
ホンハイが日本で初のEV説明会
元日産の関氏は何を語った?
台湾・鴻海精密工業(ホンハイ)グループの関潤CSO(最高戦略責任者)は、4月9日に都内ホテルで「鴻海EV戦略説明会」を行った。ホンハイは米アップルのiPhone(アイフォン)の受託製造で知られる電子機器受託製造企業(EMS)世界大手であり、2022年からEV事業に進出している。
今回、ホンハイが日本で初めて正式なEV戦略を明らかにすることに加え、ホンダと日産の統合検討の動きにホンハイが水面下で絡んだとの情報が駆け巡ったこともあって、関係者から非常に多くの注目を集めた。ホテルの会場は当初150人の来場者を予定していたが、参加希望者が多く急遽席数を拡大し、総来場者が330人(うちメディアは105人)と会場は満杯となった。
関氏は、元日産自動車のプロパーで、19年12月の社長交代の際に実は“本命”候補とされていた。結果的に「副COO(最高執行責任者)」という、内田誠社長兼CEO(最高経営責任者)、アシュワニ・グプタCOOに次ぐナンバー3の座にとどまったことで、当時の日本電産(現ニデック)の永守重信社長から後継社長含みの誘いがあり、副COO就任から1カ月足らずで日産を辞した。
その後、21年には、日本電産社長となったものの永守流の厳しさの下で「高地トレーニングをされて」(関氏)、22年に退任。23年2月にホンハイのEV事業CSOに招かれて就任するという、異色のキャリアを持つ。
説明会の冒頭、「ホンダ・日産統合検討の裏にホンハイが絡んでおり、ホンハイが“ダース・ベイダー”だと見られたのは濡れ衣です」と、自ら機微に触れ笑いを誘うなど、余裕を見せた関氏。今回の鴻海EV戦略説明会では一体、何を語ったのか。
関氏が熱弁したのが、ホンハイEV事業の真意と日本自動車メーカー(OEM)との連携・協業への期待だった。