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概要
藤本正雄氏の記事では、人工ダイヤモンドが宝飾市場において注目を集めている現状について詳述しています。記事は、人工ダイヤの品質向上や市場の成長予測、エシカル消費や実用性重視のトレンドを取り上げており、人工ダイヤが天然ダイヤの市場に与える影響についての考えを示しています。
要約の箇条書き
- 市場の注目: 記事は、人工ダイヤモンドの生産技術に注目する中小企業について触れている。
- 成長見通し: 宝飾用の人工ダイヤの世界市場は2030年に約1兆7100億円に達する見込み。
- 品質向上: 最近の人工ダイヤは天然と見分けがつかないほど品質が改善されている。
- エシカル消費: 環境に配慮した消費行動として、人工ダイヤへの関心が高まる予測。
- 競争の激化: 海外勢との競争が進む中、米国の人工ダイヤメーカーが倒産するなどの淘汰が始まっている。
- 市場の影響: 人工ダイヤの普及により、天然ダイヤ市場に影響を与える可能性がある。
- 若者の意識: 若い世代は「実用性」と「エシカル消費」を重視する傾向が強い。
- 実用性重視の傾向: デザインが重視され、天然か人工かは重要ではないという見解も増加。
- 中国市場の例: 中国の電気自動車が日本市場に参入してくる中、ブランドイメージが変化していることに言及。
- 今後のテーマ: 「エシカル」および「実用性」のテーマが今後さらに重要性を増すと結論づけられている。
5月13日の日経新聞で、「〈小さくても勝てる〉人工ダイヤで輝く中小 宝飾市場を開拓、海外勢と競う 均一な結晶生成に強み」というタイトルの記事が掲載されました。人工ダイヤと聞くと「天然ではない、ニセモノ」のようなイメージでとらえてしまう人も少なくないと思われますが、そのイメージが変わりつつあるという内容です。
同記事の一部を抜粋してみます。
人工ダイヤモンドの生産技術で宝飾業界から注目を集める中小企業がある。近年は天然ダイヤと見分けがつかないほど品質が改善。宝飾用の人工ダイヤの世界市場は2030年に約1兆7100億円と、24年の2.5倍になる見通しだ。工業用に比べ目立たない存在だった宝飾用の人工ダイヤが新たな商機を生む半面、海外勢との競争も激化している。「真珠の養殖のように天然に近い品質を認められるようになれば、人工ダイヤは消費者に身近な存在になる」。人工ダイヤを生産販売するアイリックス(東京・江東)の須納瀬正範社長はこう話す。須納瀬氏は人工ダイヤの生産技術で国内の第一人者に数えられる。インドの協力会社に生産委託した人工ダイヤを国内で装飾した上で、消費者に自社の通販サイトから独自ブランド「エフダイヤモンド」の製品を直販する。天然ダイヤと見分けがつかない輝きを放つ人工ダイヤをつくるにはプラズマの制御などにノウハウがいる。アイリックスの24年度の売上高は非公表だが、エフダイヤモンドの同年度の売上高は前の年度の「10倍に伸びた」(須納瀬氏)。グローバルインフォメーションとインドの調査会社マーケッツ・アンド・データによると、24年の人工ダイヤの世界市場は工業用と宝飾用の合計で143億ドル(約2兆700億円)だった。143億ドルのうち宝飾用は47億ドルと全体の3割で、7割は工業用が占める。ただ、宝飾用市場は30年に118億ドル、32年に163億ドルに増える見込み。24年比の成長率は宝飾用が工業用を上回る。天然ダイヤに比べ、人工ダイヤは生産時に排出する二酸化炭素の量が少ない。宝飾業界関係者は「社会や環境に配慮するエシカル消費の観点から人工ダイヤの宝石を選ぶ人は増えている」と話す。人工ダイヤを巡る競争は厳しい。23年に米国の人工ダイヤメーカーが倒産し、淘汰も始まった。宝石の鑑定などを手掛けるジュエリー・アドバイザー・アンド・ギャラリー(JAAG、東京・千代田)の原田信之代表は「魅力的なデザインや会社の知名度が競争を左右する」と指摘する。
天然ダイヤの国際価格は21年から22年にかけて約2割上昇した後、足元は22年の高値を約4割下回る水準で推移する。現在は天然と人工のダイヤを全く別物として扱う宝飾会社が多いものの、人工ダイヤの普及が進めば、人工ダイヤが天然ダイヤ市場に影響を与える可能性もある。
競争の激化がありながらも、長期的には人工ダイヤ市場は、天然ダイヤ市場を侵食しながら成長としていきそうだということのようです。
同記事からは、今後のトレンドとして大きく「エシカル(=倫理的、道徳的。人や社会、環境に配慮した行動やライフスタイルを指す言葉)重視」「実用性重視」の2つが垣間見られるように感じます。
そして、この2つは若手世代であればあるほど、その傾向が強くなっているという指摘も各所で聞きます。
「天然ダイヤに比べ、人工ダイヤは生産時に排出する二酸化炭素の量が少ない」などは、若手世代に当てはまりやすいと言われるSDGsへの感度の高い人に響きそうです。
鑑定士でもない限り、天然ダイヤと見分けがつかないような人工ダイヤも出始めていると聞きます。「ダイヤと言えば天然が是」「人工より天然のほうが・・」という概念の人もいる一方で、実用性重視の人であれば「デザインが気に入るかどうかが問題で、天然か人工かは問題ではない」となるかもしれません。
天然ダイヤ市場に対して、人工ダイヤ市場が趨勢であるかのような流れは、これらの傾向を表しているのではないかと考えます。
上記に関連して思い浮かんだのは、中国の電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)が日本の軽自動車市場に参入してくるという話です。今月に入って、日本市場に特化した軽EVを開発して26年後半に市場投入を計画しているとニュースになりました。私がお会いする自動車関連の企業様でも話題になっています。
自動車は、国別のブランドイメージが強い商品です。「日本製:・・・」「ドイツ製:・・・」「中国製:・・・」といった先入観で見られがちで、中高年世代ほどその傾向が強いと思われます。
しかしながら、中国メーカーのEV開発力やデザインの進化は目覚ましいものがあり、アジアなどの市場でも中国車が席巻してきています。また、EVとガソリン車は車の構造も異なり、別の商品カテゴリーと言ってもよいのかもしれません。かつての「中国製:・・・」といった先入観で見るべきものではないように思います。
そもそも、若手世代を中心に、所有という形態にこだわらず、必要な時だけ使うカーシェアやカーレンタルという実用性重視の車への向き合い方をする人も増えている状況です。「どこのメーカーであろうと、いいものであれば」「よりSDGsに適っていると思われるものであれば」という選定眼の持ち主の若手世代が増えてくれば、日本市場で中国車を見るのが、ドイツ車同様普通の光景になってくるのかもしれません。
「エシカル」や「実用性」は、今後さらに意識するとよいテーマになりそうです。もちろん、自社の戦略として例えば、実用性とは真逆のテーマで商品・サービスをポジショニングすることもありです。
<まとめ>
「エシカル」や「実用性」のテーマは、今後ますます重要性が高まる。
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