土曜日, 5月 17, 2025
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商標法 予想問題: 防護標章登録制度と不使用取消の交錯粉糠山すその

🧠 概要:

概要

この記事では、防護標章登録制度と商標の不使用取消に関する法的な問題を取り上げています。特に、登録商標が不使用になった場合やその防護標章が果たす役割について詳細に解説されており、実際の事例を基にした問題設定と解説が行われています。

要約

  • テーマの紹介: 防護標章登録制度と不使用取消に関する問題を設定し、解説を付けている。

  • 問題Ⅰの設定:

    • A社は登録商標「エクセレント」を持つが、チョコレート事業を縮小し、3年以上使用していない。
    • 防護標章「エクセレント」が清涼飲料水についても取得されているが、こちらも使用していない。
  • 法的措置の対象:

    1. 不使用取消審判: 商標法第50条に基づくもので、3年以上の不使用があった場合に請求可能。
  • 防護標章と不使用取消:

    1. 防護標章は著名な登録商標に基づくため、使用されなくても不使用取消の対象にはならない。
  • 基礎登録商標の取消が防護標章に与える影響:

    1. 基礎商標が取消されると防護標章は更新できず、期間満了で消滅する。
  • 問題Ⅱの設定:

    • A社は別の商標「アルファ」を持ち、同様に第三者が不使用を理由に商標登録の取消審判を請求し、審決が確定した事例を紹介。
  • 結論:
    1. 防護標章の存続には基礎登録商標の存在が必須であることが強調されている。

商標法 予想問題: 防護標章登録制度と不使用取消の交錯粉糠山すその

粉糠山すその

 防護標章登録制度と不使用取消の交錯
 テーマについて、3つの難易度で問題を作り、それぞれに解説を付けました。

*ポッドキャストです。概略を理解するのに有効です。

【問題Ⅰ】難易度:小

 A社は、長年にわたり販売している主力商品であるチョコレートについて、登録商標「エクセレント」(指定商品:第30類 チョコレート。以下「本件登録商標」という。)を有しており、この商標は日本全国の需要者の間で広く認識され、高い著名性を有している。 この著名性を背景に、A社は、本件登録商標と同一の標章「エクセレント」について、指定商品を第32類「清涼飲料水」(本件登録商標の指定商品とは非類似)とする防護標章登録(以下「本件防護標章」という。)も受けている。

 近年、A社は経営戦略の転換により、チョコレート事業を縮小し、本件登録商標「エクセレント」をその指定商品である「チョコレート」について、日本国内で継続して3年以上使用していない状態が続いている。ただし、本件防護標章の指定商品である「清涼飲料水」については、A社は「エクセレント」ブランドの飲料を製造販売する計画は当初からなく、本件防護標章も使用していない。

(1)本件登録商標「エクセレント」が、その指定商品「チョコレート」について継続して3年以上日本国内で使用されていない場合、この商標登録はどのような法的措置の対象となり得るか。その法的措置の名称、根拠条文、及び主な請求要件を説明しなさい。

(2)本件防護標章「エクセレント」は、それ自体が指定商品「清涼飲料水」について使用されていないことを理由として、(1)で述べた法的措置の対象となるか。理由とともに説明しなさい。

(3)仮に、(1)の法的措置により本件登録商標「エクセレント」の登録が取り消された場合、本件防護標章の効力や存続にどのような影響が生じる可能性があるか。簡潔に説明しなさい。

【解説Ⅰ】

1.太郎くんと山田さんの会話による問題点の明確化

太郎くん:「今回の問題は、防護標章の基礎になっている登録商標が使われなくなった場合の話ですね。(1)は、普通の登録商標が3年以上使われないとどうなるか、という基本問題。これは不使用取消審判(商標法50条)ですね。」
山田さん:「その通り。まず、不使用取消審判の制度趣旨、請求要件を正確に押さえておく必要があるね。(2)は、じゃあ防護標章自体が使われていないことを理由に、同じように不使用取消審判を請求できるのか?という点だ。防護標章の制度趣旨を考えると、どうだろうか。」
太郎くん:「防護標章は、基礎の登録商標が有名だから、それと紛らわしい使い方を非類似品についても禁止するためのものですよね。だから、防護標章自体を使うことは予定されていない…。とすると、不使用取消の対象にはならない、ということでしょうか?」
山田さん:「良いところに気づいたね。防護標章の特殊な性格がポイントになる。そして(3)が、今回のテーマの核心に触れる部分だ。基礎の登録商標が不使用で取り消されたら、それを基にしていた防護標章はどうなっちゃうのか。防護標章が基礎登録商標にどれだけ依存しているか、という点が重要になる。基礎データでも、この両制度の交錯点が重要だと指摘されていたね。」
太郎くん:「基礎がなくなったら、その上に乗っていた防護標章も影響を受けそうですね…。更新できなくなるとか、そういう話だったような。条文を確認して、それぞれの関係を整理してみます。」

2.法律の根拠条文からの分析

(1)登録商標の不使用に対する法的措置
商標法第50条(商標登録の取消しの審判):

第1項:継続して三年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。

主な請求要件:①継続3年以上の不使用、②日本国内での不使用、③請求に係る指定商品・役務についての不使用、④商標権者・使用権者のいずれも使用していないこと、⑤何人も請求可能。

(2)防護標章と不使用取消審判
 商標法第64条(防護標章登録):著名な登録商標の保護を非類似商品・役務に拡張する制度。

防護標章の性質:基礎となる登録商標の著名性・信用力に依拠し、その希釈化等を防ぐものであり、防護標章自体が使用されることを前提としていない。

したがって、防護標章は商標法第50条の不使用取消審判の対象とはならないと解される。基礎データにも「不使用取消審判の対象外」と明記されている。

(3)基礎登録商標の取消が防護標章に与える影響
 商標法第65条の3第2項:その登録商標(基礎登録商標)に係る商標権が消滅したとき、その他政令で定める事由に該当するに至つたときは、防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録をすることができない。

本件登録商標が不使用取消審判により取り消されれば(商標法第54条により審判請求登録日に遡って消滅)、それは「商標権が消滅したとき」に該当する。

結果として、本件防護標章は、現存する存続期間満了後の更新ができなくなり、期間満了をもって消滅することになる。

これらの規定及び解釈に基づき、各問いについて検討する。

3.模範解答例(その1)

(1)本件登録商標「エクセレント」に対する法的措置 本件登録商標「エクセレント」が、その指定商品「チョコレート」について継続して3年以上日本国内で使用されていない場合、商標法第50条に規定される「商標登録の取消しの審判」(いわゆる不使用取消審判)の対象となり得る。

 この審判は、何人も請求することができ(同条第1項)、その主な請求要件は以下の通りである。

1.審判請求の登録前3年間継続して、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、請求に係る指定商品(本件では「チョコレート」)について登録商標(これと社会通念上同一と認められる商標を含む)を使用していないこと。

2.この不使用について、商標権者側に天災その他の不可抗力によるような正当な理由がないこと(ただし、正当理由の立証責任は商標権者側にある)。
 この審判により登録を取り消すべき旨の審決が確定した場合、本件登録商標に係る商標権は、原則として審判請求の登録の日に消滅したものとみなされる(商標法第54条第2項)。

(2)本件防護標章が不使用取消審判の対象となるか 本件防護標章「エクセレント」は、その指定商品「清涼飲料水」について使用されていない。しかし、防護標章登録制度(商標法第64条以下)は、著名な基礎登録商標の保護をその指定商品・役務と類似しない範囲にまで拡張し、当該著名商標に化体した信用力やブランド価値の希釈化等を未然に防止することを目的とするものである。防護標章は、基礎登録商標の著名性に基づいて登録されるものであり、防護標章自体がその指定商品・役務について使用されることを前提としていない。

 したがって、防護標章登録は、その性質上、商標法第50条に規定する不使用取消審判の対象とはならない。本件防護標章も、使用されていないことを理由として不使用取消審判の対象となることはない。

(3)本件登録商標の取消が本件防護標章に与える影響 仮に、(1)の不使用取消審判により本件登録商標「エクセレント」の登録が取り消され、その商標権が消滅した場合、本件防護標章の効力や存続に重大な影響が生じる。 商標法第65条の3第2項は、「その登録商標(基礎登録商標)に係る商標権が消滅したときは、防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録をすることができない」と規定している。本件登録商標が不使用を理由に取り消された場合も、この「商標権が消滅したとき」に該当する。

 その結果、本件防護標章は、現に有する存続期間が満了した際に、その更新登録を受けることができなくなる。したがって、本件防護標章は、直ちに効力を失うわけではないが、現存する存続期間の満了をもって消滅することになる。これは、防護標章が常に有効な基礎登録商標の存在を前提とする従属的な権利であることを示すものである。

4.模範解答例(その2)

(1)本件登録商標「エクセレント」に対する法的措置
結論:商標法第50条に基づく不使用取消審判の対象となり得る。
主な請求要件:①継続3年以上の日本国内における不使用、②請求に係る指定商品についての不使用、③何人も請求可能。

(2)本件防護標章が不使用取消審判の対象となるか
結論:対象とならない。
理由:防護標章は、基礎登録商標の著名性に基づき非類似範囲の保護を図るものであり、それ自体が使用されることを前提としていないため、不使用取消審判の対象外である。

(3)本件登録商標の取消が本件防護標章に与える影響
結論:本件防護標章は、現存する存続期間満了後の更新登録ができなくなり、期間満了をもって消滅する。
理由:商標法第65条の3第2項により、基礎登録商標の商標権が消滅した場合、防護標章は更新できない。不使用取消による基礎登録商標の消滅もこれに該当する。

【問題Ⅱ】難易度:中

 A社は、日本国内で広く知られている登録商標「アルファ」(指定商品:第25類 被服。以下「基礎商標」という。)の商標権者である。A社は、この基礎商標の著名性に基づき、これと同一の標章「アルファ」について、指定商品を第18類「かばん類」(基礎商標の指定商品とは非類似)とする防護標章登録(以下「本件防護標章」という。)も受けている。本件防護標章の存続期間満了日は2028年5月10日である。 しかし、A社は経営戦略の見直しから、基礎商標「アルファ」をその指定商品である「被服」について、2020年4月1日から日本国内での使用を全面的に中止している。この事実は、アパレル業界ではある程度知られるようになっていた。

 2025年3月1日、第三者であるB社が、基礎商標「アルファ」について、継続3年以上の不使用を理由として商標法第50条に基づく取消審判を請求した。審理の結果、特許庁はB社の請求を認容し、基礎商標「アルファ」の登録を取り消す旨の審決(以下「本件取消審決」という。)を下し、この審決は2026年7月15日に確定した。

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