日曜日, 5月 18, 2025
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一人の食事も誰かとの食事もストレス度はほぼ同じ? 現代日本の食卓事情 |


一人で食べる「ひとりごはん」と、家族や友人と囲む「ひととの食事」。現代の日本では、どちらの食事スタイルがよりストレスを感じるのだろうか。

博報堂生活総合研究所が20~69歳の男女1,500人を対象に実施した「食に関する生活者調査」の結果は、この問いに対して興味深い示唆を与えている。

一見気楽そうに見える「ひとりごはん」にも、意外な側面があるようだ。

「ひとり」と「ひとと」の境界線
食事のストレスと気分のオノマトペ

調査結果によると、「ひとりの食事」にストレスを感じると答えた人は48.5%、「ひととの食事」にストレスを感じると答えた人は51.5%と、両者の間に大きな差は見られなかった。

これは、それぞれの食事スタイルが持つメリットとデメリットが、生活者にとってほぼ同程度の重みを持っていることを示唆しているのかもしれない。

© 株式会社博報堂

「ひとりの食事」への否定的な意見としては、「食卓はコミュニケーションの場だから」といった声が挙がる一方、「ひととの食事」への否定的な意見では、「個人の生活リズムのズレがあるから」といった、現代社会ならではの課題を反映する声が聞かれた。

誰かと共に食事をすることの良さを認めつつも、個人のペースや都合を優先したいという思いが透けて見える。

食事の際の気分をオノマトペで表現してもらったところ、「ひとりの食事」では“のびのび”がトップに。誰に気兼ねすることなく、自分のペースで食事を楽しめる解放感がそこにはあるのだろう。

一方、「家族との食事」では“ほっこり”、「友だちとの食事」では“わくわく”がそれぞれ1位となり、誰と食べるかによって得られる心の充足感が異なることが明らかになった。

© 株式会社博報堂

また、食べる料理の内容にも違いが見られた。「ひとりの食事」では、おにぎりやパン、ラーメンといった「主“食”メイン料理」が上位を占める。

手軽に済ませたい、あるいは自分の好きなものを自由に選びたいという心理が働くのかもしれない。対照的に、「ひととの食事」では、寿司や焼肉、すき焼きといった、魚や肉が中心の「主“菜”メイン料理」が好まれる傾向にあった。これは、特別な機会や、皆でシェアして楽しむといった食事のあり方が反映されていると考えられる。

© 株式会社博報堂

「調理定年」への意識変化と食のデジタル化への戸惑い

今回の調査では、「調理定年」という概念についても尋ねている。

「調理定年」とは、評論家の樋口恵子氏が提唱した言葉で、毎日手料理を作ることに固執せず、外食やテイクアウト、市販の食品などを積極的に活用して食事をとることを指す。

これに対して、賛成派は66.1%と、反対派の33.9%を大きく上回り、約2倍となった。さらに注目すべきは、前年同月に実施された調査と比較して、賛成派が8.3ポイントも増加している点だ。これは、家事負担の軽減やライフスタイルの多様化を背景に、食事の準備に対する考え方が変化しつつあることを示している。

食生活のデジタル化に伴うストレスについても調査が行われた。飲食店での注文方法に関して、「店員さんを呼んで注文する」アナログな方法にストレスを感じる人が38.4%だったのに対し、「タブレットやスマホを使って注文する」デジタルな方法にストレスを感じる人は61.6%と、後者の方が高い結果となった。

テクノロジーの進化は利便性をもたらす一方で、操作に慣れていない人や、直接的なコミュニケーションを好む人にとっては、かえってストレスの原因となる場合があることを示唆している。

博報堂生活総合研究所の上級研究員、夏山明美氏は、今回の調査結果を総括し、「ひとり暮らし世帯の増加やひとり志向の高まりなどを背景に、『ひとりごはん』は注目されているが、その価値観や気分といった意識までは分からなかった」と述べている。

そして、「『ひとりの食事』にもそれなりのストレスは感じていることや、『ひととの食事』で“ほっこり”“わくわく”といった気分を感じていること、『ひとりの食事』と『ひととの食事』では食べることが多い料理の傾向が異なることなどがわかった」と分析する。

現代社会は、あらゆる行動や価値観が多様化している。夏山氏は、「『どっちか』に固執するより、『どっちも』を許容して行き来することが生活者にとって心地よい食事スタイル、さらには食生活・暮らし全般のスタイルになってきているのかもしれない」と結んでいる。

この調査は、首都40km圏、名古屋40km圏、阪神30km圏の20~69歳の男女1,500人を対象に、2025年3月3日から5日にかけてインターネットで実施された(企画分析:博報堂生活総合研究所、実施集計:QO株式会社)。

「ひとりごはん」と「ひととの食事」、どちらが良い悪いではなく、それぞれの良さを理解し、状況や気分に応じて柔軟に選択していくことが、現代の豊かな食生活の鍵となるのかもしれない。

Top image: © visualspace/iStock





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🧠 編集部の感想:
この調査結果は、現代の食事スタイルの多様性を反映していて興味深いです。「ひとりごはん」と「ひととの食事」では、ストレスを感じる度合いがほぼ同じというのは意外でした。個人のライフスタイルに応じて柔軟に楽しむことが、豊かな食生活につながるという考え方が大切ですね。

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