「リスキリング」がトレンドの今、新しいスキルを身につけてキャリアアップを目指したいと考えている人は多い。けれど、せっかくの努力も、履歴書で効果的にアピールできなければ宝の持ち腐れだ。従来の履歴書は、過去の経歴を時系列で並べるフォーマットが主流。これでは、リスキリングで得た最新スキルや、未経験分野への挑戦意欲を伝えるのは難しい。
こうした課題に対し、女性向けキャリアスクール「SHElikes(シーライクス)」を運営するSHE株式会社とキャリアブレイク研究所がタッグを組み、「#逆転履歴書」プロジェクトを始動。スキル至上主義を逆転する一手となりそうだ。
履歴書の呪縛
8割が秘めたる学びを語らず
SHE株式会社によれば、リスキリング経験を履歴書に記載しない人は、約8割にも及ぶそう。副業経験を記載しない人も約7割にものぼる。
記載しない理由として、「内容の書き方がわからない」「評価されるレベルではないと感じる」といった声が挙げられている。せっかく努力してスキルアップしても、履歴書という壁に阻まれて、その成果を伝えられないもどかしさを感じている人がいかに多いかがわかる。
また、既存の履歴書に不満を感じている人は6割以上。特に「職歴」と「資格」欄に苦手意識を持つ人が多いという。時代は変化しているのに、履歴書のフォーマットは変わらない。このギャップを埋める必要性がありそうだ。
未来予想図から逆算する「#逆転履歴書」
「#逆転履歴書」は、この状況を変える可能性を秘めている。この新しい履歴書は、これまでの学歴や職歴といった過去の実績ではなく、未来のキャリアイメージから逆算して作成する。
簡単に言えば、「過去の自分」ではなく「未来の自分」を語るという斬新なアプローチ。これにより、求職者は自分のポテンシャルや成長性、採用担当者は求職者の将来性を見極めやすくなるというメリットがある。学習歴や副業歴の欄には、新たに獲得したスキルや実績を具体的に記載できることで、これまでアピールが難しかった経験や能力も効果的に伝えることが可能になるというわけだ。
ブランク? それ、成長のチャンスです
出産・育児などでキャリアにブランクが生じた場合、履歴書に空白期間ができることを不安に感じる人もいるだろう。同社の調査では、履歴書作成時に空白期間が生じる人は約半数。その理由のトップは「出産・育児」だ。
しかし、視点を変えてみてほしい。ブランクは、決してキャリアの停滞ではない。むしろ、リスキリングを通じて新たなスキルを身につける絶好のチャンスでもある。ブランクを成長の証として捉え、「#逆転履歴書」で堂々とアピールすることで、未来のキャリアを切り開く。
学歴や年齢など、目に見えるデータのみでその人を判断するのではなく、立ち止まる期間にやりがいや大志を見つけ、キャリアチェンジに活かす。そういった目的を叶える意味でも、「#逆転履歴書」が存在する意味は大きい。
未経験? ポテンシャルを見せるチャンスです
未経験の分野に飛び込むことに不安はつきものだが、SHE株式会社によると、女性転職者の8割以上が、未経験転職実践者または希望者だという。いっぽうで、「年齢制限で判断されないか」「若い人が優遇されそう」といった不安の声も聞かれる。
しかし、未経験だからこそ、ポテンシャルをアピールするチャンスと捉えることもできる。「#逆転履歴書」は、まさにそのためのツールではないだろうか。
未来のキャリアイメージを明確にし、リスキリングで培ったスキルを効果的に伝えることで、企業は求職者の秘めた可能性を見出し、求職者は新たなフィールドで活躍する機会を得ることができるのではないだろうか。
「#逆転履歴書」は、単なる履歴書のフォーマット変更ではない。それは、リスキリング時代の新しいキャリア戦略の幕開けを告げるものとも言える。過去の経歴にとらわれず、未来の自分を描き、積極的に行動することで、自分らしいキャリアを創造していく。時代遅れの履歴書よ、さらば。