仮想通貨を奪うため、仮想通貨に関連するインフルエンサーや企業の関係者を誘拐するという事件が欧州を中心に多発しています。中には、身代金交渉の過程で指を切断されるという事例もありました。
Severed Fingers and ‘Wrench Attacks’ Rattle the Crypto Elite – WSJ
https://www.wsj.com/finance/currencies/crypto-industry-robberies-attacks-32c2867a
We have reached the “severed fingers and abductions” stage of the crypto revolution – Ars Technica
https://arstechnica.com/security/2025/05/we-have-reached-the-severed-fingers-and-abductions-stage-of-the-crypto-revolution/
French police investigate spate of cryptocurrency millionaire kidnappings | France | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2025/may/04/french-police-investigate-spate-of-cryptocurrency-millionaire-kidnappings
2025年5月13日、パリで仮想通貨企業PaymiumのCEOの娘と孫が誘拐されかけるという事件が発生しました。報道によると、事件の現場では覆面の男たちが催涙スプレーと銃のようなものを振り回し、CEOの娘と孫をバンに無理やり押し込もうとしたとのこと。幸い、娘の夫が気づいて抵抗し、近隣住民も集まってきたため、犯人らは誘拐を諦めて逃走しました。
この件は未遂に終わりましたが、同様の事件は世界中で複数件起きています。
2025年1月、仮想通貨ウォレット開発企業Ledgerの共同創業者であるデビッド・バーランド氏とその妻が誘拐される事件がフランスで発生し、1000万ユーロ(約16億2000万円)という高額の身代金要求と共に、バーランド氏の指が切断された様子を撮影した動画が警察に送られました。間もなくバーランド氏は警察の捜査で無事発見され、翌日にはパートナーも生きた状態で見つかりました。
仮想通貨ウォレット「Ledger」の創業者が誘拐される事件が発生 – GIGAZINE
2025年5月には同じくフランスで息子と共に仮想通貨マーケティング会社を経営していた男性が誘拐され、数日後に警察の強制捜査で発見されました。男性は指1本が切断されており、警察は「救出されていなかったらさらなる切断が起こっていた可能性がある」と伝えたとのことです。
このような事件が起きているのはフランスだけではありません。ベルギーでは、仮想通貨について頻繁にSNSへ投稿するインフルエンサーの妻が誘拐され、アメリカではギャングが大量の仮想通貨を保有しているとみられる人の自宅に侵入しており、スペインではイギリス人が別のイギリス人3人に誘拐され、3万ユーロ(約500万円)を仮想通貨で支払うか拷問を受けて死ぬかを迫られるという事件が起きています。これまでのところ、報告されている被害者のほとんどは仮想通貨業界で働いているか、オンラインで富を誇示しているインフルエンサーだそうです。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、仮想通貨に関連する誘拐事件は2024年だけで数十件発生しているとのこと。背景には仮想通貨の価格急騰があり、仮想通貨をオフラインで保存する人が狙われることもあると伝えられています。
仮想通貨にとってオンラインでのハッキングがリスク要因であるため、近年は投資家が仮想通貨を手元のデバイスにオフラインで保存するというケースが増えています。これにより口座がハッキングされて仮想通貨を盗まれる可能性は限りなく低くなりますが、投資家本人が誘拐されるというリスクは避けられません。
2025年5月に仮想通貨取引所のCoinbaseがハッキングを受け、最大9万7000人の顧客情報を流出させたことで、このようなリスクは高まったとウォール・ストリート・ジャーナルは指摘しています。セキュリティ企業Casaのジェイムソン・ロップ氏は「多くの人が自宅に仮想通貨を隠すというセキュリティ対策を講じていますが、著名人であれば、物理的な攻撃を心配しなければなりません」と話し、オンライン上だけでなく、オフラインでも盗難を警戒しなければならないと警告しました。
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🧠 編集部の感想:
このニュースは、仮想通貨業界の暗い側面を浮き彫りにしており、投資家や関係者が直面する新たなリスクを警告しています。指を切断されるという残酷さが特に衝撃的で、犯罪組織が狙う理由が価格急騰にあるのは背筋が凍ります。セキュリティ対策を講じても、物理的な危険から逃れることが難しい現状に、多くの人が恐れを抱いていることでしょう。
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