🧠 概要:
概要
この記事では、バンドや音楽を提供する側に向けて、特定のターゲットに明確にアプローチするために自分たちの特徴を絞り込む重要性について述べています。特に、「WONDA モーニングショット」という缶コーヒーの例を通じて、あえて「朝専用」とすることで多くの人に印象を与え、リピートにつなげるという戦略が紹介されています。この考えをバンドの活動に応用することで、より効果的に自分たちを伝えられるとしています。
要約
- 突然の一般名詞化: 「朝専用」の商品は、他の時間帯の需要を捨てることで特定のターゲットに特化。
- 売れる理由: ターゲットのサラリーマン男性層に特化し、朝の出勤前に選ばれやすい。
- 初めての接点: 限定的なキャッチコピーが、最初の接触を容易にする。
- 音楽業界への適用:
- 自分たちの音楽スタイルや特徴をあえて絞ることで、印象に残りやすくなる。
- 具体的なキャッチコピーがあることが他者に伝わりやすい。
- 捨てる勇気: 複数の特徴を一度脇に置き、特定の印象を強調することで、届けたいメッセージが明確になる。
- まとめ:
- 明確な切り口を持つことは初見の人の印象を強化。
- 「言い切る強さ」が重要。
数年前に僕が連載させてもらってたコラム「オ客ハ読ムナ」の原稿がいくつか出てきたのでちょっとだけ加筆修正して再掲載
朝専用缶コーヒーの話
~間口を狭めることで、むしろ広がるかもしれない話~
▼「朝専用」と言い切る強さ
「WONDA モーニングショット」という缶コーヒーをご存知でしょうか?
“朝専用”というキャッチコピーで長年売れ続けている、ロングセラー商品。
今回は「WONDA モーニングショット」という“朝専用”缶コーヒーを題材にしながら、
あえて“いろいろできる”自分たちの中から 何かを「捨てて」絞ることで、むしろ多くの人に届くという逆説的な考え方をお話ししたいと思います。
あえて自分たちの音楽ジャンルの「間口を狭く見せる」ことで、逆に多くの人に届く可能性があかも?ってな、お話。
例のごとくバンドマン向けの内容なので、お客さんはここでそっと退出してください。
お客は読むな。
▼そもそも何が“朝専用”なのか?
冷静に考えてみましょう。
“朝専用の缶コーヒー”なんて物は、存在しません。
もちろん朝に飲んでもいいけれど、お昼に飲んでもいいし、夜に飲んでもいい。
でもこの缶コーヒーは、「朝専用」と言い切ってる。
「昼と夜を捨ててまで、朝に飲んでくれ!」と主張しているような勢いです。これはつまり、あえて需要の間口を狭めているということ。
よく考えてみてください。「朝専用」って、本来めちゃくちゃもったいない打ち出し方なんですよ。
だって、コーヒーなんて朝でも昼でも夜でも飲まれるものじゃないですか。
それをあえて、「朝専用です」と言い切った。
つまり、昼と夜を“捨てたわけです。
▼それでもこのコーヒーが売れている理由
「WONDA モーニングショット」は、仕事前のサラリーマン男性層を狙い撃ちしてヒットした商品です。
実際、僕もよく飲みます。味は少し濃いめで、確かに朝の出勤前に「頑張るぞ」と思わせてくれる味。
“朝専用”と刷り込まれているせいか、朝コンビニで缶コーヒーを買うとき、なんとなくモーニングショットを選んでしまう。
で、ここからが話のポイントなのですが
僕はわりと夜でも飲むんですよ、これ。
そもそも味が好きなので、「濃いめの缶コーヒー飲みたいな」と思ったときに、無意識に選んでいます。
▼つまりどういうことか?
この“朝専用”というキャッチコピーは、
「この缶コーヒーにはじめて触れるキッカケ」を作っているんです。
最初の一歩、つまり 「はじめて手に取ってもらう瞬間」には、“朝専用”という限定ワードが超効いてた わけです。
たとえ間口が狭くても、気に入ってもらえれば、昼でも夜でも飲んでもらえる。
これ、めちゃくちゃよくできたキャッチコピーと思うんですよね。
最初の印象が強烈だと、記憶にも残る。
これがたとえば、「濃厚!驚きのうまさ!!」だったら僕は買ってなかった。
“朝専用”という限定感があったからこそ、他の缶コーヒーと差別化できていたんです。
▼図解:モーニングショットに学ぶ「間口を狭める戦略」
市販にありふれた缶コーヒー ↓あえて「朝専用」と名乗る ↓朝の人にピンポイントで刺さる ↓味が気に入ればリピーターへ
(昼でも夜でも買ってくれる)
▼この考え方をバンドに応用すると?
ミュージシャンって生き物は、基本的に「決めつけられるのが嫌い」(※倉坂調べ)です。
たとえばお客さんやライブハウスの人に、自分たちのバンドの方向性を勝手に印象だけで決めつけられて、少しむっとしながら否定したことありませんか?
-
「あの、4つ打ちのキャッチーなバンドさんですよね?」
→「あ、でも僕ら4つ打ちだけじゃないですし!」 -
「バンプっぽい雰囲気ですよね?」
→「バンプ…僕らそれだけじゃないんで?そっもそもバンプ、最近あんまり聴いてないですし…」
こんなやり取り、心当たりありませんか?
心当たりありますよね。
あるはず。
たぶん…。
あるってことにして進めます。
気持ちはわかる。
実際、僕らがやってる音楽ってそれだけじゃないですもんね。
でもね
でもね
でも、そこをグッと我慢して言い切る勇気も時には大事。
「いろいろできる」ことと「伝わる」ことは、まったく別なんですよね。
はじめて見てくれたお客さんの第一印象がそれなら、
もう僕らはそういうもんなんだな…と
(ミュージシャンとしてのプライドはいったん脇に置いてしまって)
ある種、開き直って
-
「うっす!最高の4つ打ちバンドです!」
-
「はい、ポストバンプ目指してます!」
と、言いきってしまう。
この方が、初見のリスナーには伝わりやすいことが多い。
もちろん安っぽくなりすぎると逆効果ですが、何事もバランス。
▼ “伝えたいなら、捨てる”勇気が必要
もちろん、あなたのバンドの魅力はたくさんあるでしょう。
でも、最初に刺すべき1点を決めてしまう。
あえて他の要素は、初見の人向け には捨ててしまう。
入りやすくてわかりやすい入り口を作ってあげるイメージですかね。
きちんとファンになってもらえたら、他のあなたたちの魅力にもちゃんと気づいてもらえるはずなんで
たとえば──
-
「泣ける系ロックバンドです」
-
「アニメ好きがハマるポップロックです」
-
「ビートルズとスピッツの間を狙ってます」
みたいに、あえて限定的に名乗ってみる。
それは「他のことをやらない」と言っているのではなくて、「まず覚えてもらうため」にです。
大丈夫。
おいしかったら、ちゃんと夜にも飲んでもらえるから。
ちゃんとバンドやって良い曲作ってるんでしょ?大丈夫。
▼まとめ
-
間口を狭めることは、怖い。でも、はじめて知ってもらう“切り口”としてはとても有効。
-
自分たちの魅力を言い切るキャッチコピーがあると、初見の人に伝わりやすい。
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「WONDAモーニングショット」から学ぶべきことは、「言い切る強さ」。
▼次回予告
…とか書いていたら、キャッチコピーを考えてるうちにいろんなことを思い出してしまったので、
次回は実際に使ったことのあるキャッチコピーや、思い出深い宣伝文句の話などを書いてみようかと思います。
それでは、生きていたらまた来週!
夏バテには気をつけて!
…と、ここまでが連載当時に書いた本文でした。
最後に「次回予告」って書いてるけど
これの続きに何を書いたかあんまり覚えてないなぁ…
当時の原稿が他にも見つかったら、続きも載せようと思います。
読んでくれてありがとう。
また来週!(うそ)
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