アメリカの国防総省や商務省は、ネットワーク機器メーカー「TP-Link」の安全保障上のリスクを調査しています。TP-Linkは分社化によって中国との関係は断たれたと主張していますが、組織改編の影響は限定的だとの見方もあります。

Wi-Fi Giant TP-Link’s US Future Hinges on Its Claimed Split From China – Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2025-04-11/wi-fi-giant-tp-link-s-us-future-hinges-on-its-claimed-split-from-china

TP-Linkは無線LANルーター無線LAN中継器といった無線LAN関連機器のメーカーとして広く知られており、世界トップシェアのメーカーとして市場に君臨しています。また、近年ではセキュリティカメラの販売にも力を注いでおり、2024年度には日本国内で販売されたPCカメラのうち65.1%がTP-Link製のものだったことも明らかになっています。

アメリカでは軍の内部でもTP-Linkの製品が使われているとのこと。しかし、TP-Linkの本拠地が中国にあることからアメリカでは「国家安全保障上のリスク」を懸念する声も上がっており、2024年8月には共和党と民主党の議員が当時の商務長官に対してTP-Linkの調査を実施するように求める書簡を提出しています。そして、2024年12月には国防総省や司法省、商務省などがTP-Linkに対する調査を実施していることが報じられました。

アメリカの規制当局がWi-Fi機器メーカー大手のTP-Linkを調査、大規模な販売禁止措置の可能性も – GIGAZINE


TP-Linkは中国に拠点を置く企業でしたが、2022年に中国に拠点を置く「TP-LINK Technologies」から中国以外での販売を担う「TP-Link Corporation」が分社化しました。さらに、2024年5月には、「TP-Link Corporation」が、研究開発などを実施する「TP-Link Global(現在はTP-Link Systems)」とオペレーションマネジメントなどを主業務とする「TP-Link Corporation」の2本社体制へと移行しました。「TP-Link Systems」の拠点はアメリカに設置され、「TP-Link Corporation」の拠点はシンガポールに設置されています。

TP-Linkグループ 組織再編の完了のお知らせ
https://www.tp-link.com/jp/press/news/21158/


TP-Link Systemsは2024年12月の「アメリカの政府機関がTP-Linkの調査を開始」という報道を受けて「当社は中国に拠点を置くTP-LINK Technologiesとは提携しておらず、当社とその子会社は中国本土での販売は行っていない」「中国政府が当社のルーターやその他機器の設計や製造にアクセスすることはできない」とする声明を発表し、アメリカのTP-Linkと中国のTP-Linkは別物であるとアピールしています。

一部報道に関する米国本社の声明 | TP-Link 日本
https://www.tp-link.com/jp/press/news/21538/


しかし、海外メディアのBloombergは「TP-Link Systemsは分社化後も事業の多くを中国に依存している」と指摘。中国への依存の最たるものとしてBloombergは「深センに拠点を置き中国政府に支援されている技術開発企業『Shenzhen Lianzhou International Technology』の成果を製品に取り入れ続けている」という点をあげています。

TP-Link Systemsのジェフリー・チャオCEOはBloombergに対して「米中の関係が複雑なのは承知しています。私はアメリカを選びました」「中国の企業とはもはや提携関係にありません」と述べ、中国との関係を再度否定しました。

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