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概要
クレハが株主還元方針を大幅に変更し、配当が従来の2.5倍に増加することを発表しました。これにより株価は急騰しましたが、経営状況が悪化している背景には資本効率の改善を図る狙いがあります。この方針は2026年度までの措置であり、今後の業績が影響を与える可能性があります。
要約ポイント
- 企業名: クレハ(クレラップで知られる)
- 株主還元方針変更:
- DOE(株主資本配当率)を5%に設定
- 2025年度の配当は従来比2.5倍
- 自社株買い: 最大150億円、発行済み株式の11.2%
- 理由: 資本効率(ROEやPBR)の改善が目的
- 業績状況: 売上・利益が前年から減少
- 売上収益:1,620億円(前年比▲9.0%)
- 営業利益:94億円(前年比▲26.3%)
- 注意点: DOE5%の方針は2026年度まで有効で、2027年度以降に減配の可能性
- 今後の焦点: 本業の収益力が維持できるかどうかが重要で、これにより還元が続くかが決まる
こんにちは、化学業界を解説するごりおです。
今回解説する企業は、クレハさんです。
クレハといえば「クレラップ」でおなじみですが、それだけで終わるにはもったいない会社です。
なんと、株主還元でモーレツなダブルパンチを公表。
市場にも大きなインパクトを与え、株価は一時10%超の急騰。
いったい何が起きているのか、背景にある思惑や注意点を解説します。
クレハってどんな会社?
クレハはニッチな製品を得意とする研究開発型メーカー。
特に強みを持つのが、以下の3分野です。
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機能製品事業:リチウムイオン電池にも用いられる「ポリフッ化ビニリデン=PVDF」などが主力。
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化学品事業:医薬や農薬など、高付加価値製品も手がける。
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樹脂製品事業:家庭用ラップ「クレラップ」は、国内トップシェアの一角。
クレハの業績は
クレハの2025年3月期は、売上・利益ともに前年から減少しました。
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売上収益:1,620億円(前年比▲9.0%)
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営業利益:94億円(前年比▲26.3%)
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当期純利益:78億円(前年比▲19.9%)
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1株利益(EPS):149.67円
特に、EV向け電池材料で需要が鈍化。
さらに業務用包装材の販売終了も影響しました。
ここまで見ると、「なんだイマイチか…」と思うかもしれません。
でも、株主への強い意思表示がここから始まります。
注目は還元方針の変更
足元の業績は芳しくないクレハですが、注目は株主還元です。
DOEを導入。配当は2.5倍に。
クレハは新たにDOE(株主資本配当率)5%を目安に配当を決定する方針を導入。
これにより、2025年度の年間配当は従来比2.5倍に跳ね上がる見通しです。
例えるなら、お小遣いがいきなり2.5倍に増えた上に、テストの点が悪くても減らさない超甘口ママみたいな還元方針です(謎)。
さらに…150億円の自社株買いも!
驚きはそれだけにとどまりません。
クレハはなんと、発行済み株式の11.2%に相当する最大150億円の自社株買いを発表。
配当だけでも“大トロ”級のごちそうなのに、そこに“サーロインステーキ”がついてくるような贅沢さです(謎)。
なぜここまでやる? 背景にあるのは「資本効率の改善」
ここまで株主還元を強化する理由、それは資本効率(ROEやPBR)の低迷へのテコ入れです。
一般に化学メーカーは大型プラントを多く抱えているため、PBR(株価純資産倍率)が低くなりがち。
分母となる純資産が大きく、効率が悪く見えてしまうんですね。
クレハもPBRや株価の低迷に悩んでおり、今回の積極的な株主還元でPBR改善を図ったとみられます。
ただし、永続するとは限らない
ひとつ注意点も。今回導入されたDOE5%という方針は2026年度までの措置です。
2027年度以降は業績や経済状況に応じて減配の可能性もあります。
もし今後もDOE5%以上を維持するなら、本業の稼ぐ力=ROEも最低5%以上を確保する必要があります。つまり還元が維持されるか否かは、*本業の底力が焦点**となります。
おわりに
還元強化は株主にとっては嬉しいニュースですが、「一時的なお祭り」にならないよう、クレハの収益性や成長戦略も見極める必要があります。
株式市場の要請に応えられるか、クレハの今後に注目が集まります。
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