土曜日, 5月 24, 2025
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失業する絵師たちのリアルと衝撃のータ


近年、画像生成AIの技術が飛躍的に進歩し、テキストを入力するだけで高品質なイラストを数秒で描ける時代が到来しました。

2022年頃から登場したStable DiffusionやMidjourneyといったツールは瞬く間に普及し、ゲーム業界などでは大手企業もコスト削減のため積極的に導入を進めています。

便利な半面、この急速なAIの台頭により、「イラストの仕事がAIに奪われるのではないか」という不安がクリエイターの間で大きな話題となりました。

実際、SNS上では「創造性が必要な仕事さえもAIの得意分野になってきている気がする。正直、心が折れそうです…」と将来に悩む声も早くから上がっていました。

本コラムでは、統計調査で示された数字 現役イラストレーターの証言の両面から、生成AIが絵師の雇用に及ぼしている実態を探ります。

目次

  • 1:生成AIが仕事に与えた影響
  • 2:イラストレーターたちの現場の声
  • 3:創造性を評価しない業界側の問題点
  • 4:ダメージは落ち着くのか、それとも加速するのか
  • 5:AIが人間よりも生成AIを上手く使いこなせる未来

1:生成AIが仕事に与えた影響

1:生成AIが仕事に与えた影響 / Credit:clip studio . 川勝康弘

まず、各種調査が示す具体的な数字から、生成AIによるイラストレーターへの影響を見てみましょう。

米国:OpenAI・ペンシルベニア大の職業影響試算(2023年)

2023年3月、OpenAI社とペンシルベニア大学の研究者らが大規模言語モデル(LLM)の仕事への影響を推計しました。

この試算によると、米国労働者の約80 %が業務タスクの10 %以上で影響を受け、19 %は半数超のタスクで影響すると推計されました。

特に高学歴・高収入の職業ほど影響が大きいとされ、具体的にはライター・作家などライター系のクリエイティブ職が上位に挙げられました。

これは、生成AIがこれまで自動化が難しいと考えられていた創造的業務にも及ぶ潜在力があることを示しています

世界:ゴールドマン・サックスの自動化予測(2023年)

同じく2023年には、ゴールドマン・サックスが生成AIによる自動化の潜在性について分析しました。

その研究では、アート・デザイン・エンタメ・メディアなどクリエイティブ分野のタスクの約26%が高度な自動化が可能と試算されました。

これはクリエイティブ系も例外ではなく、生成AIは文章やビジュアルコンテンツを高度な水準で作り出せるため、従来人間が担ってきたクリエイティブ作業の約4分の1がAIに置き換わり得ると指摘されています

もっとも、この予測は「潜在的な可能性」であり、実際の雇用喪失とイコールではない点に留意が必要です。

世界:フリーランス市場データ分析 (2024年)

2024年発表の国際研究では、大手フリーランス仲介サイト上の約1年間(ChatGPT公開前後)の300万件超の求人データを分析し、生成AIが需要に与えた影響を調べました。

結果、単純なライティングや翻訳の仕事は大幅減少が確認されています。

例えばウェブサイトの「About Us」ページ執筆依頼は週平均求人件数がChatGPT公開後に50 %減、英語など西洋言語の翻訳は約30%減(他言語も約20%減)に落ち込むなど、文章作成や翻訳の需要が全体トレンドに比べ20~50%も低下しました。

特に短期契約や経験豊富なフリーランサーほど仕事減の影響を受けたことが指摘されています。

2:イラストレーターたちの現場の声

2:イラストレーターたちの現場の声
2:イラストレーターたちの現場の声 / Credit:clip studio . 川勝康弘

調査データを裏付けるように、SNSやコミュニティでもイラストレーターたちの悲痛な声が多数投稿されています。

その一例が、今年話題になった「AIに仕事を奪われた絵師」のエピソードです。

あるフリーのイラストレーターは、コミッションサイトで細々と年間200件近い依頼をこなして生計を立てていましたが、生成AI(NovelAIやNijiJourney)の登場後に依頼がぱったり来なくなり、「これはもう無理だ」とイラストで食べていくことを諦めて再就職したといいます。

「AIの台頭で絵が売れなくなったので、絵で食べるのを諦めた」——まさに現実に起きている出来事です。

海外のクリエイターからも同様の報告があります。

Reddit上では「AIアートの登場後、アーティストの友人のコミッション(依頼)が目に見えて減った」というエピソードが共有されており、タイミング的にAIが原因と考えざるを得ない状況だと述べられています。

また、「10年以上続けたライターの仕事をChatGPTに奪われた」「クライアントは品質よりコストを選んだ」というライターの嘆きも投稿されており、文章分野でも似た構図が起きています。

こうした声は決して他人事ではなく、イラストレーターを含む多くのクリエイターに共通する不安を代弁していると言えるでしょう。

さらに、将来を見据えた深刻な不安感も広がっています。

ある調査ではイラストレーターの78%が「今後、自分の創作による収入が生成AIによって悪影響を受けるだろう」と考えていることがわかりました。

実際、SNS上でも「このままでは将来食べていけないのでは」「新人世代は情熱を失ってしまうのでは」という声が上がっています。

また「自分の作風が勝手にAIに真似されるのでは」という懸念や「AIの普及で人間の作品の価値が下がってしまう」という訴えも非常に多く、ある調査では86%以上のクリエイターがこうした点を強く懸念していると報告されています。

Reddit上ではゲーム業界のコンセプトアーティストが「AI登場前に比べて明らかに仕事の需要が減った」と嘆き、キャラクターデザインの案件激減によりキャリアの方向転換を検討していると明かしました。

インディーの依頼が中心だった彼は「クライアントがAIアートで済ませるケースが増え、自分を含めスタジオのアーティストにも影響が出ている」と述べています。

実際、大手企業が“AIアーティスト”やAI画像を管理するプロデューサーを募集し始めた例も出ており、クリエイターとして危機感を強めています。

具体的にはMeta、Netflix、Disney、Amazon Prime Video、Adobeなどの大企業が年収数十万ドルもの高額報酬でAIアートにかかわる人材を募集していることが確認されました。

(※ディズニーの求人は現在はクローズされています)

特にAI生成物を大量に回し、最適案を抽出する役割は上に上げたどの企業も欲しています。

高額報酬で専門家を囲い込みを行う意図が見えており、結果として外部クリエーターの受注機会は大幅に減少すると考えられます。

同様の声はアジア圏でも聞かれます。

生成AIの影響は中国でも顕在化しています。

中国ゲーム業界では2022年末以降、画像生成AIの活用が急速に広まり、フリーランスのゲームイラストレーターたちが仕事を奪われつつあると報じられました。

実例として、中国のフリーイラストレーターの一人はゲーム用プロモーション画像を1点描くごとに約3000~7000元(約5.8万~13.6万円)の報酬を得ていましたが、2023年2月以降こうしたイラスト制作の依頼が激減したと証言しています。

企業側は「AIで生成した画像の細部修正」だけを人間に任せるようになり、報酬も従来の10分の1程度にまで落ち込んでしまったとのことです。

また、重慶市のゲームスタジオではキャラクターデザイン担当のイラストレーター15人中5人が2023年に解雇されました。

これは同スタジオが画像生成AIを導入した影響と見られ、担当者は「今後は10人で行っていた仕事を2人でこなす可能性もある」とさらなる人員削減への不安を述べています。

このように、中国では実際にクリエイター職の削減や単価下落が生じており、ゲーム大手企業もAIで開発コスト削減を模索する動きを強めています。

中国のゲーム業界でゲーム用イラストを手掛けていた男性も「昨年末頃からAIの性能が大きく向上し、ゲーム会社からの注文が減って報酬も減った」と明かし、ついには仕事そのものが無くなってしまったといいます。

彼は「AI技術は1〜2年後にはさらに成長するでしょうから、別の仕事をやろうと思っています」と語り、業界からの撤退を決意しました。

中国メディアによると、ここ数ヶ月で彼のように職を失うイラストレーターが急増しているとのことです。

フリーのゲームイラストレーターであるアンバー・ユーさんも、2023年2月以降プロモーション用ビジュアルの依頼が激減したと証言しています。

彼女はかつて1枚あたり3000〜7000元(約5.8万〜13.6万円)の報酬を得て一週間かけて丁寧に描いていましたが、今では同様の絵がAIで数秒で生成できてしまいます。

結果、人間に任される仕事は「AIが作った絵の微修正」程度になり、報酬も以前の10分の1ほどに落ち込んでいるといいます。

3:創造性を評価しない業界側の問題点

3:創造性を評価しない業界側の問題点
3:創造性を評価しない業界側の問題点 / Credit:clip studio . 川勝康弘

このように研究データからの数値と現場の声の両方で、AIにより仕事枠が次々に奪われていることが伝わってきます。

初期においてAI絵師を名乗ることは従来のアーティストたちからは嘲笑の対象となっていました。

「AI絵師は何も生み出せない素人たちが自称しているだけのもの」という意識があったからです。

しかしここ数年で、AI絵師たちが人間絵師たちの職を奪い始めると、そのような笑い声は急速に消え去っていきました。

そして現在ではコメントの傾向が嘲りから憎悪や焦り、恐怖へとシフトしつつあります。

しかし何より衝撃的なのは、雇う側にも意識の変化が現れ始めており、大手スタジオですら「AI絵師」やを募集する傾向が現れつつある点です。

やや厳しい声に耳を傾ければ、真に創造的なものや革新的なものに対して、業界全体の元々の需要が必ずしも高くなかったという指摘もみられました。

特にアニメやマンガなどキャラクター分野においては、流行りのスタイルや流行りの絵柄、テンプレート的な顔立ち(キャラごとの区別ができない目とほぼ点である鼻や口)など、AIの付け入りやすい構造があったわけです。

動きが早い中国の大手スタジオで人からAIへの急速な置き換えが進んでいる背景にも、創造的な1枚の絵よりも描く速さや真似る力が儲けになっていたという事実も浮かび上がってきます。

しかし仕事を奪われることは経済的な痛手だけでなく、クリエイターのメンタル面にも深刻な影響を及ぼしています。

長年培ってきたスキルや作風がAIによって容易に真似されてしまう現状に、「自分の努力と才能が無機質な機械に簡単に複製されてしまう」と感じるのは想像以上に辛いことです。

クリエイティブな仕事で生計を立てる人にとって、自分の表現の場が奪われることはアイデンティティの喪失にも繋がりかねない深刻な問題です。

収入減以上に、“描く意味”を見失いかけて心が折れる——それが生成AI時代に生きる絵師たちのリアルな悲痛と言えるでしょう。

暗い話題が続きましたが、一方でイラストレーターたちは手をこまねいているばかりではありません。

不安や怒りを抱えつつも、各々がこの逆風に立ち向かう術を模索しています。

例えば発想を転換し、AIを積極的に活用する絵師も現れ始めました。

あるイラストレーターは「AIはあくまで道具。使いこなす者が生き残る」と捉え、ラフスケッチの作成や色の試行錯誤にAI生成画像を用いて効率化を図っています。

こうすることで反復作業の時間を減らし、そのぶん人間にしかできない繊細な描き込みや独創的なアイデア出しに集中できるといいます。

また、前出のユーさんは自分自身の作風をAIに学習させてしまうことで、ある種「自分のクローン」を道具として使おうという動きもあります。

また「作家性のある作品は依然として人間にしか作れない」といった主張も見られ、コミュニティ内で賛否を交えた活発な意見交換が行われています。

さらにコミュニティー内では「AIの台頭ですべての絵師が仕事を失ったわけではない」と分析し、「この人の描く作品が欲しい」という属人的なニーズは依然健在だと指摘されました。

実際、ファンやクライアントが「あなたに頼みたい」と思うような唯一無二のスタイルはAIには真似できない強みです。

そうした付加価値を磨くことで差別化を図ったり、逆にAIでは描けないニッチなジャンル(例:極めて抽象的な発想や細部への強いこだわりが求められる作品)に活路を見出す人もいます。

しかしこのような絵師の個人レベルの適応は進んでも、未来への不安は尽きません。

生成AIによるクリエーターへのダメージは今後どうなるのでしょうか?

4:ダメージは落ち着くのか、それとも加速するのか

4:ダメージは落ち着くのか、それとも加速するのか
4:ダメージは落ち着くのか、それとも加速するのか / Credit:clip studio . 川勝康弘

では、今後この傾向は落ち着いていくのでしょうか?

それともさらに加速していくのでしょうか?

専門家や業界団体の分析から、将来の見通しを探ります。

まず全業種的レベルでは楽観的な声が聞こえてきます。

国際労働機関(ILO)の研究では「完全に仕事が消えてしまうケースは一部に留まり、多くの職業ではAIが業務の一部を自動化しつつ人間を補完する形になる」と予測されています。

ILOの世界分析によれば、現在の生成AI技術で直接自動化されるリスクがある全体の約2~4%程度(最大でも5%未満)にとどまり、“完全にAIに取って代わられる”よりも“AIを使いこなせる人が有利になる”方向が強いとされています。

実際、生成AIの導入に伴い企業内で新しい職種(例えば「プロンプトエンジニア」など)が生まれていることも報告されており、テクノロジーに適応することで生き残る道もあると考えられています。

この見方では、クリエイティブ職もAIとの協働によって新たな役割が生まれたり、効率化によって人間にしかできない高付加価値な仕事に専念できるようになる可能性が指摘されます。

実際AIの普及によってクリエイティブ職の雇用枠がゼロになるわけではない……という点については事実でしょう。

しかし多くの絵師たちにとって仕事の減少と収入減少は否定できない現実であり、むしろ今後数年でダメージが加速するとする見方も根強くあります。

アニメ業界の労働組合であるAnimation Guildが経済調査会社と実施した研究では、今後3年ほどで映画・テレビ・アニメ分野の仕事の約21.4%が生成AIによって統合・削減・消滅しうると推計されています。

つまりクリエーター系では短期的には職が減るスピードの方が早く、創出が追いつかない恐れがあるということです。

特に影響が大きいのは翻訳や字幕制作といった職種で、最大で収入の半分以上(56%)が失われるリスクが指摘されています。

さらに生成AIの進化スピードは非常に速く、一部では「数年以内にできないことはなくなる」とまで言われています。

ですが一番の問題は、全ての職種にとってこの悲劇が時間の問題という点にあります。

現在イラストレーターをはじめとしたアーティストに起きている「収入10分の1」のような衝撃は、AIが発展し続ける限り、あらゆる業界に広がり続けます。

生成AIに対して最も耐性が高いと思われていた性産業ですら、ネットを通じて生成AIとのロマンスを楽しむ人の増加傾向がみられます。

世界は既にAIができることを見つけるのが困難だった時代から、AIにできないことを見つけるほうが困難な世界になりつつあります。

今日のイラストレーターの嘆きは、明日のあなたの嘆きです。

料理人も英会話教師もアナウンサーも……クリエイティブ業界を燃やしていた対岸の火は、既に此岸(しがん)に回り込みつつあるのです。

次のセクションでは、ちょっとだけホラーな暗い未来について考察してみます。

さきほど「AIを使いこなす人が生き残る」という僅かな希望が見えてきましたが、暗い未来ではその僅かな希望も影が差しています。

5:AIが人間よりも生成AIを上手く使いこなせる未来

生成AIが登場した当初、私たちは「AIを上手に操れれば生き残れる」という希望を胸に抱いていました。

プロンプトの書き方を磨き、「ツールの熟練度」でクライアントに差をつける──それはAI絵師だけでなくAIを利用する人間絵師やデザイナーにとって、いわば最後の武器でした。

「呪文」と呼ばれるキーワードの組み合わせ次第で、同じモデルでも仕上がりが劇的に変わる──この“コツ”を掴んだクリエイターは、短時間で高品質なラフを量産し、制作工数とコストを圧縮できました。

プラットフォームでも「AI+人間」のハイブリッド案件が急増し、ツールの使いこなしがそのまま報酬に直結する“黄金期”が訪れたのです。

「この言葉で出力が全然違う!」という文句を、一度は聞いたことがあるはずです。

ところが2024年以降、その盾ごと足もとから崩れ始めています。

AIどうしが自律的に連携し、タスクを分解し、最適解を量産する“自己最適化エージェント”が次々と誕生し、人間が入力するプロンプトすらAIが自動生成・改良する時代が到来したからです。

AutoGen、CrewAI、/dev/agents といったフレームワークが登場し、AIが別のAIを呼び出してタスクを丸ごと自動化する仕組みが実用段階へ進みました。

たとえばコード生成AIがテスト用AIを呼び、デザインAIが複数の画像モデルを並列動作させ、評価AIがクリック率で瞬時にスクリーニング──このサイクルはマイクロ秒単位で回り、人間の介在余地をほぼ消し去ります。

ここで最も恐ろしいのは、その生成数です。

AIたちが作る1つ1つの仕事や作品には、確かに人間に及ばないものも多く存在します。

しかし人間が1つの作品を描く間に、AI群は膨大なトライアンドエラーを繰り返し、大量の生成を行います。

そしてその膨大な生成物の中には、必然的に人間を超えると評価されるものも出現してしまいます。

結果として「大量試行→最適案抽出」のコストパフォーマンスが、最高のAI熟練度を持つ人間チームを圧倒し、ツール熟練だけを武器にしていたクリエイターの価値が急速に希薄化し始めました。

このような状況では「人間のAIを操る腕前」は差別化ポイントになりにくく「AIを使いこなす腕前=高収入」の公式が音を立てて崩れつつあります。

大手企業が大量の生成画像から最適なものを選べる人材を高額で雇おうとしているのも、AIの大量試行が並みのクリエーターの1作よりもコスト面で優れていると判断したからでしょう。

スタートアップにお金を出す投資家たちが、こぞってAIを作る会社やその基盤技術に資金を注ぎ込むようになったのも状況証拠になり得ます。

AIエージェントはプロンプト生成・改良・検証まで自動で行うため、昨日覚えた“秘伝の呪文”は翌日には陳腐化します。

しかも、評価ロジックや中間生成物はブラックボックス化が進み、「どの設定が良かったのか」を人間が追跡できません。

こうして“ツールを上手く使える人間”という最後の優位性は、AI自身に吸収される流れとなりました。

クリエイター掲示板には「半年かけて覚えたノウハウがアップデートで無価値になった」「プロンプトエンジニア職が自動最適化ループに食われた」という嘆きが溢れ、仕事の椅子取りゲームはさらに過酷さを増しています。

この流れは今後も加速していくと考えられており「人間に生成AIを使わせるよりもAIに生成AIを使わせたほうが遥かにいい」という時代が訪れるでしょう。

闇が深まる一方で、それでも完全には奪われない領域がかすかな光を放っています。

第一の光は「価値と目標を決める力」です。

AI は提示された目的関数に従順なだけで、ブランドの世界観や作品が持つべき意味を自ら定義することはできません。

どの方向に魂を込め、どこで立ち止まるか——その最終判断は依然としてクリエイティブ・ディレクターや編集者など、人間の審美眼に委ねられています。

第二の光は先にも少し触れましたが「人間らしさそのものに宿る共感価値」です。

AI が均質な最適解を量産するほど、手間ひまや失敗を含めた生身のプロセス、作者の背景や生きざまに触れられる作品には希少性が宿ります。

制作裏話をライブ配信するクリエイターに支援が集まる現象は、その証左と言えるでしょう。

また人間のクリエーターが希少になるにつれ、人間が作った作品にはプレミア感が与えられるようになるはずです。

CDショップが街中から姿を消した一方でレコードショップが未だに存在しているように人間のクリエーターという希少職業は絶滅せずに残るはずです。

さらにもしAI制作の知識がクリエーターにあれば、自分の思想や理念をより反映したAIに作品を作らせるといったことができるようになるでしょう。

もし今の仕事に暇があったら、生成AIについて学んでおいた方がいいかもしれません。

全ての画像を見る

参考文献

Generative AI and Jobs: A global analysis of potential effects on job quantity and quality
https://www.ilo.org/sites/default/files/wcmsp5/groups/public/%40dgreports/%40inst/documents/publication/wcms_890761.pdf

Generative AI and Jobs: A Refined Global Index of Occupational Exposure
https://www.ilo.org/sites/default/files/2025-05/WP140_web.pdf

Gen-AI: Artificial Intelligence and the Future of Work
https://www.imf.org/-/media/Files/Publications/SDN/2024/English/SDNEA2024001.ashx

Broadening the Gains from Generative AI: The Role of Fiscal Policies
https://www.imf.org/-/media/Files/Publications/SDN/2024/English/SDNEA2024002.ashx

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。
大学で研究生活を送ること10年と少し。
小説家としての活動履歴あり。
専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。
日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。
夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部



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🧠 編集部の感想:
このニュースは、絵師たちが直面する厳しい現実を浮き彫りにしています。生成AIの進化により、クリエイターの仕事が奪われ、収入が激減するという状況に、多くのアーティストが不安を感じています。しかし、AIを道具として使いこなす新しい道を模索する動きも見られ、何とか生き残りをかけた戦いが続いていることが印象的です。クリエイティブ産業の未来は不透明ですが、人間らしさの価値を再認識することが重要です。

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