by david genty
X(旧Twitter)でのヘイトスピーチや、イーロン・マスク氏の発言に対する反発などを理由に、多くの広告主がXへの広告出稿を見合わせており、Xはこうした企業を提訴しています。こうした対立に巻き込まれることを防ぐため、一部の企業がXで少額の広告費を費やしていると、経済紙のFinancial Timesが報じました。
Brands spend nominal sums on X ads to keep Elon Musk happy
https://www.ft.com/content/8d3e4dba-1246-482d-9aaa-d970d2cb0a94
Financial Timesによると、マスク氏がトランプ政権での役割で注目されている影響で、企業はXに少額の広告を出すことを余儀なくされるようになったと、複数の企業のマーケティング担当幹部が話しているとのこと。
by Kaz Vorpal
マーケティングコンサルタント会社・AJL AdvisoryのCEOで、バンク・オブ・アメリカのメディア幹部を務めるなど広告業界にも詳しいルー・パスカリス氏はFinancial Timesに、「Xへの広告費は、『悪い子リスト』から外れるのに十分な金額であればいいとされています。Xとの取引でブランドに傷が付くリスクがなくなったわけではありませんが、マスク氏の発言で株価が暴落するリスクの方がはるかに大きいのです」と話しました。
2025年3月、Xはマスク氏のAI企業であるxAIに買収され、マスク氏は両社が持つデータやAIモデル、人材を一本化すると発表しました。こうした経営資源の統合による経済的なインパクトや、マスク氏とトランプ政権との接近による政治的影響力の強まりにより、企業らはマスク氏の不興を買うリスクへの懸念を強めています。
xAIがXを買収したとイーロン・マスクが発表 – GIGAZINE
また、事情に詳しい関係者2人によると、マスク氏とXのリンダ・ヤッカリーノCEOは、Xの広告収入を2022年の水準まで回復させることを目標にしているとのこと。
マスク氏らが2022年の広告収入を基準にしたのは、「企業が政治的な偏りを理由にXをボイコットしても最低限達成できるのがこの年の広告収入」と考えているからだと、関係者は話しています。
マスク氏に買収され、Twitterと呼ばれていた2022年当時の同社の世界売上高は41億ドル(約5860億円)でしたが、2024年のXの売上高は19億ドル(約2715億円)と大きく落ち込んでいます。それでも、いくつかの企業が広告の出稿を再開したことで、2025年の売上高は23億ドル(約3286億円)に回復すると見込まれています。
例えば、広告業界でビッグ4と呼ばれることもある大手広告企業のWPP、Omnicom、Publicis、Interpublic Groupはいずれも、TwitterからXになった際に同社への広告の出稿に慎重な姿勢を見せていましたが、記事作成時点では広告主が事前に広告枠を購入することを保証する「アップフロント契約」で年間支出目標を設定することでXと合意したか、または協議中とのこと。
ニューヨークを拠点とする広告代理店・Stagwellのマーク・ペンCEOは、「Xは息を吹き返し、ますます活気にあふれたプラットフォームとなりつつあります。企業が『どちらか一方に味方するのは危険だ』と気づき始めたことで、Xへの政治的なボイコットは消えつつあります」と話しました。
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