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(2025年4月25日 13:05 GMT +09:00 時点 - 詳細はこちら価格および発送可能時期は表示された日付/時刻の時点のものであり、変更される場合があります。本商品の購入においては、購入の時点で当該の Amazon サイトに表示されている価格および発送可能時期の情報が適用されます。)
「AV1」はNetflix、YouTube、Googleなどの大手テック企業が推進する動画圧縮コーデックで、従来のHEVC(H.265)やVP9と比べて約30%の効率向上が期待され、ロイヤリティフリーであることから注目を集めました。しかし、記事作成時点だとAV1は業界全体に広く普及しているとはいえず、その理由をテクノロジー系ニュースサイトのThe Vergeが解説しています。
AV1 could improve streaming, so why isn’t everyone using it? | The Verge
https://www.theverge.com/tech/635020/av1-streaming-netflix-youtube-google-adoption
AV1は、2015年にNetflix、Google、Amazon、Meta、Microsoftなどが設立した「Alliance for Open Media(AOMedia)」によって開発され、2018年に正式リリースされました
GoogleやNetflixが主導するビデオコーデック「AV1」が正式リリース、4Kストリーミングの普及に期待 – GIGAZINE
AV1は、HEVCやVP9と比較して圧縮効率が約30%向上しており、より高品質な映像を低帯域で配信できるため、ストリーミングサービスにとって理想的な技術とされています。また、AV1はロイヤリティフリーで、ライセンス料が必要なAVC(H.264)やHEVCと異なり特許使用料が不要なので、企業が自由に採用しやすいという利点があります。
実際、YouTubeは2018年からAV1の導入を開始し、NetflixやAmazonプライムビデオも2021年にAV1のサポートを追加しました。また、Instagram ReelsやMicrosoft Teamsの画面共有、Discord、TwitchなどでもAV1の導入が進んでいます。さらに、主要なブラウザであるGoogle Chrome、Safari、Microsoft Edge、FirefoxもAV1をサポートしました。
しかし、AV1の普及が進まない理由として、The Vergeは「高い計算負荷」と「エンコードとデコードの複雑さ」を挙げています。AV1は高品質な映像を低ビットレートで実現できる一方で、同等の画質を得るためにはVP9やH.264と比べて数倍の時間がかかることがあり、特にソフトウェアベースのエンコードでは、一般的な用途で使用するには現実的でないほど処理時間が長くなることもあります。また、再生時のデコード処理も負荷が高く、古いPCや低スペックのスマートフォンなどではスムーズな再生が困難な場合があります。実際、AV1をハードウェアで再生可能なGPUやスマートフォンは2020年代以降の比較的新しいモデルに限られています。
ニュージャージー大学電気・コンピューター工学部のラリー・パールスタイン准教授は「AV1で最高の機能を得るには、はるかに複雑なエンコードを行わなければなりません。しかし、同時にデコードも複雑になり、それはユーザー側の負担になります」と語りました。
AOMediaによれば、Netflixではコンテンツの約95%がAV1でエンコードされているのに対し、YouTubeでは約50%にとどまっているそうで、The Vergeは「コンテンツと再生環境の整備が同時に進みにくいことを示している」と指摘しています。フロリダ・アトランティック大学電気工学・コンピューターサイエンス学部のハリ・カルバ教授は「AV1のコンテンツが存在する前に誰がこの技術を構築すべきなのか、あるいはそのコンテンツを再生できる環境が十分にあるのか。結局、ニワトリが先か卵が先かという話になりますよね」とコメントしました。
さらに、AV1とは別に新しいコーデックも登場していることも、AV1の普及が進まない一因といえます。例えば、MPEGとVCEGによって標準化されたVVC(H.266)はHEVCよりも圧縮効率が約50%向上しています。VVCはロイヤリティフリーではないので、AV1よりも導入障壁はかなり高いといえますが、技術的にはAV1よりも圧縮効率が勝っていることから、AV1と十分競合し得る規格となっています。
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加えて、AV1はロイヤリティフリーを掲げた次世代の動画圧縮コーデックとして注目されていますが、その「ロイヤリティフリー」という前提にはいくつかの問題点が存在します。AOMediaは、AV1の利用にライセンス料を必要としないことを大きな利点として強調してきましたが、現実にはAV1に関係する特許を保有する企業や団体がロイヤリティの請求を主張し始めており、その法的安定性には不確実性が残されています。
実際、2025年1月には新たな特許プールが設立され、AV1関連技術に対してライセンス料の徴収を始めると発表しました。これに対し、AOMediaはすでに特許のライセンス条件を整理しており、追加のロイヤリティは発生しないと反論しています。さらに、欧州連合(EU)は2022年に、AOMediaのライセンス方針について独占的な構造が他の技術革新を妨げる可能性があるとして調査を開始しました。この調査は2023年に優先順位の都合で終了していますが、問題が完全に解決したとはいえない状況です。
専門家の間では、動画圧縮技術の分野は「IP Thicket(知的財産の藪)」と呼ばれるほど多数の特許が入り組んでおり、新たな技術であっても意図せず既存の特許に抵触するリスクが常に存在すると指摘されています。AV1も例外ではなく、今後の普及にあたってはこうした法的なリスクが導入企業の障壁となる可能性があります。
こうした不確実性にもかかわらず、AOMediaとその導入企業は、オンラインストリーミングの未来としてAV1を推進し、その後継となる可能性のある技術の開発に取り組んでいます。AOMediaのエグゼクティブディレクターであるピエール=アンソニー・ルミュー氏は「AV1はおそらく永遠に残るでしょう。しかし、私たちのメンバーは次の大きな目標に取り組んでおり、2025年後半には何か発表できると期待しています」とコメントしました。
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