🧠 あらすじと概要:
あらすじ
映画『青の稲妻』(2002年)は、中国の地方都市を舞台に、経済成長の影に隠れた若者たちの不安や焦燥を描いた青春ドラマです。物語は2001年の中国山西省・大同を背景に、未来に立ちはだかる壁に苦しむ2組の若者の姿を追います。彼らは、バブル経済の影響を受け、自己実現を目指す中で様々な社会的・個人的な矛盾に直面します。台湾の楽曲「任逍遥」が劇中で重要な役割を果たし、青春の葛藤や夢の追求を象徴します。
記事の要約
この記事では『青の稲妻』を分析し、中国の急激な変化を描く映画としての側面が強調されています。ジャ・ジャンクー監督が描くのは、経済成長の陰で苦しむ若者たちの姿であり、彼らが抱える閉塞感や挫折感が物語の中心です。特に「法輪功」の存在や、アメリカ資本主義による影響、昭和とバブル時代の日本の文化との関連についても言及されています。
映画では、主にバイクやカラオケ文化を通じて描かれる青春の旅路が描かれ、それに対する批評的な視点が提供されています。また、友情や愛情の葛藤、特徴的なキャラクターたちが立ち向かう困難も描かれ、最終的には若者たちの挫折が物語の結末となっています。全体として、中国社会の変化と若者たちの現実を交差させながら、時代の流れを感じさせる作品であることが強調されています。
『青の稲妻』(2002年製作/112分/中国・日本・韓国・フランス合作)
前作「プラットホーム」で80年代の中国の若者たちをビビッドに描いて高い評価を得たジャ・ジャンクー監督が、再び中国の地方都市を舞台に、現代の若者たちの不安や焦燥を等身大で見せる青春ドラマ。2001年の中国山西省・大同(ダートン)。経済的、国際的にも急成長を遂げた現代中国の地方都市で、期待と恐れ、社会への矛盾とを抱え苦悩する2組の若者が、未来に立ちはだかる大きな壁に立ち向かう姿を描く。「好きなように生きる」という歌詞が受け、大ヒットした台湾の曲「任逍遥」が劇中印象的に使われる。第55回カンヌ国際映画祭正式招待作品。
NHKオンデマンドで「愛と異端のシルクロード」を観て中国の激変映画、『新世紀ロマンティクス』に主演している趙濤(ちゃお たお)がナビゲーター役でこの頃はすでに中国が日本のGNPを追い抜いていたんだろうなと思える。その趙濤(ちゃお たお)が注目されたのが『青の稲妻』で『新世紀ロマンティクス』にも映像がつかわれていたと思ったのが「金太郎ルック」で、そういうえば日本でも流行っていたことがあったなと思い出したのだった。
この映画は2000年の中国激変を描いているのだが、それが天安門事件と法輪功と西遊記で中国が資本主義のなかで金儲け主義に走る若者を描いていた。
法輪功は宗教が禁止された社会主義国で、宗教という隠れ蓑のなかで金儲けしよとした新興宗教であり、日本でも80年代にオウム真理教や統一協会問題があったことを思えば、当時の若者の閉塞感を利用して勢力拡大をしていった宗教団体が理解できる。それは霊感商法という洗脳システムの中で伸長してきたものを感じる。
さらに西遊記などに対する批判は、そうした中国の物語がアメリカ資本主義に利用されてアニメ化されるなどの害悪の影響も描いているのだが、日本でも『西遊記』というとシルクロードブームの最中に放映されたドラマでありゴダイゴ「ガンダーラ」をテーマ曲とするなど、80年代の鄧小平の中国資本主義に力を貸したものと思われる。
ドラマは紡績工場の息子(最近観たワン・ビンのドキュメンタリー『青春』シリーズはジャ・ジャンクーのネガ的な中国を描いているようだと思ったが、この作品では汚れた裏通りの中国だった)が友人とつるんでいく中での閉塞感とミレニアム世界(アメリカ的資本主義の世界)の興奮と。大学の友人がランニング(下着)姿でオペラを練習している姿に西欧の憧れが感じられる。
そしてカラオケで歌の世界に浸るなど、まさにこの時代(バブル)の文化であった。そこで歌われるのは「愛の流行歌」なのだった。
まだ角川映画のエンタメ路線というよりもATG作品的なのだが日本側の出資者がオフィス北野なのが、この時代の流れを映し出しているようで興味深い。
バイクのシーンなんかもろ北野映画(『キッズ・リターン』)のパクリだった。年上の女は資本主義社会の中で生きる姉御肌で、男二人の友情がホモフォビア的な「欲望の三角形」を形作っている。
しかし最後は青年二人の挫折で物語が閉じていた。青春時代を大同で送る三人の若者(ドリカム関係か)。しかし鄧小平の経済社会は若者まで回ってこないで、行き詰まりの生活。その中で歌われるのが、中国のチャゲ&アスのような男性歌手二人組が歌う「任逍遥」で、流行歌が中国経済社会の未来を歌い、その中で生きる若者二人の挫折劇がメインのようで、ちょうど大同から北京へ高速道路が開通するのだが、一人は雨の中バイクがエンコしてしまい、もうひとりは銀行強盗未遂で警察に捕まってしまう。そのときに警官になんか歌えと言われて歌うのが、「任逍遥」でこの映画のテーマ曲のような。
それで動画を探していたら懐メロのように出てきたのが上の動画で、続けて出てきたのが一年前に上げられた最近の中国の流行歌のようである。日本でも似たような曲があったな、と思ったのだが三人関係が若者と姉さんとオジさんコンビで面白かった。『青の時代』がそんな映画であり、詐欺師的なオジさんに騙されていく若者たちなのだが、そのバックに法輪功事件があるという。
法輪功はなんとなく聞いたことがあったがキリスト教会系の新興宗教でオウム真理教や統一教会のような詐欺的な宗教組織であり、それがアメリカ経済と繋がっているという。アメリカのキリスト教福音派がそのバックのようでもあり、日本でも安倍元首相が関係していたという統一教会系なのかと思う(オウム真理教のように言っているところもあるが、元気が出る薬とか詐欺的な商売をしている)。法輪功はアメリカで保護法案が出されたり、日本でも政治がらみのニュースが検索すると出てくるので、けっこう組織的に今度の選挙なんかにも躍進してくるのだと思う。
最近の歌の明るさはそんな感じなのかとも思う。まあ流行歌もプロパガンダになっているというのが『青の稲妻』の裏テーマかもしれない。それで趙濤(チャオ・タオ)扮するイケイケ姉さんは「三峡ダム」や北京に逃れていくのが昨日観た『新世紀ロマンティクス』だった。題名にあるロマンは、中国の現実ということなんだろうが。
それで孫悟空のアニメがそういう若者たちを鼓舞していたアニメだったのか?日本だと「シルクロード」ブームの『西遊記』ということだが。
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