
新卒入ってくるから教育よろしく!と言われたその日から新卒2年目の私は不安でした。
そんなことをきっかけに、中途を含めた新人の教育体制を作りました。これらを読者の皆さんと共有し、こんな方法もあるのか!と新発見できるような共有できる記事を作りたいと思って、この記事を書いてみました。
ぜひ、新卒や新人として入ってきたあなたの会社のエンジニアを即戦力にあげるべく、なにをしているのかをコメントで教えてください!
そもそもなぜ、教育をするのか?
エンジニア育成への投資は、即戦力の早期育成だけでなく長期的な技術力向上にも不可欠です。
実際、新人研修資料を無料公開する企業が増えており、その資料の多くは初級者~中級者にも学びがありました。(めっちゃいろいろ参考にさせていただきました!)例えばMIXIでは、新卒研修で「現場で必要な知識」と「長期的に役立つ技術的教養」の双方を重視する方針のようで、社内外への研修資料公開によって業界全体の技術力向上に寄与したいと述べています。
この記事では、私の社内で実施してきたエンジニアに限らない研修プログラムの目的・設計思想、具体的な内容と得られた効果をまとめて紹介していければなと思ってます!またその研修に対しても背景や意義などを文献をつけて書いていきます。
簡単に言えば、「私が新卒を直近で経験したからこそ、作った研修」です。
教育担当者や技術マネージャーの方々にとって、どこかの現場での研修導入や改善のヒントになれば幸いです。
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新卒向けプロエンジニア研修(配属初期に1回開催)
新入社員がプロのエンジニアとしてスタートダッシュを切るための導入研修 -
React CRUDアプリ開発演習研修(AI活用あり・全8回コース)
業務に近い題材でReactを用いたWebアプリ開発を実践的に学ぶ中級研修 -
他部署向け技術勉強会(月1~2回開催)
非エンジニア含む他部署メンバーに技術知識を広める社内勉強会
新卒向けプロエンジニア研修(配属初期)
◆ 背景・目的
新卒エンジニアが配属後すぐに活躍できる土台を作ることが目的です。学生から社会人エンジニアへの意識転換を促し、プロの開発者として必要な姿勢・基本技能・開発プロセスを身につけてもらいます。MIXIの新卒研修方針にならい、現場ですぐ役立つ知識だけでなく長期的な成長につながる技術観や学習習慣も重視しました。具体的には、「プロとしての心構え」「チーム開発の基礎」「コード品質への意識」などソフトスキル面と、「開発環境のセットアップ」「Gitによるバージョン管理」「簡単なコード演習」などハードスキル面の双方をカバーしました。
◆ 研修資料の一部公開!
◆ ポイント
- エンジニアとして必要な基本姿勢やマインドセットを早期に習得し、プロとしての意識を高める
- 「エンジニアとは何か?」という問いかけから、自分自身のエンジニア像を明確化する
- 日常的に使うインターネットやWebの仕組みを深く理解し、技術の本質を把握する
- 「良いコードとは何か?」をテーマに、コード品質の重要性や意識を徹底的に養う
- Go言語を使ったアルゴリズム演習を通じて、実践的なコーディングスキルを身につける
◆ 得られた効果
新人たちは「現場で働く姿勢」の重要性を早い段階で理解でき、自走するための基本スキルセットを習得できました。研修直後からGitやコードレビューが円滑に行えたとの現場の声もあり、スムーズなオンボーディングに繋がりました。また、「良いコードとは何か」について、「認知負荷を下げるためのコード」としての観点で、考え続ける姿勢を意識してもらうようにしました。
実際にこの研修を受けた新卒に「今になってどうか?」を聞いてみると、、、
「プロダクトに一番詳しくなるための行動をすること」に対して、実際に意識して行動してみた結果、自分が今何をしているのかが明確化され、自分から積極的に行動するくせがついた。
と言ってくれました!行動に移して、自分がやっている業務の価値を明確に探しにいくことのできる意識はとても大切ですよね!
定期的な案件に近い擬似研修
◆ 背景・目的
ブロックチェーンという分野はきっかけが必要な分野だと個人的には思っています。特にその入り方は人によってさまざまです。そこでブロックチェーンに触れるエンジニアとして新人が入ってきて、そのハンズオンや業務内容に近い部分についての研修として、Reactのアプリを使ってやってもらうことにしました。この研修は現在、ちょうど行なっているところであり、その準備のため、ChatGPT, Gemini, Github CopilotなどのAIを駆使して、を使って5時間で基礎的なCRUDアプリの作成をしました!(このお話はまた後ほど。)このアプリを使って学習していただきました。
◆ 研修設計の工夫
5時間×全8回(週1回ペース)のコース形式で、約2か月かけて演習を進めています。
題材には社内の稟議業務を模したシステムで実装する一部のシステムを採用しました。
これは基本的に中間APIサーバを作成して、フロントまで移すようなもので、一連の機能を含むため、CRUD操作とワークフローを網羅できる教材として作成しました。研修自体はこれに加えて、「ブロックチェーンとは何か?」という基礎的な講義内容も含めて作成しています。
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第1回
まずは講師側が、ブロックチェーンという分野についてどれくらいのことを知っているのか?を把握することと教えられる側が概要的なことを知るために簡単に講義形式と質問や実際の画面などを提示しながら話す時間を設けました。 -
第2~5回:
ブロックチェーンに関わる送金操作やアドレスの生成などの実践的なコードを書き、ブロックチェーンの動きがどのようになっているのかを体験するフェーズを設けています。ここでは、どのように最新情報を追うのか、AIをどのように使えるのかなどを実務ベースで説明しました。 -
第6~8回:
最後は最新の情報の集め方や基本的な実装、AIの活用を含めて実践的に研修としてやってもらいました。実際に中間APIサーバをExpress.jsで作ってもらうとReactの画面に反映される方法でアプリを作成したので、実際の業務にかなり近似的なものの体験ができるようにしました。この6-8回はいわゆるオフィスアワーのような形で、それぞれの課題とし、その中でわからないものについて質問できる時間として活用しています。(現在進行中)
◆ 得られた効果
受講者たちは実務に直結する開発経験を短期間で積むことができ、自信を持って案件への参加ができるようになりったと思います。研修前はExpress.jsが未経験だったメンバーも、基本的な内容やRestful APIの思想も身についている状態になりました。ChatGPTなどのAIを活用した方法や最新技術を追う方法、基本的なブロックチェーン技術まで幅広く実践的にできたものだと思います。
実際にこの研修を行ったメンバーから
現場課題を研修課題にしてくれたおかげで開発生産性が上がった
というフィードバックをもらいました。こういう実践的な研修は案件へとスムーズに入れるために有意義なものとなったように思います。
他部署向け勉強会(月1~2回開催)
◆ 背景・目的
エンジニア以外の他部署メンバーにもWeb3やブロックチェーンの基礎やと社内システムとの連携への理解を深めてもらい、業務効率を上げる(ボトムアップ)が目的です。特にそこまで人数が多くない子会社のような規模だと開発部門と他部署が密接に連携することが多いため、相互理解が重要です。そこで当社では非エンジニア社員向けに技術勉強会を定期開催し、基本的なITリテラシーや当社プロダクトの技術的背景を共有しています。たとえば、新機能企画の担当者がエンジニアと円滑に会話できるようにしたり、管理部門などが実際の業務の価値や意味付けを個人ですることによってエンゲージメントを高める効果があります。
◆ 勉強会の形式と工夫
月1~2回のペースでハイブリッド(オンライン+オフライン)でワークショップも含めて開催しています(社内向け)。毎回の特定の参加者意外は任意で、部署横断で興味ある社員が集まるスタイルとしています。内容はスライド講義+簡単なワークショップで構成し、飽きずに学べる工夫をしています。過去に実施したテーマの一例を挙げます。
- 「ブロックチェーンの基本概念とエクスプローラー」:
ブロックチェーンを社内オペレーションも含めた法廷帳簿と比較しながら、実際の業務の理解とそれと類似したブロックチェーンの概念の話から実際の数値が出てくるエクスプローラー(BTC, ETHなど)の見方などを説明しています。
◆ 得られた効果
他部署勉強会を続けた結果、参加者からは普段意識できていなかった部分に理解ができるようになったことへの良い声を多くもらいました。
今までハッシュと取引数量しかわからなかったが、それ以外の表示内容についても理解できるようになった。
説明後、実際にトランザクションハッシュから取引内容を検索するワークショップを行ったことで内容が分かりやすかった。
実務上の活用方法と自分の部署以外のトランザクション認識の違いを理解できた
また、説明しているエンジニア側も他部署の視点を知ることで「専門用語を噛み砕いて説明するスキル」が身につき、コミュニケーションの円滑化を実感しています!エンジニア側とそうではない人間とのコミュニケーションの問題を解決する1つの手かもしれませんね!
成果と考察:研修全体を通じて得られたもの
さまざまな知識のレベルアップや実践的な研修を通じて、当社のエンジニア組織には様々なプラスの変化が生まれました。
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新人育成の加速
新卒を含めて、教育や研修を充実、フォローアップの体制をつくることはエンジニアの数を増やしながら成長していく組織としては必要なことで、それらによってキャッチアップが速くなったり、前提として知らなければならないことが整理されるようになります。 -
学習文化・コミュニティ形成
上記で紹介した内容以外にもエンジニアとしてアルゴリズムを知る機会などを定期的に儲けることによって、新たな内容や意外と知らなかったこと、チームコミュニケーションなどが活性化されます。また研修の中にLT会などを混ぜ込むことでアウトプットを重要視することもひとつの活動として行いました。 -
モチベーション向上
これまでに書いていたことはそれぞれエンジニアもエンジニアでない人もWin-Winになれて、業務価値を感じられるようなモチベーションも向上できていることが個人的にも周りの声でも感じられています。みんなで会社をやっていく上でみんなで支え合う座組はこれからどんどん追求すべきことのように思いますよね!
他社の取り組みとの比較と学び
当社の研修を振り返るにあたり、他社のエンジニア研修事例も大いに参考になりました。ここでは、いくつかの企業の取り組みを見てみましょう。
- MIXIの新卒研修は多岐にわたる技術を網羅している点、資料公開を積極的に行っている点が参考になりました。
- リクルートの新人研修は現場の知見を内製し、最新トレンド(Next.jsなど)を取り入れていることが刺激になりました。
- ウィルゲートの研修はエンジニアのマインドセットを明文化しており、当社でも「プロ意識」の明文化を参考にしたいと考えました。
- サイボウズの取り組みは技術ライティングやライセンス知識を盛り込み、全社に公開する姿勢が参考になりました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?ぜひ、当社や他社がやっている研修をまとめて紹介してみました!他社の研修や実践的な研修はやるだけでなく、後に繋げてさらにアップデートしていく必要もあります。みんなで協力的になって即戦力をふやしていくことは大事だなぁと感じています!
今後もこういった情報を発信できればと思っています。
ぜひ研修をやってみたいとか、アップデートしていきたい方々に参考になれば
【参考資料】
本記事では以下の文献や記事を参考にさせていただきました!ありがとうございました!!
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