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同じタイトルで全然違う内容の隠れた名作・傑作・カルトSF映画[2選]|ぷらねった【SF映画紹介】


ぷらねった【SF映画紹介】

2025年5月23日 22:45

こんばんは ぷらねったです同じタイトルを付けられながらも 大きな違いを感じられる内容をもった映画たち

今回は「同じタイトルでも全然違う内容の隠れた名作・傑作・カルトSF映画」というテーマで そんなSF映画を紹介していきます

1.CARGO カーゴ (2009年)

監督は イバン・エングラー ラルフ・エッター
宇宙船を舞台に描かれる スイスのSFサスペンス映画です

舞台は2267年地球における環境汚染の進行によって生きていくことが困難になった人類の多くは 人口過密ないくつかの宇宙ステーションで生活していました新たな居住地として選ばれた惑星レアへの移住計画は 大企業であるクイパー・エンタープライズ社によって主導され 一部の幸運な人々を対象にして進行中ですそんな中 まだ経験の浅い医師のラウラ・ポートマンは惑星レアにいる姉との再会を目指し 移住費用を稼ぐため 片道およそ4年という長期間で宇宙ステーション間を移動する古びた貨物船 カサンドラ号で勤務することになります

そして低温睡眠に入ってから3年が経った2070年 目覚めたラウラは誰もが眠りについているはずの船内で何者かの気配を感じ 移住計画の真実が明らかになっていく…というストーリーです

製作費は500万スイスフランで 約560万ドルイバン・エングラー,ラルフ・エッターというスイス生まれの2名にとって 長編映画監督デビュー作となった作品です主演したのはドイツ生まれで舞台俳優出身のアンナ・カタリーナ・シュヴァブローであり 今作は彼女にとって テレビ映画を除けば唯一の長編映画出演作になっています

印象的な原題は『Cargo』であり これは主に『船舶や飛行機で運ばれる貨物』という意味をもち これが物語の中で重要な役目をもつ要素となっています

作中では 2067年から2070年という未来世界において 宇宙船を舞台にした物語が描かれます
宇宙ステーション間を移動中の貨物船という 閉鎖的な密室環境で起きる事件…例えば『エイリアン』や『アビス』を感じさせる舞台設定で 緊張感のあるストーリーが展開されていきます

映画の舞台となる貨物船カサンドラ号は 完全自動操縦システムを搭載しているため 基本的に操縦士はいませんまた 映画内の世界では 機械化された社会に対して批判的な意見をもち 宇宙ステーションへの攻撃をおこなうテロ集団がおり 情勢は刻一刻と悪化しています

そのため カサンドラ号では元々の乗組員が5名でしたが そこに派遣されてきた宇宙保安局の武装警官1名が加わり 現在は計6名の乗組員で構成されている設定です

宇宙ステーション間は片道約4年間 往復8年間という長旅のため 乗組員たちは8カ月間隔で交代制を取っており 1名が船内監視のために目覚めることになっていますそんなサスペンスにふさわしい設定で 惑星レアの移住計画や仮想現実などのSFテーマを交えつつ しっかりと構成された脚本が見ごたえある内容になっています

正直なところロマンス要素は無くても良いのではないか とは思いましたが…

ところで 少々意外なことに 今作はスイスで製作された初の長編SF映画とされています”スイスの国産映画”ということで プリプロダクション,撮影,ポストプロダクションまで ほぼすべての工程がスイスで行われましたサウンドミックスのみドイツで行われ 製作には8年という長い期間を要したそうです

監督のイバン・エングラー,ラルフ・エッターの2名は共にスイスのチューリッヒ芸術大学の出身であり 主要キャストのほとんどもスイスの俳優となっていますが 一部ドイツ出身の俳優陣が含まれています

また 登場人物の話す主な言語はスイスで主流とされる”スイスドイツ語”ではなく”標準ドイツ語”であり これには より幅広いドイツ語圏の観客にアピールする意図があったと思われます
そのほか 音楽についてはスウェーデン出身の作曲家 フレドリック・ストロームベルグが担当しています

そんなこの映画について スイスを代表するSFデザイナーであり『エイリアン』等でも知られるH・R・ギーガーも賞賛しており 限られた予算で制作された今作のデザインや製作クオリティーに感銘を受けたといいます魅力的なセットデザインについては 通路,壁,ハッチなどを除き 多くがCG生成されたそうです

特に印象的な巨大な貨物室ですが CG生成とはいえ 薄暗さをうまく利用してチープさを軽減しているように思えます

低予算とは思えないクオリティーを感じられる見ごたえのある映像も含まれていますが どうやらこの辺りの映像処理には インディーズゲーム等の制作に使用されることの多いゲーム開発ツール”Unity”も使用されているようです

そんなこの映画において 果たして惑星レアへの移住計画に潜む秘密とはいったいなんなのか
暴かれていく真実を 気になる方はぜひ観てみてください

2.カーゴ (2017年)

監督は ベン・ハウリング,ヨランダ・ラムケ
ゾンビ化してしまう感染症によるポストアポカリプスを描く オーストラリアのSFドラマ映画です

感染後48時間で 感染者をゾンビのような存在に変えてしまうウイルスが オーストラリアで蔓延夫のアンディ,妻のケイ,幼いロージーという3名の家族は そんなオーストラリアの大自然の中で ハウスボートで川を下りながら危険を避けて生き延びていました

食料が枯渇していく状況の中で物資を探しに向かうことになりますが そんな彼らにゾンビ化した感染者が襲い掛かるのであった…というストーリーです

本作品は 2013年に公開されてYouTubeでも話題となった7分間の短編映画『Cargo』を基に映画化されましたオーストラリアの新鋭でありテレビ業界,短編映画出身のベン・ハウリング,ヨランダ・ラムケの2名が監督をつとめています彼らにとっては長編映画監督デビュー作でもあり オーストラリア初のNetflixオリジナルとして製作された長編映画でもあります主演したのは『銀河ヒッチハイク・ガイド』などでお馴染み マーティン・フリーマンです

もちろんこちらも原題は『Cargo』となっています

作中では ゾンビウイルスによるポストアポカリプスをテーマに 広大なオーストラリアを舞台にした物語が描かれます
感染後48時間でゾンビ化してしまうウイルスによって文明が崩壊した世界…状況の改善が見込まれない中でなんとかして生き延びる人々は そのほとんどが家族単位,数人単位で協力しあっています

今作に登場するゾンビは食欲こそあれど高い戦闘力は無く 動きは緩慢です彼らは感染源になり得る存在ですが どちらかと言えば恐怖の対象というよりも “かつて人間だった存在”として扱われます単なるポストアポカリプスを舞台にしたゾンビ映画 いわゆる”ゾンビアポカリプス”では収まらず 親子の愛情 そしてオーストラリアの先住民というテーマも取り入れた内容には多角的な見どころがあります

血肉にまみれた演出をできるだけ避けつつ ゾンビ自体よりも そこで生きる人間の姿に焦点を置いたドラマ…丁寧に仕上げられた好演出が光る内容です

音楽を担当したのは 先住民アボリジニの部族 ンガリンジェリ族のダニエル・ランキンに加え 様々な楽器の奏者であり 卓越したボーカリストのドクター・G・ユヌピングです
ドクター・G・ユヌピングはオーストラリアの先住民ミュージシャンとして最も成功したとも言われていますが 今作の公開される数か月前に惜しくもこの世を去りました

ところで 今作で長編映画監督デビューとなったベン・ハウリング,ヨランダ・ラムケという2名の監督は共にテレビ業界出身の人物ですが 彼らは長年の友人同士であり 元々はリアリティー番組関連の仕事を共同でおこなっていたそうです
主に撮影,編集といった技術的な部分を担うベン・ハウリングと 演技経験をもち ドラマの基礎を理解した上で脚本を担当するヨランダ・ラムケ…それぞれが得意分野を担当するというのは 共同監督として理想的なバランスだと感じます

彼らは 今作の基になった7分間の短編映画を構想する際に”ゾンビというジャンルにこだわりながら ステレオタイプな世界観から逸脱すること”を目指したそうですこの短編映画は今作の衝撃的なラストシーンだけを抽出したような内容になっており この映画のストーリーの核となる部分を描いていると言えます先住民をはじめとした多くの要素は長編映画化に際して付け加えられたものですが 追加された要素も決して蛇足とは感じさせない仕上がりが素晴らしいです

“ステレオタイプなゾンビ映画からの逸脱”という意図はキャスティングにも表されており 例えば『銀河ヒッチハイク・ガイド』など 主にコメディでの活躍でも知られるマーティン・フリーマンが主演として選ばれました

今作の製作にあたっては”パンデミックによるポストアポカリプス”という映画の状況を表現できるような 人里離れた世界を想起させる風景としてロケ地が構想されました
最終的なロケ地は南オーストラリア州となり この土地が見せる多様な景色は映画の空気感を決定づけるだけでなく 映画の内容にも大きな影響を与えています

映画の大きなテーマとなっている先住民についても ロケ地の決定後に追加された要素ですが そんな先住民への敬意を払うため オーストラリアの先住民コミュニティのメンバーと映画の製作陣で 綿密な協議が行われました先住民の作家ジョン・ベルが脚本アドバイザーとして参加し 製作陣は文化的慣習への理解を深めた上で演出を行いました

さらには 2014年のホラー映画『ババドック 暗闇の魔物』で同じく南オーストラリアでの撮影を経験して土地に対する理解をもち 現地の映画協会やスタッフとのつながりもあるクリスティーナ・セイトンがプロデューサーとして参加しました

こうして迎えた撮影は5週間にわたりましたが この時期のオーストラリアはここ1世紀で最悪とも言われるほどの悪天候に見舞われていました
洪水,停電,豪雨 さらには小型サイクロンまで発生する過酷な状況…しかし奇跡的に1日も撮影は中断されることがなかったそうです

主演のマーティン・フリーマンは比較的シリアスな雰囲気の今作において即興での演技を多く取り入れており この映画で欠かせない存在となっていますが 撮影現場でも存在感を見せたそうです
彼は主要な共演者である子どもたちに対して温かさとリーダーシップに満ちた”キャプテン”のような立ち振る舞いを見せ 現場のあたたかい空気を決定づける存在だったそうです

そんなこの映画は 2009年に公開されたヴィゴ・モーテンセン主演の映画『ザ・ロード』へのオマージュ作品であると評されています
個人的には ゲーム原作の大人気SFドラマ『The Last of Us』に近い作風だとも感じますが 実は『The Last of Us』の原作ゲームがリリースされたのは今作の原作短編映画『Cargo』の公開と同じく2013年でありながら『Cargo』のほうが4か月ほど早く公開されており 偶然時期が一致しただけなのかどうか 興味深いところです

また ヨランダ・ラムケ,ベン・ハウリングという2名の新鋭監督は 今作をきっかけにアメリカの大手エージェントと契約を結んだとされています
今作の後で表立った活動は見えませんが 彼らの今後の活躍にも大いに期待したいところです

そんな オーストラリア初のNetflix製作映画である 本作品
見ごたえのある脚本の光るポストアポカリプス映画を ぜひ観てみてください

あとがき

今回は「同じタイトルでも全然違う内容の隠れた名作・傑作・カルトSF映画」というテーマでのSF映画紹介でした『Cargo』という同じタイトルを持ちながら 片方は宇宙船を舞台にしたサスペンス映画 もう片方はポストアポカリプスのオーストラリアを舞台にしたゾンビ映画となっています個人的にはどちらも好きなのですが まだ観ていない映画があればぜひ観てみてください

最後までご覧いただき ありがとうございました

ぷらねった【SF映画紹介】

SF映画のことばかり…主にマイナーSF映画について気ままに紹介していきます ◆好きな映画監督はジョン・カーペンター 、デヴィッド・クローネンバーグ 、クリストファー・ノーランなど ◆Amazonのアソシエイトとして、ぷらねったは適格販売により収入を得ています。



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