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概要
この記事では、味の素の最近の決算内容を詳しく解説しています。売上高や事業利益が過去最高を記録し、企業の成長戦略や今後の見通しについて述べています。特に、国内外での成長要因や財務状況、株主還元策が重点されています。
要約
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決算概要
- 売上高:1兆5,305億円(前年比 +6.3%)
- 事業利益:1,593億円(前年比 +7.9%)
- 当期純利益:702億円(前年比 -19.3%)
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成長要因
- 海外での単価上昇と収益構造改革による増益
- 国内外での販売単価の引き上げにより増収
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セグメント別状況
- 国内冷凍食品以外のセグメントにて増収
- 海外冷凍食品はアジアでの成長と為替効果で増収
- 半導体市場の回復により電子材料が大幅増
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今後の見通し
- 2026年3月期の売上高は1兆6,180億円(前年比 +5.7%)、事業利益は1,800億円(前年比 +13%)を予測
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投資戦略
- 新製品の開発やマーケティングへの投資を強化
- 国内外での新規事業開拓を計画
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財務状況
- 営業CFが2,000億円を超え、来期は2,200億円を見込む
- 株主還元策として増配および自己株式取得を実施予定
- 結論
- 本業の利益とキャッシュフローを確保し、投資や配当政策を進める重要性が強調されている。
まずは損益の状況ですが、売上高は前年比+6.3%の1兆5,305億円、事業利益は+7.9%の1,593億円、当期純利益は△19.3%の702億円と、売上高と事業利益に関しては過去最高を更新しました。当期純利益に関しては、減損処理などの影響もあり減益となりました。
本業のところでは好調を維持しています。
出所:決算説明資料
今後の成長に向けたマーケティングや研究開発への投資によるコスト増はありましたが、それ以上に海外での単価上昇効果や収益構造改革による増益効果があり過去最高益となりました。
出所:決算説明資料
セグメント別の状況を見てみると、国内の冷凍食品以外のセグメントで増収となっています。国内の調味料・食品では、コスト増加対応のために商品単価を引き上げたことにより販売数量は減少しましたが、単価アップの影響で増収となりました。海外では数量・単価ともに安定して成長を続けています。海外の冷凍食品ではアジアでの着実な成長と為替効果で増収となっております。
また半導体市場の回復に伴い電子材料が大幅に増加しました。
出所:決算説明資料
足元の状況は良好で、過去最高収益となったことも頷けます。では今後の見通しはどうでしょうか?次年度2026年3月期の業績予想を見てみましょう。売上高は前年比+5.7%の1兆6,180億円、事業利益は+13%の1,800億円と売上・利益ともに今回の最高業績を更に更新する見通しとなりました。
セグメント別に見ても全ての事業で増収増益となっておりますので、その好調さ・見通しの良さが見てとれます。
出所:決算説明資料
調味料・食品(コーヒーを除く)の日本国内の見通しでは、新製品の貢献を見込み数量・単価ともに成長する見通しです。単価上昇により減少傾向にあった事業利益率も上昇に転じつつあります。
商品の付加価値を高めることによる単価成長、コストダウンや工場稼働率上昇による事業利益率の改善が今後の成長戦略になってきます。
出所:決算説明資料
調味料・食品の海外では、今回に続き次年度でも増収増益の見通しです。まずは既存ブランドの成長をしっかりと進めつつ、各国の多様化する生活者ニーズに対応する新しい価値の創造を図っていきます。
またアセアンやラテンアメリカの主要国の周辺新興国開拓の加速や、東アジアや中東などではターゲット国を絞って新規開拓を進めていく予定です。
出所:決算説明資料
冷凍食品に関しては、25〜30年の5年間で売上高の平均成長率7%を目指していきます。既存事業の成長に加えて新規事業の拡大も進めていきます。
日本国内の競争は激化しているので、ASEANやラテンアメリカなど新地域への進出も目論んでいます。
出所:決算説明資料
財務面に関しても内容を見てみましょう。これまでは財務規律の目安として「ネットD/Eレシオ」を40〜60%に抑えることを指標として見ていました。純資産を超える有利子負債を負わないように管理しており、2016年からの推移を見る限りでは60%を超えることなくコントロールされていました。今後はこの指標ではなく新たな指標として「ネット有利子負債/EBITDA倍率<2倍」を採用するとしています。従来の指標のネットD/Eレシオと比較すると少し短期的な見方の財務管理になるのかもしれません。
ただ目安を2倍としているので、この目安を守って管理をしていれば財務的に危険になる可能性は低いかと考えます。
出所:決算説明資料
キャッシュフローに関しては、ここ数年営業CFが右肩上がりを続けています。今回の決算では初めて2,000億円を超える結果となり、次年度2,200億円以上と更に多くの営業CFを見込んでいます。
出所:決算説明資料
投資に関してここ数年の推移を見ると、設備投資と無形資産への投資合わせて1,500億円前後で推移しています。そのうち設備投資は1,000億円弱で推移しています。
2025年では設備投資金額を1,100億円まで引き上げ、重点事業への投資を積極手に実施していく考えです。
出所:決算説明資料
また株主還元を意識した政策もとっており、配当金に関してはここ数年増配を続けています。次年度も増配の予定で、今回の40円/株から+8円増配し、48円/株を実施する予定です。
また1,000億円の自己株式取得も発表しており、配当・自己株式取得の両面で株主還元を進めていきます。
出所:決算説明資料
これらの投資・配当政策の原始となるのは、やはり本業の稼ぎである営業CFです。2025年の営業CFの見通しが2,200億円あるので、それを元に設備投資と配当政策を決定しています。
なにわともあれまずは本業の利益・キャッシュを計画通り獲得することが重要であるということかと考えます。
出所:決算説明資料
今回の決算内容3分解説は以上となります。
次はどの会社の決算を見ようかな?
マサキタカオ
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