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概要
この記事では、デザインがビジネスにおいて持つ効果を数字や統計を通して説明しています。特に、デザインに対する投資がどのように利益や成長に寄与するのかを示す具体的なデータを用いて、デザインを経営資源として捉える重要性を強調しています。
要約(箇条書き)
- デザインの本質: 見た目だけでなく、「伝える力をどう設計するか」が重要。
- デザイン投資の効果:
- 利益の増加: デザインに1ドル投資すると、平均4ドルの利益を得られる(ROI)。
- 成長率: デザイン経営を実践する企業は、S&P500企業と比較して約2.1倍の成長を遂げた。
- 株価の向上: 国際デザイン賞を受賞した企業の株価は、FTSEインデックスと比べて約2倍の成長。
- 選ばれる理由: デザインが「誰に・何を・どう伝えるか」を改善し、顧客に選ばれる要素を作る。
- 中小企業への効果: デザイン導入で強みが明確になり、問い合わせが増加するなどの成果がある。
- 未来への投資: デザインはコストではなく、企業の価値を高める手段であり、未来への効果的な投資となる。
- 具体的な始め方: いきなり大規模な投資ではなく、チラシやSNS広告から小さなデザイン投資を始めることを推奨。
たしかに、見た目を整えることは大切です。
でも、デザインの本質は“見た目”ではありません。
本当に大事なのは、「伝える力をどう設計するか」
そしてその力は、ちゃんと数字で効果が見えるものでもあります。
たとえば、売上、成長率、ブランドの信頼度。
「伝え方」を丁寧に設計することで、こうした数値にもしっかりと変化が現れてきます。
…とはいえ、「デザインが大事」とか「デザインにしっかりコストをかけた方がいい」と言われても、「ただの営業トークでしょ?」と思われるかもしれません。
そして、デザインの成果は、数字として見えにくいところがあります。デザインに力を入れたタイミングで売上が上がったとしても、かなりしっかり集計を取らない限りすべて「デザインの効果」とは言い切れないのもよくある事実です。
だからこそ今回は、そんな数字や統計が証明する“デザインの力”を、ご紹介していきます!
2. 数字が語る、デザイン投資による3つの効果
まず、「デザインに投資する」とは、
見た目を整えるだけでなく、“伝える設計”に十分な時間やコストをかけるということです。
実際に、そうしたデザインにしっかりと投資した場合と、そうでない場合とでは、ビジネス成果に明確な差が出ています。
今回は、それを裏付ける「デザインの効果」を示す3つの根拠をご紹介します。
【1】デザイン投資で利益が4倍に(ROI)
「デザインに1ポンドを投資すると、平均で4ポンドの利益が得られる」
出典:英国 Design Council『The Value of Design Factfinder Report(2007)』
こちらはイギリスで行われた調査。
デザインに投資した企業は、平均で4倍の利益を得ているという結果が出ています。
「ROI=投資利益率」と呼ばれ、「かけた金額に対して、どれだけリターンがあったか」を示す指標です。つまり、デザインのROIは約4倍というわけです。これは、ただ“見た目を良くした”のではなく、「伝わる仕組みを設計したデザインの効果」が利益に繋がったことを表しています。
デザイン投資分の4倍の利益を得るイメージ(ROI:4倍)
【2】売上成長率は2.1倍に
「デザイン経営を実践する企業群は、S&P500企業と比べて約2.1倍の成長を遂げた」
出典:Design Management Institute『Design Value Index(2015)』
また、アメリカの調査でもデザインを戦略に取り入れた企業は、株価ベースでの売上成長スピードが約2倍以上という結果に。
「デザイン力で、経営成長を押し上げている」ことを示す、非常に説得力のある数字です。
この調査が、世界中で「デザイン=経営資源」として認識されるようになった大きなきっかけのひとつだと言われています。
デザインは「見た目の加点」ではなく、企業の成長を加速させるエンジンにもなるということですね。
売上成長スピードが2倍のイメージ
【3】株価パフォーマンスも約2倍
「iF、Red Dotなどの国際デザイン賞を受賞した企業166社の株価は、FTSEインデックスと比べて約2倍の成長」
出典:特許庁『競争力強化に資するデザイン経営に関する調査報告書(2018)
そして、デザインが高く評価された企業は、市場価値そのものも上がっているという事例。
つまり、「良いデザイン=信頼や期待の証明」でもあり、企業の将来性につながると結果がでました。
株価パフォーマンスも約2倍のイメージ
3. なぜ、デザインが経営に効くのか?
それは、デザインが「選ばれる理由」をつくるからです。
今の時代、サービスや商品は「いいもの」であるだけでは、選ばれにくくなっています。
だからこそ、“誰に・何を・どう伝えるか”を設計する力=デザインが重要になってくるのです。
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パッと見て伝わる設計
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視線の流れをつくる配置
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「申し込んでみようかな」と思える導線づくり
似たようなサービス(競合)から選ばれる理由になる
こうした“伝える工夫”の積み重ねが、結果として売上や信頼の獲得につながります。
4. 中小企業にも効く、“伝える力”としてのデザイン
特許庁の報告書では、中小企業におけるデザイン導入の成果も紹介されています。
たとえば…
-
企業の強みやらしさが明確になった
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採用や人材の定着にプラスになった
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新しい仕事やメディア露出のチャンスが生まれた
「“何を伝えたいか”が整理できたことで、問い合わせが増えた」
出典:中小企業ヒアリング結果(特許庁報告書より)
限られた予算やリソースのなかでも、「伝え方」にこだわるだけでチャンスは生まれるということですね。
「ビジネス×デザイン投資」は成果につながる!
5. おわりにデザインは“未来への投資”
デザインは、見た目を整えるだけのものでも、ただのコストでもありません。
むしろ、企業の価値や想いを「伝わる形」に変える力です。
調査データを見ても明らかなように、
デザインを重視する企業は、利益・成長・ブランド評価と、あらゆる面で着実に成果を出しています。
これからの時代、デザインはビジネスに欠かせない「未来への先行投資」になっていくはずです。
とはいえ、いきなり本格的な「デザイン投資」はハードルが高い…と感じる方もいるかもしれません。
そんなときはまず、チラシやSNS広告など、身近なところの“ちいさなデザイン投資”を始めてみるのもおすすめですよ。
伝える力は、きっと未来を動かす力になります。
ちいさなデザイン投資、今日から少しずつ始めてみませんか?
■参考資料
本記事内のデータは、特許庁『デザイン経営に関する調査報告書(2018)』をもとに引用・整理しています。
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