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概要
巴川コーポレーションは、半導体実装用テープや電子部品関連の事業を展開しています。円安の恩恵を受けながら、自己株買いや配当よりも研究開発と設備投資に資金を優先する方針を示しています。売上は微増したものの、コストの圧力が影響し利益は減少。ただし、法人税効果により純利益は大幅に増加しました。
要約の箇条書き
- 売上高: 344億3,200万円(前期比2.2%増)。
- 利益は営業利益12億8,200万円(同3.7%減)、経常利益15億6,600万円(同4.7%減)。
- 純利益は7億4,900万円(同26.2%増)と増益。
- トナー事業は売上124億1,500万円(同5.9%増)、利益も増加。
- 半導体・ディスプレイ関連事業は売上65億3,000万円(同0.2%増)、利益大幅改善。
- 機能性シート事業は売上112億900万円(同4.1%増)、黒字転換。
- セキュリティメディア事業は売上39億8,700万円(同9.1%減)、減益。
- 新規開発事業は売上4,400万円(同34.3%減)、赤字拡大。
- コスト圧力が強く、営業・経常が減益だが最終利益は増。
- 今後の注目点: 新規開発製品の事業化、トナー・半導体分野の成長持続性。
当連結会計年度においては、主力のトナー事業で市況の低迷に伴う受注減があったものの、円安の進行や価格転嫁の進展、加えて機能性シート事業での海外入札案件の獲得などが寄与し、売上高は344億3,200万円(前期比2.2%増)となった。
利益面では、円安や価格転嫁によるプラス要因はあったものの、人件費や原材料費の上昇、積極的な設備投資による償却費増加などのコスト圧力が上回り、営業利益は12億8,200万円(同3.7%減)、経常利益は15億6,600万円(同4.7%減)と減益。一方で、法人税等調整額の影響などにより、親会社株主に帰属する当期純利益は7億4,900万円(同26.2%増)と大幅な増益を確保した。
なお、第4四半期(2025年1〜3月期)は、トナー事業の受注減に加え、樹脂価格の上昇や海外顧客に対する貸倒引当金計上などの影響により、減収減益。
【セグメント別業績の詳細】
① トナー事業
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売上高:124億1,500万円(前期比5.9%増)
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セグメント利益:8億4,900万円(同4.1%増)
市況の低迷で受注減はあったものの、円安の影響で海外売上が増加し、全体として増収・増益。第4四半期には受注減、生産調整、樹脂価格上昇、貸倒引当金の計上などのマイナス影響がありましたが、通年では為替効果が勝った形。
② 半導体・ディスプレイ関連事業
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売上高:65億3,000万円(前期比0.2%増)
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セグメント利益:8億400万円(同32.3%増)
光学フィルムは通年で好調を維持。半導体実装用テープは伸び悩んだものの売上は前年並みを確保。新製品立ち上げコストは発生したものの、生産性向上や試作収入などで利益率が大幅改善。
③ 機能性シート事業
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売上高:112億900万円(前期比4.1%増)
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セグメント利益:5,800万円(前年は4,200万円の損失)
海外入札案件の獲得や製紙SBUの堅調な推移により増収。原材料高騰を価格転嫁やコストダウンで吸収し、黒字転換。
④ セキュリティメディア事業
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売上高:39億8,700万円(前期比9.1%減)
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セグメント利益:3億1,300万円(同28.5%減)
前年の特需終了と一部顧客の在庫調整による受注遅延で減収。通帳・印刷物関連の販売減少が響き、減収に伴い利益も減少。
⑤ 新規開発事業
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売上高:4,400万円(前期比34.3%減)
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セグメント損失:8億2,000万円(損失拡大)
iCasやGREEN CHIP製品、半導体装置向け製品などの開発は継続中だが、売上が伸び悩み、研究開発投資により赤字が拡大。
⑥ その他事業
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売上高:2億4,400万円(前期比5.7%増)
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セグメント利益:5,200万円(同33.4%減)
売上は増加したものの、収益性の低下により利益は減少。
【総括】
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売上は微増(2.2%増)ながらも、為替や価格転嫁努力の効果で一定の成果をあげた年度。
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利益面は、コスト増圧力が依然強く、営業・経常とも減益だが、税効果などにより最終利益は大幅増。
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セグメント別では、トナーと半導体・ディスプレイが牽引役、機能性シートも黒字転換と健闘。
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セキュリティメディアは特需反動と在庫調整で失速、新規開発は赤字継続。
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ネットキャッシュ(64.5)、ネットキャッシュ比率(0.009)。
今後の注目点としては、新規開発製品の事業化進展と、トナー・半導体分野での成長持続性、コスト構造の改善が課題。
引用
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