昔から採掘ゲームが大好きです。古くはFlashゲームの『Motherload』(現在はFlashのサービス終了によりプレイ不可。Steamにて『Super Motherload』が配信中)にハマり、そこから『SteamWorld Dig』などもプレイしました。そんな採掘ゲームとWave制アクションが融合したら、どうなるでしょうか。
ウクライナに拠点を置くRetroStyle Gamesは、2024年7月に早期アクセスをスタートした採掘ローグライクシューター『Ocean Keeper: Dome Survival』のSteam版を2025年5月2日に正式リリースしました。
本作は、2Dスタイルの採掘アクションと、押し寄せる敵を装備している武器で撃退するタワーディフェンス要素を融合させた作品です。プレイヤーは、採掘で鉱石を掘りながらマシンの強化を行い、海中世界で多彩な敵と戦いながら、惑星に隠された謎を解き明かしていきます。
今回のアップデートはSteam版を対象にしています(他プラットフォームへの更新は後日を予定)。正式版ではストーリー要素の追加やUI改善、各種武器や敵のバランス調整、ビジュアルアップデートなどの変更が実施されています。


本稿では、正式版を迎えた『Ocean Keeper: Dome Survival』のプレイレポートをお届けしていきます!
謎の惑星で掘れ、生き残れ!
本作の物語は、主人公とサポートメックが目的となる惑星に不時着したシーンから始まります。まずは、記憶が混濁している主人公に訓練プログラムを実施する形で戦闘パートと採掘パートのチュートリアルを行います。
ゲームは見下ろし型視点でマップを移動する形式で、洞窟に入ることで2D風のアクション画面へと移行します。採掘パートでは壁を壊しながら鉱石を集め、出口まで運ぶことで強化用の素材として利用可能です。1度に持てる鉱石の数をオーバーすると大幅に移動力が落ちるので注意しましょう。




そして画面上のタイマーが0になると、主人公の乗るマシンへと多数の怪物が押し寄せてきます。敵は突っ込んでくるタイプ、射撃タイプ、倒されると地面にダメージ床を残すタイプなどがいて、全滅させることで次のWaveへのカウントダウンが始まります。
プレイヤーは敵を殲滅した後の時間を使って採掘を進めてマシンを強化していくのが大きな目的。アップグレードはマシンの武器や耐久力のほか、採掘スーツの移動速度や採掘パワーなどの項目があるので、防衛を優先するか、採掘効率を優先するかを考えていく必要があります。



また、採掘エリアで「アーティファクト」を見つけることで、新たな装備や強化プランを獲得できます。自動攻撃してくれるライフルやナパームなど、手数が増える武器はそのまま生存力に直結します。


採掘、強化、また採掘
Waveが進むごとに敵の数や種類は増えていきます。また、10Waveごとに強力なボスモンスターも登場するので、少しでも長く生き続けるためにはマシンの強化は欠かせません。基本的にマシンは移動力が遅めなので、逃げ続けるということは不可能です。
本作のゲーム性を高めている部分はなんといっても「時間制限の採掘」という部分。もし洞窟内にいて戦闘が始まれば、無人のマシンがあっという間に壊されてしまいます。ゆっくり掘ることはできないので、しっかりと強化プランを立てて行くことが大切です。



メイン武器やスキルは出撃時に決定できますが、自動攻撃武器はアーティファクト入手でランダム獲得なので、プレイごとに戦略もアップグレードの方向性も異なります。ひとつの武器を強くするのであれば、貴重な素材が大量に必要になるので、より深い地点での採掘も必要になります。
マシンが破壊されてしまった場合は、出撃時に稼いだ通貨を使用してパッシブ能力や新しい武器・スキルを購入できます。また、死んで拠点へと戻ることでストーリーも進んでいくので、ある程度は倒されながら強くなってゲームを進めていくデザインです。




出撃中の強化素材と、本拠地での強化用通貨は完全に別物なので「これは取っておいたほうがいいかな……」と悩まなくていいのは大きな利点です。もちろん出撃時の強化プランには悩みますが、死ぬくらいなら全部使ってしまえ!という考え方で戦えますし、強化の強みもしっかりと学習できます。


ストーリー進行方式がややもったいない
本作の主人公は、惑星内の海中にある遺跡を探す傭兵という設定。ゲーム中でマシンが壊されることで雇い主との会話が進行していき、提示される目的を達成していくことで少しずつこの世界に関するストーリーが明かされていきます。
この提示される目的というのがマップ内の「ブリーフケース」を探す、といったもので、目的物は特定エリアの洞窟内に隠されています。ここではちょっとしたパズルゲームが用意されていて、クリアすることで多彩な武器や基礎アップグレード項目がアンロックされていきます。



ゲームが進めばマシンの短距離ダッシュなどのスキルも使えるようになり、移動・戦闘・採掘いずれも大きく効率がアップしていきます。こういった効率アップは採掘アクションでの最大の醍醐味とも言えるでしょう。ただし、本作はこのアンロックのための行動が、ややゲーム内で融合していない印象です。
まず、パズルを解いていても敵が出現するカウントダウンは続くため、定期的にわざとやられて地上に戻らなければなりません。これもゲーム性ではあるのですが、往復作業も必要ですし、パズルのある部屋では“強化素材がほとんどない”ため、Waveが進むと圧倒的不利になってしまいます。



なにより防衛&採掘の融合が魅力の本作で、このストーリー進行の目的探しはどちらも楽しみにくい、少し別のゲーム性になっている印象です。もちろん最終的には強化に繋がるのですが。ストーリーを優先すると通貨稼ぎも滞りますし、もう少し自然に組み込めると嬉しかったかな……という思いはあります。




『Ocean Keeper: Dome Survival』は、昔ながらの採掘アクションと、ランダム性のある強化をしながら押し寄せる敵と戦うWave制の防衛アクション要素がしっかりと融合しています。採掘で時間制限があるため、防衛時も「なるべく洞窟に近いところで全滅させよう」などの戦略を考える必要があり、シンプルな繰り返しながら優秀なゲームデザインです。
一方で正式版にて追加されたストーリー要素の進行方法には、やや不満点が残ります。何度か倒されなくては物語が進まない、パズルと基本的なゲーム要素が融合しきれていないという点だけでなく、目的物を探すための方法がほとんど明かされない不親切さも気になります。ここに関してはヒントはありますし、ゲームの方向性とは思うのですが、知らずに防衛し続けるプレイヤーも出るのではないかという懸念もあります。


日本語翻訳もされていて、内容自体もある程度わかるのですが、突然口調が変わったり言い回しがおかしい部分もあるので、こちらも今後の更新で改善されることを望みます。防衛&採掘要素はどちらも中毒性が高いジャンルで、本作もたっぷりとその醍醐味を味わえるので、両ジャンルが好きな人なら要チェックの作品です!
採掘&防衛ACTという“間違いないジャンル”の組み合わせは魅力抜群スパ!
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