🧠 あらすじと概要:
映画『エミリア・ペレス』あらすじ
『エミリア・ペレス』は、メキシコシティの弁護士リタが主人公のストーリーで、彼女は有名なメディア関係者の妻の殺人事件の弁護を通じて道徳的葛藤を抱えつつ、麻薬カルテルの大物マニタスから性別適合手術の依頼を受けます。物語の中で、リタはマニタスが手術後に新たな人生を歩む様子や、彼女の過去、家族との絆を描きます。また、彼女は非営利団体を設立し、カルテルの犠牲者を助けるために奮闘する中で、非倫理的な現実に直面します。物語はリタとエミリアの関係を通じて、身体と魂の変化、真実、愛、贖罪をテーマにしています。
記事の要約
この記事では、映画『エミリア・ペレス』についての考察が述べられています。映画がミュージカル形式で進行する中で、主要なテーマとして「身体が変わると魂も変わるか」「人は第二の人生を生きる権利があるか」が探求されています。記事ではリタの内面的葛藤や、エミリアとの関係、二人の生き様が描かれ、エミリアの人生が他者に与える影響に焦点が当てられています。最終的に、エミリアの死がもたらす贖罪のメッセージや、登場人物たちの複雑な感情が強調されています。音楽や映像の演出も効果的に用いられ、作品全体のメッセージを支持する内容となっています。
これだと思います!✝️ エミリアをキリスト教の、マリアや、キリストとするのは難しい。なので、ミュージカルにすることで叙事詩とし、英雄譚としてエミリアを偶像化することで、1人でも多くの人の心を救済しようとしている、と感じました! 叙事詩であるのでパッチワーク的な、重要部分のみが映されるような物語構成となっていたのだと思います。
🎥おおまかなあらすじ①
🎬 メキシコシティの弁護士リタは、有名メディア関係者の妻の殺人事件の弁護で勝訴するが、良心に反する。その後、麻薬カルテルの大物マニタスから性別適合手術の依頼を受け、手術可能な医師を見つける。
🎵「El alegato(弁論)」
🎵「Todo y nada(すべてと無))」
👩⚖️ここで弁護士リタは「心に思ったことではなく、弁護士という仕事として殺人事件の犯人の弁護にあたってしまった」ということに後悔をする。
🥼リタはマニタスの医師から「私は体だけを治せるが、魂は治せない」と言われる。これは、体は変わっても魂までは直らないという物語の展開を示唆している。
🎵「El Encuentro」
🎵「La Vaginoplastia」
🎵「Lady」
🎵「Deseo(願い)」
🎥おおまかなあらすじ②
🎬 マニタスは手術後、家族と共にスイスへ移住し死亡を偽装。4年後、ロンドンでリタと再会し、ジェシーと子供たちと暮らしたいと願う。エミリアはジェシーの親戚として子供たちとともにまた共同生活をはじめる。
🎵「Por casualidad(偶然)」
🎵「Bienvenida(歓迎)」
🌙ある晩、息子を寝かしつけるとき、息子はエミリアの匂いを覚えていると言う。
🎵「Papá(パパ)」
🪐 パパの匂い、お酒の匂い、車の匂い… この歌詞から息子たちは、父親と同じ時間を過ごしていたということが分かります。おばさんの香水の匂いは嫌い、おばさんの匂いは好き… ここからも、ありのままの姿が良いということが伝わってきます。
息子にとっては父親であるエミリアが最も「ありのまま」であるが、エミリアにとっては女性であるエミリアが「ありのまま」という現実を訴えてます。めちゃめちゃ良いシーンです😭
星の光の輝きが涙に見える
💫 室内プラネタリウムは星になってしまった父親を想う子供の気持ちを表しており、いつでも夜寝るとき想っているという意味だと感じました。
それをエミリアは目の当たりにし、プラネタリウムの星が、涙を流しているように演出されます。
さすがにこれには号泣しました😭
🎥おおまかなあらすじ③
エミリアは、刑務所にいる元仲間の協力を得て、カルテルによる犠牲者の遺体を特定し、家族の元に返すための非営利団体を設立する。リタとエミリアはその団体を拡大し、資金集めのために活動するが、リタは一部の支援者が危険で腐敗した人物であることに気づく。
🎵「Para(〜のために)」
🎵「El mal(悪)」
表は良いことをしているように見えても、裏では汚いことをしている。その罪をあばくという歌。心の中は真っ黒だというメッセージが伝わってきます。
エミリアはその逆で、表は真っ黒であったが、心の中はそうではない。リタはエミリアの性転換前、子供と無邪気に遊ぶ姿も見ていることからも、エミリアを心から支えたいと思っていることが分かります。
🎥おおまかなあらすじ④
団体により、夫の遺体が特定された女性エピファニアは、エミリアと面会し、夫の死を確認する。その後、二人は恋愛関係になる。一方、ジェシーはグスタボとの関係を再燃させる。
🎵「El amor(愛)」
🎵「Mi camino(私の道)」
ジェシーはエミリアを愛していたが、カルテルのボスと結婚するということは負担も多く、一時的でも自分を強く愛したグスタボに惹かれることもあった。
間違いを起こしてしまった、そんなときでも「私の道」なんだから自分をまた愛そう。自己否定せず自分らしく生きよう、というこの作品のテーマに沿った歌です!
🎥おおまかなあらすじ⑤
ジェシーはエミリアに、彼と結婚し家族で新居に引っ越す予定だと伝える。エミリアが子どもたちを「私の子」と呼び、暴力的になったことで、ジェシーは子どもたちを連れて逃げ出す。エミリアがジェシーへの生活費支援を打ち切り、グスタボにメキシコを離れるよう脅すと、ジェシーとグスタボはエミリアを誘拐し、リタに身代金を要求する。リタの元にエミリアの切断された指が入った小包が届く。
🎵「EL Trio(三人)」
🎥おおまかなあらすじ⑥
指定された場所に向かったリタは、雇った警備チームと共に交渉に臨むが銃撃戦に発展する。最終的にエミリアはジェシーに自らの正体を明かし、二人が出会った時や結婚式の日の詳細を語る。
🎵「Perdóname(許して)」
3,000万ドルの要求に対して「言うとおりにして」と言ったのは、ジェシーに対しての償いであったと思います。車のトランクに入れられたエミリアの顔は償いの顔に見えました。
🎥おおまかなあらすじ⑦
混乱するジェシーとグスタボは、エミリアを車のトランクに乗せて立ち去る。ジェシーは徐々に状況を理解し、罪悪感に苛まれてグスタボに車を止めるよう命じ銃で彼を脅す。もみ合いの末、車は道路を外れ、事故でグスタボ、ジェシー、エミリアの3人は命を落とす。
エミリアの死に打ちのめされたリタは、ジェシーの子どもたちに真実を伝え、後見人として名乗りを上げる。エピファニアは街頭を行進しながら、エミリアの功績を讃える歌を歌い、彼女の真実と自由への戦いを称える。
🎵「Las damas que pasan(通り過ぎる淑女たち)」
死して裏の顔(信仰対象とは真逆のもの)は永遠に封印され、偶像としてエミリアが誕生した。結果としてこれからも信者たちが多くの人を救済していく。
🙅♂️ このラストでは、カルテルの被害者が、知らず知らずのうちに加害者である カルテルのボス(エミリア) を信仰しているような構図となる。しかし、エミリアは信仰されたいとは思っていない。そして、人は第二の人生を歩む権利があり、それを否定することは誰にもできない、という強いメッセージを感じました!
人は何度だってやり直せる。
とても良いラストだと思います!
♻️冒頭とラストに流れる廃品回収の曲の意味について
メキシコなどでは、「古い鉄買い取ります!」 という回収業者のスピーカー音声が有名で、都市の風物詩のようになっているそうです。
🎵「Fierro Viejo / La Ciudad(都市の廃品回収)」
「なんでも買い取ります。冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ…」
冒頭のこの曲は、ここは貧民街であるという意味に聞こえますが、スタッフロール時は、LGDPQ、家族を失った人、どんな人も救済しますという意味として聞こえますね!
映画の始まりと終わりで意味解釈が変わるのは、とても良いですよね!
🎵スタッフロール「El Alegato」
スタッフロールでは「El Alegato」がもう一度かかります。「暴力について話す時、男たちを許し、女たちを愛そう」
これは、マニタスは暴力・争いの中心人物、エミリアは暴力により大切な人を失った人を救済したという意味に聞こえます!
これもラストにふさわしい選曲で、意味解釈がかわるのでとても良いです!!
👩⚖️ 最後に、リタについて
リタはこれからもエミリアの弁護士として生きていく。エミリアの死後も、エミリアの真実が明るみに出ないように嘘を守り続けていくでしょう。エミリアはエミリアの人生を生きて、エミリアなりのけじめをつけました。その生き方に自分の人生をも捧げて、報われなかったエミリアの子供たちを守り、彼女を弁護し続けていく。それが弁護士という仕事なのです。
心に思っていたことと、弁護士という仕事が一致したラストであったと感じました!
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