな試みだ。筆者は、それによって没入体験をどこまで高められるのか、テクノロジーがどんな役割を果たしているのかに強い関心があった。

 まだすべての疑問に答えが出たわけではないのだが、主なアトラクションを超スピードで体験し、トンネルを通ってパーク内のそれぞれが完結した4つのワールドを見て回って一番驚いたことは、ディスプレイやロボットがさらに改善され、バーチャルとリアルの境界線が一層曖昧になり、方程式がますます巧妙になっていることだった。

 このパークでも、いたるところにスクリーンが設置されており、筆者の目はそれらのスクリーンに奪われっぱなしだった。その一方で、スクリーン技術がまったく使われていない乗り物も多い。超高速ジェットコースターである「Stardust Racers」や、目に見えない巧妙な設計によって、レールから飛び上がったように感じるサプライズイリュージョンを実現していた、スーパー・ニンテンドー・ワールドの「ドンキーコングのクレイジー・トロッコ」などがそれにあたる。

 筆者が一番感心したのは、「ヒックとドラゴン」のバーク島にあった「Untrainable Dragon」(手懐けられないドラゴン)と、魔法ワールドの魔法省にあった「Le Cirque Arcanus」(摩訶不思議サーカス)の2つのショーだったかもしれない。

 ネタバレにならないように控えめな説明に止めるが、どちらのショーも、あらゆる方向からドラゴンや魔法生物が巨大なスケールで現れるものになっていた。その一部は、おそらくアニマトロニクスを使ったものだった。人間が操作する人形もあったし、見事な機械仕掛けの舞台装置もあった。そして時には、セットを埋め尽くすディスプレイに表示される画像でそれらの生物が表現されていた。さまざまな演出効果が巧妙な演出で手品のように次々に切り替わり、繋ぎ目がまったく分からないことも多かった。筆者は頭を空っぽにして、その魔法のようなショーをそのまま楽しむことにした。

テーマパークは最新技術のテストベッド

 手品のような演出は乗り物以外でも使われていた。「ヒックとドラゴン」に登場するドラゴン、トゥースを再現した見事なロボットがゲストに撫でられるのを待っているかと思えば、少し離れたところでは、赤ちゃんドラゴンであるダートのロボットが小さな足でパタパタと歩き、多くの人々に取り囲まれていた。その動きは、まるでアニメが現実になったようだった。あるいは、人が操作する操り人形のドラゴンが通りかかったりもした。こちらもとても魅力的だった(厩舎から頭を突き出しているドラゴンや、尻尾をゆっくりと振りながら寝ているドラゴンもいた)。

 ワールドのスケールが大きいことにも舌を巻いた。間をつなぐトンネルを出て別のワールドに入ると、細部までこだわって表現された空間が驚くほど広大に広がっていて、いたく感心したこともあった。魔法省のパリの街並みや、スーパー・ニンテンドー・ワールドのキノコ王国に初めて足を踏み入れたときには、満面に無邪気な笑顔を浮かべて「ここまでやるか」と考えた。その世界は、意図的にすべてを把握するには情報量が多すぎるように作られている。

 筆者は、時々趣味で手品を練習しているのだが、技術として手品について考える時には、まず何を見せたいかを決め、それからその効果を生み出すためのテクニックをいくつか考案することが多い。テーマパークの設計も同じことだ。目的が素晴らしく愛らしいドラゴンを生み出すことであれば、手段は何でもいい。見ている人が素晴らしく愛らしいドラゴンに感じられればいいのだ。

 テクノロジーを評価することが仕事である筆者は、日常的に特定の機能を持っているデバイスを試して、その機能でどんなマジックが生み出せるかを見ている。しかしテーマパークでは、どの技術を使うかを選ぶことができる。ARヘッドセットを使ってもいいし(「マリオカート ~クッパの挑戦状~」では、取り付け式のバイザー型ARディスプレイを使ってコース上にゲームキャラクターの姿を見せている)、Bluetoothのウェアラブルを使っても(スーパー・ニンテンドー・ワールドでは、「パワーアップバンド」を使ってさまざまな場所に触れてミニゲームを楽しめる)、赤外線(魔法ワールドの魔法の杖)や、顔認証技術を使ってもいい(Epic Universeのロッカーや入園ゲートでは、入園カードではなくカメラによる顔認証技術が使われている)。

 時にはほころびが見えて、ぎこちなく感じられることもある。顔認証には時間がかかることがあるし、各テーマパークの説明不足で複雑な専用アプリとウェアラブルデバイスとのペアリング作業は面倒だ。しかしそれでも、筆者はテーマパークを見るのが大好きだ。テーマパークは、全てを制御下に置いた形で新たなテクノロジーの使い方を追求できる完結した空間であり、実社会では簡単には実現できないようなことを試せるテストベッドだからだ。

 しかし現時点では、あらゆる技術が一番融合しているように感じられるのは、乗り物やショーを、スクリーンやさまざまな技術と組み合わせたケースだろう。ただしもちろん、それがうまく行っていればの話だ。「The Battle for the Ministry of Magic」と呼ばれる乗り物は、Epic Universeで最も複雑なアトラクションで、筆者が最初に乗ったときには、技術的な問題が起きて途中で止まってしまい、再開するまでに数分待たされた。しばらくは幻想が壊れたような気分になったが、その後乗り物が再開されると、私たちは再び圧倒された。

 没入型の体験を構成する要素が多ければ多いほど、どこかで問題が起きる可能性も高まる。Disneyの最も進んだ「スター・ウォーズ」のアトラクションである「ライズ・オブ・レジスタンス」は、時々運行が止まったり、一部で異常が出たりすることで有名だ。こうした最新の画期的な体験が、実際にどこまで確実に運用できるかはまだ分からない。

複合現実の感覚

 Epic Universeで特に心に残った瞬間は、デバイスのことを一切気にせずに、別世界に旅しているように感じたときのことだった。報道陣向けのプレビュー公開でそれを楽しむのは簡単ではなかった。動画を撮影したり、写真を撮ったり、次のアトラクションに向かうために急ピッチで移動し続けたりしなければならなかったからだ。筆者は、スマートフォンをできるだけ使わないようにしたり、「Ray-Ban Metaスマートグラス」を着けてあたりを見回したり歩き回ったりするだけ記録ができるようにするなどして、できるだけその場に溶け込むことを心がけた。

 このパークは、精緻に作り込まれた世界にどっぷりと浸って、細かいところまで目を向けて楽しむことを前提に作られている。スーパー・ニンテンドー・ワールドの端々に隠れているピクミンや、魔法ワールドのパリでのウィンドウショッピングや、「Dark Universe」のうち捨てられた荷馬車に乗っている目玉やその他の部位の瓶漬けなどを楽しむのだ。人間によるちょっとしたパフォーマンスも演出に一役買っていた。例えば、不気味なバイオリニストが奇妙なこと言って警告し、狂ったように立ち去ったり、バーク島の誇り高きドラゴンの調教師が登場したりする。

 筆者は2016年にニューヨークで没入型シアターを体験し、その年に筆者が試したどのヘッドセットよりもバーチャルリアリティを感じられたと書いたことがある。2018年には、ARをシミュレートした別の劇場体験で同じように感じたし、2023年には、没入型アート制作会社Meow WolfがどんなIT企業よりもメタバース的な感覚を感じさせてくれた。

 アートやエンターテインメントは、時には最新技術を使い、時には手品の手法や演劇の手法を使ったりすることで、魅力的な未来を描くことができる。Epic Universeで体験した最高の瞬間には、これまでに体験したどんなヘッドセットよりも進んだ複合現実が感じられた。マリオカートのバイザー型ARグラスには敬意を表するが、筆者が好きだった乗り物は、介在するものが一切なく、周囲にあるものだけでバーチャルと現実を目に見えない形で融合させるタイプのものだった。

 ただし最高のアトラクションでは、写真や動画を撮ることが禁止されていた。Epic Universeの中にあるものは何でも撮影できたが、乗り物やショー自体の撮影は許されていなかった。とは言え、仮に撮影できていたとしても、その瞬間に筆者が何を感じたかを伝えることはできなかっただろう。

 筆者はVRやARなどの没入型の技術を使った体験には慣れているが、ヘッドセットを付けた時の感覚は、その画面をスクリーンショットで見るものとはまったく違うものだ。しかしひょっとすると、これは好都合なことだったかもしれない。筆者は自分のデバイスをポケットやロッカーにしまい、すべてを自分の目に焼き付け、覚えておかなくてはならなかったのだが、それはまさに自分がやりたかったことだった。最高のマジックのような幻が目の前で生み出されていたのだから、当然だろう。そして後になって、「あれはどういう仕組みだったのだろう」と考えながらその記憶を思い返すことになった。

最高の異世界体験

 Epic Universeは素晴らしいテーマパークだが、その基本的なつくりは従来のテーマパークと変わらない。各ワールドが輪のように配置されている形式は、古くはディズニーランドにまで遡る古典的な設計だ。もっと型破りで実験的なテーマパークがあってもいいと思うのだが、1つのテーマパークを作るのにかかる費用を考えれば、それは現実的ではないのかもしれない。

 Epic Universeの全てのワールドは、有名な映画や、モンスターや、ゲームなどの強力な知的財産をベースにしている。例外は「Celestial Park」で、このワールドは庭園や、噴水や、彫刻などでいっぱいの、アトランティス神話を元にしたようなスチームパンク風のリラックスした雰囲気を持っている。ただしこのワールドは、それぞれの世界にどっぷりと浸る他のワールドの間にあって、気分をリセットするという役割がある。あるいは、緊張を解きほぐすための場所でもあるのかもしれない。Epic Universeは、世界を隔てる扉を通り抜けて、どこか別の世界へ行く体験を提供する新たなアプローチだ。そして時には、その扉の中にまた扉があるようにも感じる。

 今になって思い返すと、筆者の記憶は最初に体験したときよりも印象が強まっているように思える。より一層伝説的な経験だったように感じるし、おそらくそれは意図的に狙ったものなのだろう。もう一度あの世界に渡りたいと感じているし、当然ながら、Epic Universeは次に行く家族旅行の第一候補だ。筆者は家族と来られていたらよかったと思ったし、家族もきっと同じように思うはずだ。入園料は高いが、このパークは明らかに今一番話題のテーマパークであり、それに相応しい出来になっている。

 ヘッドセットで体験できる複合現実の中には、このような別世界に運ばれる感覚に近づいているものもある。しかし、Epic Universeに見られる技術の進化は、すでにバーチャルと現実の融合が極めて高いレベルに達していることを改めて教えてくれる。マリオカートのARバイザー技術は、2021年に日本でお目見えして以来もう4年経っており、次はどんな技術が登場するのだろうと思わされた。Epic Universeにそのヒントがあるとすれば、それはバーチャルと現実の融合はまだ始まったばかりだということだろう。

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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