生活リズムが夜型の人は朝型の人に比べて、うつ病などの精神疾患になりやすいことがこれまでの研究で示されています。新たにイギリス・サリー大学の研究チームが行った研究では、夜型人間がうつ病のリスクを下げるために「マインドフルネス」が有効な可能性があるとわかりました。

Mindfulness mediates the association between chronotype and depressive symptoms in young adults | PLOS One
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0319915


Night Owls Face Higher Depression Risk. A New Study Explains The Link. : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/night-owls-face-higher-depression-risk-a-new-study-explains-the-link

研究チームは、夜型の人はうつ病リスクが高いことがわかっているものの、その理由についてはよくわかっていないと説明しています。夜型とうつ病を結びつける潜在的な要因には、現在起こっている経験に注意を向けるマインドフルネスや、睡眠の質、ネガティブなことを繰り返し考えてしまう反すう思考、アルコールの消費などが挙げられていますが、具体的な研究結果が不足しているとのこと。

そこで今回の研究では、サリー大学の学部生546人を対象にオンラインアンケートを実施。被験者の生活リズムや主観的な睡眠の質、さまざまな夜型とうつ病の潜在的仲介要因などについて調査が行われました。

被験者のうち「朝型」に分類されたのはわずか38人だけであり、「夜型」に分類されたのは252人、残る256人は中間的な生活リズムだと分類されました。一般に、10代後半の人々は夜型に分類される傾向があり、高齢になるにつれて朝型になる傾向がみられます。そのため、被験者の平均年齢が約20歳だった今回の研究で夜型が多かったのは、驚くべきことではありません。


今回の研究でも以前の研究と同様に、夜型の人は朝型や中間的な生活リズムを持つ人と比較してうつ病の症状が有意に高いことが判明。また、夜型人間は反すう思考が多く、睡眠の質が有意に低いことも判明しました。これは、毎日の授業や仕事の時間帯と夜型の生活リズムが合わず、社会的時差ぼけが生じていることが原因の可能性があるとのこと。

さらなる統計分析では、特に「acting with awareness(注意を向けながらの行動)」と「describing(描写)」という2つのマインドフルネスの尺度が、うつ病と夜型の生活リズムとの関連性を説明する要因であることが示唆されました。

「注意を向けながらの行動」は、その内容がポジティブなのかネガティブなのかを判断せず、感情や思考に対して平静な注意を払う能力のことであり、特に朝型の人が高いスコアを示しました。一方、「描写」は感情や思考についてラベル付けをする能力のことで、これもうつ病と夜型人間の関連性に影響していたとのことです。

アルコールの摂取もうつ病と生活リズムの関連性に影響していましたが、その影響は意外なものでした。一般にアルコール摂取はうつ病危険因子とされており、夜型の人は全体的により多くのアルコールを摂取していたものの、適度に飲酒する夜型人間の方がうつ病リスクのスコアが低かったそうです。この理由について研究チームは、被験者らの飲酒量はかなり控えめであり、飲酒を介した社会的つながりから恩恵を受けていたのではないかと推測しています。


研究チームは今回の研究結果から、「メンタルヘルスを改善するためのマインドフルネストレーニングの人気が高まっています。それを考えると、今回の研究結果はマインドフルネス介入のデザインにおいて、効果を最大にするために『注意を向けながらの行動』の側面を強化することを優先すべきだと示すものです」と結論付けています。

論文の共著者でサリー大学の神経科学者であるサイモン・エバンス氏は、「私たちの研究によると、ガイド付きの瞑想(めいそう)やマインドフルネスエクササイズなど、より高いマインドフルネスを育むための戦略が有効です」と述べました。

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