デベロッパーのStarbreeze Studiosは5月7日、『PAYDAY 3』についてパブリッシングを担当するPLAIONから、パブリッシングの権利を買い取る契約を締結したと発表した。これにより、今後『PAYDAY 3』はStarbreeze Studiosによるセルフパブリッシングがおこなわれる格好だ。
『PAYDAY 3』は、オンライン4人協力プレイ対応のクライムFPS『PAYDAY』シリーズの最新作だ。開発はStarbreeze Studiosが手がけている。アメリカ・ワシントンDCを舞台とした前作『PAYDAY 2』から数年後、犯罪集団Payday Gangはニューヨークにて新たな強盗計画に挑む。

本作のパブリッシングを手がけていたPLAIONはオーストリアとドイツに主な拠点を置くエンターテインメント企業だ。1994年に設立されたKoch Mediaを前身としている。Koch Mediaはゲーム出版部門としてDeep SilverやPrime Matterなどを設立。2018年にはスウェーデンのゲーム会社THQ Nordic(現Embracer Group)に買収され、同社の傘下となっていた。そして2022年にはKoch Media をPLAIONとしてブランド名を変更している(関連記事)。同社はWarhorse Studios やFlying Wild Hog といったデベロッパーも抱えており、『キングダムカム・デリバランス II』や『Nobody Wants to Die』などもパブリッシングしている。
『PAYDAY 3』については、PLAIONが当初パブリッシングを手がけていた。ところが今回のStarbreeze Studiosの発表によれば、PLAIONとの協議の結果、同スタジオがパブリッシング権を買い取ることになったとのこと。この決定にともなってEmbracer Groupの第三者割当増資により約3300万スウェーデン・クローナ(約4億9000万円)に相当する、1億4700万程度のクラスB株式を発行するという。権利買収にかかる金額を株式発行で賄うかたちだ。

Starbreeze Studiosは今になって権利買収をおこなう背景について、『PAYDAY 3』が2023年9月のリリースから18か月以上経過しており、セルフパブリッシングの責任を負うには絶好の時期であると述べている。またStarbreeze Studiosが『PAYDAY 3』のコンテンツ開発のロードマップを加速することができるとし、『PAYDAY』シリーズのビジネスチャンスも広げられるとの見解を示した。同作リリースから時期が空き、運営状況も安定してきたタイミングでセルフパブリッシングに移行することにより、IPの展開におけるフットワークを軽くしたい意図と思われる。
なおStarbreeze StudiosはこれによってPLAIONとの関係を打ち切るわけではなく、『PAYDAY』フランチャイズにおける長期的なパートナーシップの基礎を築くものでもあると明言している。新作やそのほか何らかのかたちで、今後もPLAIONが『PAYDAY』シリーズに関わることにはなりそうだ。
『PAYDAY 3』は発売当初マッチングエラーの多発、そして追加・変更されたシステムについての問題点を指摘する声が多く、評価・プレイヤー人口含め苦戦していた。とはいえポーズ機能やメニュー機能の刷新といったQoL改善を含め、度重なるアップデートにより改善が進められ、現在では評価も少しずつながら持ち直している。今回のStarbreeze Studiosによるセルフパブリッシング実現には、『PAYDAY 3』へ向けてのさらなる改善やコンテンツアップデートを軽いフットワークで展開する狙いもあるようで、今後の動向は注目されるところだろう。
『PAYDAY 3』は、PC(Steam/Epic Gamesストア/Microsoft Store)/PS5/Xbox Series X|S向けに発売中。
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