土曜日, 5月 17, 2025
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手を動かして学ぶ!MCPステップバイステップ実践ガイド for Beginners – Vol.4 情報を分かりやすく!JSON形式でMCPデータをやり取りする #Python



手を動かして学ぶ!MCPステップバイステップ実践ガイド for Beginners - Vol.4 情報を分かりやすく!JSON形式でMCPデータをやり取りする #Python

1. はじめに:ただの文字列じゃ物足りない!

皆さん、こんにちは!「手を動かして学ぶ!MCPステップバイステップ実践ガイド for Beginners」へようこそ!シリーズも折り返し地点が近づいてきた第4回です。

前回のVol.3では、Pythonのrequestsライブラリを使って、初めての「MCPクライアント」プログラムを作成しましたね。そして、Vol.2で作ったFlaskサーバーに対して「お願い(リクエスト)」を送り、サーバーからの「お返事(レスポンス)」を受け取るという、基本的な通信を体験しました。自分の作ったプログラム同士が会話する様子は、なかなか感動的だったのではないでしょうか。

さて、ここまでの私たちのサーバーとクライアントは、”Hello, MCP Server from Flask!” といった、とてもシンプルな「ただの文字列」をやり取りしていました。挨拶程度ならこれでも良いのですが、MCP(Model Context Protocol)が本当にやり取りしたいのは、もっと複雑で意味のある情報、例えば「エアコンモデルの現在の設定温度は25度で、運転モードは冷房です」といったような、「モデル」や「コンテキスト」に関する具体的なデータです。

このような「構造化されたデータ」をプログラム同士で正確に、そして効率的に交換するためには、お互いが理解できる共通の「データの書き方ルール(データ形式)」が必要になります。

そこで今回のVol.4では、その共通ルールとして現代のウェブで広く使われている 「JSON(ジェイソン)形式」 について学びます。そして、FlaskサーバーがJSON形式でモデル情報を返し、Pythonクライアントがそれを受け取って内容を理解する、という一連の流れを実際に手を動かしながら作っていきます。

データの表現方法がリッチになることで、私たちのMCPシステムもぐっと本格的になっていきますよ。それでは、JSONの世界へ一緒に飛び込んでみましょう!

2. なぜ「共通のデータ形式」が必要なの? ~言葉が通じないと困るよね?~

コンピューターやプログラム同士が情報を交換するとき、お互いがその情報を正しく理解できなければ意味がありません。これは、私たち人間のコミュニケーションと全く同じです。

例えば、あなたが誰かに電話番号を伝えたいとします。もし、あなたが「イチニサン、ヨンゴロク、ナナハチキュウゼロ」と口頭で伝えたら、相手は「123-456-7890」という電話番号だと理解できますよね。これは、数字の読み方や電話番号の区切り方について、お互いに共通の認識(暗黙のルール)があるからです。

しかし、もしあなたが独自の方法、例えば「太陽、月、星、川、山、海、…」のように数字を暗号化して伝えたら、相手は何のことだかさっぱり分かりません。

プログラムの世界でも同じことが言えます。サーバーがクライアントにデータを送る際、ただベタッと長い文字列で「エアコン温度25モード冷房湿度50」のように送られても、クライアントプログラムは「どこからどこまでが温度の情報で、どこがモードの情報なの?」と困ってしまいます。これでは、データの中から必要な情報を取り出すのが非常に大変です。

そこで必要になるのが、「構造化されたデータ」と、その「共通のデータ形式」 です。

「構造化されたデータ」とは、情報が意味のあるまとまりとして整理され、各部分が何を表しているのかが明確になっているデータのことです。例えば、名簿であれば、

  • 「名前:山田 太郎」
  • 「年齢:30」
  • 「部署:営業部」

のように、「項目名(キーとも言います)」と「その値」がペアになっていると、非常に分かりやすいですよね。

MCPで扱う「モデル」や「コンテキスト」の情報も、まさにこのような構造化されたデータとして表現するのが適しています。例えば、「エアコン」というモデルの情報は、

  • 「モデル名:リビングエアコン」
  • 「現在の温度:25.5」
  • 「設定温度:24.0」
  • 「運転モード:”冷房”」
  • 「電源状態:オン」

といった複数の項目と値の集まりとして表現できます。

そして、このような構造化されたデータを、異なるプログラム(例えば、Pythonで作られたサーバーと、もしかしたら別の言語で作られているかもしれないクライアント)の間で正確にやり取りするためには、「この構造はこういう風に書きますよ」という 共通の書き方ルール(データ形式) が必要になるのです。その共通ルールの一つが、今回学ぶJSON形式です。

3. JSONって何だろう? ~人間にも機械にも優しいデータのお約束~

お待たせしました!いよいよ、今回の主役である「JSON」の登場です。

JSONの正体: JavaScript Object Notation

JSONとは、JavaScript Object Notation の頭文字を取った略称です。名前の通り、元々はプログラミング言語のJavaScriptで、オブジェクト(関連するデータや機能をまとめたもの)を記述するための書き方(記法=Notation)として生まれました。

しかし、そのシンプルさと扱いやすさから、JavaScript以外の多くのプログラミング言語でも利用されるようになり、現在では、ウェブAPI(プログラム同士がインターネット経由で情報をやり取りするための窓口)などを通じてデータを交換する際の、事実上の標準的なデータ形式の一つとして広く普及しています。MCPのようなプロトコルで情報をやり取りする際にも、JSONは非常に有力な選択肢となります。

JSONのココがすごい!3つの特徴

JSONがこれほどまでに広く使われるようになったのには、いくつかの理由があります。

  1. 人間が読み書きしやすい (Human-readable):
    JSONはテキストベース(文字だけで構成される)のデータ形式で、その構造は比較的シンプルです。そのため、プログラムの専門家でなくても、JSONデータを見れば「ああ、これはこういう情報だな」と内容を理解しやすく、また、手で書いたり編集したりするのも比較的簡単です。
  2. 機械(プログラム)が解釈しやすい (Machine-parseable):
    JSONの構造は明確なルールに基づいているため、プログラムがJSONデータを読み込んで、その中から必要な情報を取り出す(これをパースすると言います)のが非常に容易です。また、プログラム内部のデータをJSON形式に変換して出力(これをシリアライズする、または生成すると言います)するのも簡単です。多くのプログラミング言語には、JSONを扱うための便利なライブラリや機能が標準で備わっています。
  3. 軽量である:
    XML(もう一つの代表的なデータ交換フォーマット)などと比較して、JSONは一般的に記述が簡潔で、データサイズが小さくなる傾向があります。これは、ネットワーク経由でデータをやり取りする際に、通信量を抑えられ、より高速なやり取りが可能になるというメリットに繋がります。

JSONの基本的な書き方ルール:まるで名簿やリストみたい

それでは、JSONが具体的にどのような見た目をしているのか、その基本的な書き方のルールを見ていきましょう。JSONは主に2つの基本的な構造でデータを表現します。

1. オブジェクト (Object):「名前」と「値」のペアの集まり

JSONのオブジェクトは、複数の「名前(キーとも言います)」と「値」のペアを集めたものです。これは、Pythonの「辞書 (dictionary)」によく似ています。

  • { } (波括弧) で全体を囲みます。
  • 各ペアは、”名前”: 値 の形式で書きます。
    • 「名前(キー)」は、必ず “” (ダブルクォーテーション) で囲まれた文字列でなければなりません。
    • 「値」には、後述する様々なデータ型(文字列、数値、真偽値、配列、別のオブジェクトなど)を指定できます。
  • 複数のペアがある場合は、コンマ , で区切ります。

例: あるスマートデバイスの情報をJSONオブジェクトで表現してみましょう。

JSON

{
  "deviceName": "リビング照明",
  "deviceID": "LGT-001",
  "isOn": true,
  "brightness": 80,
  "color": "white"
}

この例では、"deviceName""deviceID" が「名前(キー)」で、"リビング照明""LGT-001" がそれぞれの「値」です。このオブジェクト全体で、一つのリビング照明に関する情報をまとめて表現しています。まるで、一枚の「名刺」や「プロフィールカード」のようですね。

2. 配列 (Array):値のリスト

JSONの配列は、順序付けられた値のリストです。これは、Pythonの「リスト (list)」によく似ています。

  • [ ] (角括弧) で全体を囲みます。
  • 値は、コンマ , で区切って並べます。
  • 配列の中に含めることができる「値」の種類は、オブジェクトの場合と同様に、文字列、数値、真偽値、別のオブジェクト、別の配列など、様々です。

例: 複数のセンサーの名前をJSON配列で表現してみましょう。

JSON

[
  "温度センサーA",
  "湿度センサーB",
  "ドアセンサーC"
]

例: 複数のデバイス情報(オブジェクト)を配列でまとめて表現することもできます。

JSON

[
  {
    "deviceName": "玄関照明",
    "deviceID": "LGT-002",
    "isOn": false
  },
  {
    "deviceName": "廊下照明",
    "deviceID": "LGT-003",
    "isOn": true,
    "brightness": 50
  }
]

この例では、2つの照明デバイスの情報(それぞれがJSONオブジェクト)が、一つのJSON配列の中に格納されています。

3. 値の種類:文字、数字、真偽、そして「何もない」

JSONのオブジェクトや配列の中で「値」として使えるデータの種類(データ型)は、主に以下のものです。

  • 文字列 (String): “” (ダブルクォーテーション) で囲まれたテキスト。例:"Hello", "エアコン"
  • 数値 (Number): 整数または浮動小数点数。例:100, 25.5, -10.2
  • 真偽値 (Boolean): true (真) または false (偽) のどちらかの値。必ず小文字で書きます。
  • 配列 (Array): 上記で説明した [ ] で囲まれた値のリスト。
  • オブジェクト (Object): 上記で説明した { } で囲まれた名前と値のペアの集まり。
  • null (ヌル): 値が存在しないこと、または「何もない」ということを表す特別な値。必ず小文字で書きます。

これらの基本的な要素を組み合わせることで、かなり複雑な情報構造もJSONで表現することができます。

Pythonの「辞書」や「リスト」とそっくり!

ここまでJSONの書き方を見てきて、「あれ?これってPythonの辞書やリストに似てるな」と感じた方も多いのではないでしょうか? その通りなんです!

  • JSONのオブジェクト { "key": "value" } は、Pythonの辞書 {'key': 'value'} に非常によく似ています。(キーが文字列である点、文字列をダブルクォーテーションで囲む点が主な違いです)
  • JSONの配列 [1, "apple", true] は、Pythonのリスト [1, 'apple', True] にそっくりです。(trueTrue に、falseFalse に、nullNone に対応します)

この類似性のおかげで、Pythonプログラムでは、JSONデータをPythonの辞書やリストに変換したり、逆にPythonの辞書やリストをJSONデータに変換したりするのが非常に簡単に行えます。これについては、後ほど実際にコードで見ていきましょう。

4. FlaskサーバーからJSONデータを返してみよう! ~モデルの情報をお届け~

さて、JSONの基本が分かったところで、いよいよ私たちのFlaskサーバーを改造して、単純な文字列ではなく、JSON形式でデータを返すようにしてみましょう。ここでは、例として「スマートサーモスタット」という架空のデバイスのモデル情報をJSONで返すようにしてみます。

準備運動:いつもの作業フォルダと仮想環境

まずは、Vol.1から使っているプロジェクトフォルダ(例:mcp_beginner_guide)をVS Codeで開き、仮想環境(例:mcp_env)が有効になっていることを確認してください。

サーバープログラム (app.py) を改造しよう!

前回 (Vol.2, Vol.3) で使ったサーバープログラム app.py を開いて、以下のように変更を加えます。

from flask import Flask, jsonify # jsonify をインポートする

app = Flask(__name__)

# ルートURL ("https://qiita.com/") にアクセスがあった場合に、モデル情報をJSONで返す
@app.route("https://qiita.com/")
def get_model_data():
    # Pythonの辞書としてモデルデータを作成
    model_data = {
        "modelName": "Smart Thermostat X1000",
        "deviceId": "THERMO-001-A",
        "location": "Living Room",
        "status": {
            "currentTemperature": 23.5,
            "targetTemperature": 24.0,
            "unit": "Celsius",
            "isActive": True,
            "mode": "auto"
        },
        "supportedModes": ["auto", "cool", "heat", "off"]
    }
    # jsonify を使って辞書をJSON形式のレスポンスに変換して返す
    return jsonify(model_data)

if __name__ == '__main__':
    app.run(debug=True)

変更点の解説:

1. from flask import Flask, jsonify:
Flaskライブラリから、jsonify という新しい関数をインポートしています。この jsonify が、Pythonの辞書を適切なJSON形式のHTTPレスポンスに変換してくれる魔法の道具です。

2. def get_model_data()::
ルートURL / にアクセスがあったときに呼ばれる関数の名前を hello_mcp_server から get_model_data に変更しました(分かりやすさのため。名前は何でも構いません)。

3. model_data = { ... }:
ここで、Pythonの 辞書 (dictionary) を使って、スマートサーモスタットのモデル情報を定義しています。

  • "modelName", "deviceId", "location" といったキーに対して、それぞれの値(文字列)を割り当てています。
  • "status" というキーの値は、さらに別の辞書(入れ子になった辞書)になっていて、温度や動作モードなどの詳細な状態情報を格納しています。
  • "supportedModes" というキーの値は、文字列の リスト (list) になっていて、このサーモスタットが対応している動作モードの一覧を格納しています。 このように、Pythonの辞書とリストを組み合わせることで、JSONで表現したい複雑なデータ構造を簡単に作ることができます。

4. return jsonify(model_data):
ここが重要なポイントです!作成したPythonの辞書 model_data を、jsonify() 関数の引数として渡しています。すると、jsonify() 関数は以下の素晴らしい仕事をしてくれます。

  • Pythonの辞書(やリスト)を、正しいJSON形式の文字列に変換します。
  • HTTPレスポンスのヘッダーに Content-Type: application/json という情報を自動的に設定します。これは、クライアントに対して「これから送るデータはJSON形式ですよ」と伝えるための重要な合図です。
  • そして、そのJSONデータをレスポンスとしてクライアントに返します。

以前は return "Hello..." のように単純な文字列を返していましたが、jsonify() を使うことで、格段にリッチな情報を、しかも標準的な形式で返せるようになったのです。

サーバーを再起動して、ブラウザで確認!

コードを変更したら、app.py を保存し、Flask開発サーバーを再起動しましょう。もし、app.run(debug=True) のデバッグモードで実行していれば、ファイルを保存した時点で自動的にサーバーが再起動されるはずです。もしそうでなければ、一度 Ctrl+C でサーバーを停止し、再度 python app.py (または python3 app.py) で起動してください。

サーバーが起動したら、ウェブブラウザを開き、アドレスバーに http://127.0.0.1:5000/ と入力してアクセスしてみてください。

今度は、前回のような単純な文字列ではなく、以下のようなJSONデータが表示されるはずです(ブラウザによっては、見やすく整形されて表示されることもあります)。

JSON

{
  "deviceId": "THERMO-001-A",
  "location": "Living Room",
  "modelName": "Smart Thermostat X1000",
  "status": {
    "currentTemperature": 23.5,
    "isActive": true,
    "mode": "auto",
    "targetTemperature": 24.0,
    "unit": "Celsius"
  },
  "supportedModes": [
    "auto",
    "cool",
    "heat",
    "off"
  ]
}

ブラウザの開発者ツール(通常F12キーで開けます)の「ネットワーク」タブなどでレスポンスヘッダーを確認すると、Content-Typeapplication/json になっていることも確かめられます。

これで、私たちのMCPサーバーは、JSON形式でリッチなモデル情報をクライアントに提供できるようになりました!

5. PythonクライアントでJSONデータを受け取って使ってみよう! ~サーバーからのお便りを活用~

サーバーがJSONで応答してくれるようになったので、次はクライアントプログラム (client.py) の方も、このJSONデータを受け取って、内容をうまく活用できるように改造しましょう。

クライアントプログラム (client.py) もパワーアップ!

Vol.3で作成した client.py を開いて、以下のように変更します。

import requests
# JSONデコードエラーをキャッチするためにインポート(後で使います)
from requests.exceptions import JSONDecodeError 

# アクセス先のURL
url = "http://127.0.0.1:5000/"

print(f"これからMCPサーバー ({url}) にモデル情報を問い合わせます...")

try:
    # サーバーにGETリクエストを送信 (タイムアウトを5秒に設定)
    response = requests.get(url, timeout=5)

    # ステータスコードが200番台でなければエラーを発生させる (より丁寧なエラーチェック)
    response.raise_for_status() 

    print("サーバーから正常な応答がありました。")

    # --- ここからがJSON処理のポイント! ---
    # response.json() を使って、JSON応答をPythonの辞書(またはリスト)に変換
    model_info = response.json() 
    # ------------------------------------

    print("\n--- スマートサーモスタット情報 ---")
    # 取得した辞書から情報を取り出して表示
    # .get() メソッドを使うと、キーが存在しない場合でもエラーにならず、None や指定したデフォルト値を返してくれる
    print(f"  モデル名: {model_info.get('modelName', '情報なし')}")
    print(f"  設置場所: {model_info.get('location', '情報なし')}")

    # 入れ子になった辞書 'status' から情報を取り出す
    status_info = model_info.get('status', {}) # statusキーがなければ空の辞書をデフォルトに
    print(f"  現在の温度: {status_info.get('currentTemperature', 'N/A')} {status_info.get('unit', '')}")
    print(f"  目標温度: {status_info.get('targetTemperature', 'N/A')} {status_info.get('unit', '')}")
    print(f"  動作モード: {status_info.get('mode', '情報なし')}")
    print(f"  電源状態: {'オン' if status_info.get('isActive') else 'オフ' if status_info.get('isActive') is not None else '情報なし'}")

    # リスト 'supportedModes' から情報を取り出す
    supported_modes = model_info.get('supportedModes', []) # supportedModesキーがなければ空のリストをデフォルトに
    if supported_modes:
        print(f"  対応モード: {', '.join(supported_modes)}") # リストの要素をカンマ区切りで表示
    else:
        print(f"  対応モード: 情報なし")
    print("---------------------------------")

except requests.exceptions.ConnectionError:
    print(f"エラー: サーバー ({url}) に接続できませんでした。")
except requests.exceptions.Timeout:
    print(f"エラー: サーバー ({url}) からの応答がタイムアウトしました。")
except requests.exceptions.HTTPError as e: # HTTPエラー (4xx, 5xx)
    print(f"エラー: HTTPエラーが発生しました。ステータスコード: {e.response.status_code}")
    print(f"  (応答内容: {e.response.text[:200]}...)") # 応答内容が長い場合があるので先頭200文字だけ表示
except JSONDecodeError: # JSONのデコードに失敗した場合
    print("エラー: サーバーからの応答が正しいJSON形式ではありませんでした。")
    print(f"  (応答の最初の部分: {response.text[:200]}...)")
except requests.exceptions.RequestException as e: # その他のrequests関連のエラー
    print(f"エラー: リクエスト中に予期せぬ問題が発生しました: {e}")

変更点の解説:

1. from requests.exceptions import JSONDecodeError:
後ほど、サーバーからの応答が期待通りJSON形式でなかった場合に発生する可能性のある JSONDecodeError というエラーをキャッチするために、あらかじめインポートしておきます。

2. response.raise_for_status():
これはrequestsライブラリの便利なメソッドで、HTTPステータスコードが4xx(クライアントエラー)や5xx(サーバーエラー)だった場合に、自動的にエラー(requests.exceptions.HTTPError)を発生させてくれます。これにより、if response.status_code == 200: のようなチェックを毎回書かなくても、エラーがあれば except ブロックでまとめて処理できるようになります。

3. model_info = response.json():
ここが今回のクライアント側の最大のポイントです!サーバーからの応答オブジェクト response に対して、.json() メソッドを呼び出しています。このメソッドは、

  • レスポンスの Content-Type ヘッダーが application/json であることを確認します(厳密には確認しますが、そうでなくてもデコードを試みます)。
  • レスポンスの本文(response.text に入っているJSON形式の文字列)を解析(パース)します。
  • そして、その結果をPythonのデータ構造(JSONオブジェクトならPythonの辞書、JSON配列ならPythonのリスト)に変換して返します。 つまり、この一行だけで、サーバーから送られてきたJSONデータが、Pythonプログラムで非常に扱いやすい形(辞書やリスト)に早変わりするのです!

4. model_info.get('modelName', '情報なし') など:
model_info はPythonの辞書になっているので、キーを指定して値を取り出すことができます。通常は model_info['modelName'] のようにアクセスしますが、もし指定したキーが存在しなかった場合、この書き方だとエラー(KeyError)が発生してプログラムが停止してしまいます。そこで、辞書の .get() メソッドを使っています。.get('キー名', デフォルト値) のように書くと、もしキーが存在すればその値を返し、存在しなければ指定したデフォルト値(ここでは '情報なし' や空の辞書 {}、空のリスト [] など)を返してくれます。これにより、より安全にデータを取り出すことができます。

5. 入れ子データやリストの扱い:

  • status_info = model_info.get('status', {}) のようにして、JSONの入れ子オブジェクトに対応するPythonの入れ子辞書を取り出し、さらにその中から .get() で情報を取り出しています。
  • print(f" 電源状態: {'オン' if status_info.get('isActive') else 'オフ' if status_info.get('isActive') is not None else '情報なし'}") の部分では、Pythonの三項演算子(条件式)を使って、isActive の真偽値に応じて表示を切り替えています。isActive キーが存在し、かつその値が None でないこともチェックしています。
  • supported_modes = model_info.get('supportedModes', []) でリストを取得し、', '.join(supported_modes) を使ってリストの要素をカンマ区切りの文字列として表示しています。

6. エラー処理の強化:
except ブロックに requests.exceptions.HTTPError (4xx/5xxエラー用) と JSONDecodeError (JSONパース失敗用) を追加しました。これにより、サーバーとの通信で起こりうる様々な問題に対して、より具体的に対応できるようになります。エラーメッセージに e.response.text[:200] のように応答本文の一部を含めることで、デバッグがしやすくなります。

クライアントを実行!ちゃんとデータが見えるかな?

コードを保存したら、クライアントプログラム client.py を実行してみましょう。
(必ず、別のターミナルでFlaskサーバー app.py が起動していることを確認してくださいね!)

(または python3 client.py)

実行結果として、ターミナルに以下のような表示が出れば大成功です!

これからMCPサーバー (http://127.0.0.1:5000/) にモデル情報を問い合わせます...
サーバーから正常な応答がありました。

--- スマートサーモスタット情報 ---
  モデル名: Smart Thermostat X1000
  設置場所: Living Room
  現在の温度: 23.5 Celsius
  目標温度: 24.0 Celsius
  動作モード: auto
  電源状態: オン
  対応モード: auto, cool, heat, off
---------------------------------

どうでしょう? サーバーがJSONで送ってくれたモデル情報が、クライアント側で正しくPythonの辞書として解釈され、必要な情報が取り出せていますね!

これで、単なる文字列ではなく、意味のある構造化されたデータをプログラム間でやり取りする準備が整いました。

もしJSONじゃなかったら?ちょっとだけエラー対策

もし、サーバーが何らかの理由でJSONではないデータ(例えば、エラーメッセージのHTMLページなど)を返してきた場合、クライアント側の response.json()JSONDecodeError というエラーを引き起こします。

今回の client.py では、except JSONDecodeError: でこのエラーをキャッチするようにしているので、プログラムがクラッシュする代わりに、「エラー: サーバーからの応答が正しいJSON形式ではありませんでした。」といったメッセージが表示されるはずです。

このように、期待通りのデータが来ない可能性も考慮してエラー処理を書いておくことは、安定したプログラムを作る上でとても大切です。

6. まとめと次回予告: 構造化データでコミュニケーション!

今回のVol.4は、JSONという強力なデータ形式に焦点を当て、以下の内容を学びました。

  • JSONの基本: 人間にも機械にも分かりやすい、軽量なデータ交換形式であること、そしてその基本的な書き方ルール(オブジェクトと配列)。
  • FlaskサーバーからのJSON応答: Pythonの辞書を jsonify 関数を使って、簡単にJSON形式のHTTPレスポンスとして返せること。
  • requestsクライアントでのJSON受信: サーバーからのJSON応答を、response.json() メソッドを使って簡単にPythonの辞書(やリスト)に変換し、プログラムで活用できること。
  • エラー処理の少しの進歩: 通信エラーやJSONデコードエラーに対する基本的な対処法。

これまで単純な文字列の挨拶しかできなかった私たちのMCPシステムが、JSONという共通言語を手に入れたことで、ついに「モデル」や「コンテキスト」といった具体的な情報を、構造を保ったまま交換できるようになりました。これは、MCPアプリケーションを構築していく上で、非常に大きな進歩です!

さて、現状の私たちのサーバーは、誰からリクエストがきても、常に / というURLに対して同じスマートサーモスタットの情報(model_data)を返しています。しかし、実際のMCPシステムでは、たくさんの種類のモデルが存在し、クライアントは「あの特定のモデルの情報だけが欲しい!」といったように、情報を指定して取得したい場面が多くあります。

そこで、次回Vol.5のテーマは、「ねらいうち!URLで指定したMCPモデル情報だけを取得する」 です!

次回は、

  • URLを使って、クライアントが欲しい情報をサーバーに伝える方法( URLパスパラメータ )。
  • Flaskサーバー側で、その指定に応じて、異なる情報(例えば、複数のモデルの中から特定のモデルの情報)をJSONで返すようにする方法。
  • Pythonクライアント側から、特定の情報を指定してリクエストを送る方法。

といった内容で、より柔軟で実用的な情報取得の仕組みを作っていきます。

今回の app.pyclient.py は、また次回の土台となりますので、しっかりと理解し、保存しておいてくださいね。

JSONという新しい道具を手に入れ、ますます面白くなってきたMCPの世界。この調子で、次のステップも一緒に楽しんでいきましょう!

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。





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