好きなアイドルやキャラクター、いわゆる「推し」の存在は、多くの人々の日常に彩りを与え、時には生きがいやモチベーションの源泉となる。
特に「推しに会える日」、すなわちライブやイベントなどの「現場」は、ファンにとって年に数回の特別な機会だ。
その晴れ舞台に向けて、多くのファンが時間とお金をかけて美容にいそしむ実態が、『推し活応援メディア』を運営する株式会社Oshicocoの調査によって明らかになった。
© 株式会社Oshicoco
■調査に参加した回答者の「性別・年齢・地域」
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■好きな推しジャンルについて(複数回答可能)
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■普段どんな推し活をしているのか(複数回答可能)
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「現場」は特別な日。
推し活層の8割が美容に投資、その実態とは
Oshicocoが2025年4月10日から4月17日にかけて同社のInstagramフォロワーおよび公式LINE登録者を対象に実施した「推し活と美容に関する実態調査」(有効回答数564)によると、「現場前に美容活動をしているか」という問いに対し、実に8割近くが「している」と回答。
この数字は、推し活層がいかに現場での自分自身の見え方を意識しているかを示している。
回答者の多くが好む推しジャンルは、「国内男性アイドル」、次いで「2.5次元(漫画・アニメ・ゲームなどを原作とする舞台)」、そして「KPOPアイドル」と、実際に本人に会える機会のある“3次元”のコンテンツが人気を集めた。
彼女たちの普段の推し活は、「グッズ購入」が最も多く、次いで「コンサート・イベント参加」「カフェ活」と続く。特にCDやDVDなどのグッズ購入は、イベント参加資格を得るためという声もあり、推しとの直接的な接触機会を重視する傾向がうかがえる。
年に6回以上、つまり2ヶ月に1回程度の頻度で現場に参加するファンは約38%にのぼり、その熱意は相当なものだ。
そして、1回の現場前にかける美容費用は、「10,001円から30,000円」が全体のほぼ半数を占め、2人に1人がこの価格帯で美容にお金を使っているという結果になった。
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「写真映え」のため、美容院・ネイル・まつげにかける熱意
では、具体的にどのような美容活動にお金をかけているのだろうか。調査結果で圧倒的な割合を占めたのは「美容院」で39%、つまり2.5人に1人が現場前に美容院を利用している計算になる。続いて「まつげサロン」が16.2%、「ネイルサロン」が15.6%と続く。
特に「ネイルサロン」は、「セルフネイル」(7.8%)も含めると合計23.4%となり、4人に1人が何らかの形で現場前にネイルケアを施していることになる。
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この背景には、推し活グッズと共に自分の手を撮影し、SNSに投稿する際の「写真映え」を重視する文化があるようだ。
インタビューに応じたMさん(20代大学生・女性、推し:国内2次元アニメ)も「推し活グッズを持って写真を撮るときには爪がかわいいと写真も映えるんですよ~」と語る。
Sさん(20代大学生・女性、推し:国内男性アイドル)は「ネイルサロンでは推しのモチーフを作ってくれたり、衣装に合わせネイルをしてくれたりするので、本格的な推しネイルをしたい人はネイルサロンに行くと思います」と、よりパーソナルな表現を求めている。
一番お金をかけている美容活動でも「美容院」が66.2%と突出しており、カラー、カット、パーマ、トリートメントといった複数の施術を組み合わせることで金額が高くなりやすい傾向が見られる。
Sさんは「SNSに載せる投稿とかに関しては、うちわや加工で顔を隠しちゃいます。だからこそ髪の毛や服装の部分が大事」と、顔が直接写らなくても、髪型が全体の印象を左右する重要な要素であると指摘した。
まつげパーマやエクステンションについては、Mさんが「まつ毛はあがっていると顔の印象が変わるし、メイクしなくても映えるから簡単にできる垢抜けの一つ」とコメントしており、手軽に印象を変えられる点が支持されているようだ。
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「隠す」文化と「見せる」美意識
推し活における美容の奥深さ
今回の調査で興味深いのは、日本の推し活層に広く見られる「趣味のアカウントには自分の顔を載せない」というスタイルにもかかわらず、外見への意識が非常に高い点だ。
顔を完全に写さなくても、手元やヘアスタイル、服装といったディテールが写真に映り込み、それらが写真全体の雰囲気を決定づけるため、細部へのこだわりが生まれる。
Oshicocoの考察によれば、推し活に向けた美容は、美容整形やダイエットといった長期的なものではなく、イベント直前に効果を発揮できる「即効性のある外見ブラッシュアップ」の要素が強いという。
つまり、推し活層にとって美容は、見た目を整えるという側面に加え、「写真を通じて間接的に自分を表現する方法」としての意味合いも持っていると考えられる。
Oshicocoは、毎月4日を「Oshicoco推しの日」とし、「推し活×〇〇業界」をテーマに発信を続けている。
今回の調査結果の詳細は後日同社HPで公開予定であり、今後は推し活とファッションとの関係性など、さらに深い分析が期待される。推しへの愛があふれるからこそ生まれる独自の美容文化は、今後も様々な形で進化していくのだろう。
Top image: © 株式会社Oshicoco
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