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概要
この記事は、ホンダの車載アプリとスマートフォンアプリにおけるユーザー同意の設計に関する問題点を指摘しています。ホンダは、ユーザーが十分に自覚しないまま個人データに同意するよう誘導され、オプトアウトやデータ制限のリクエストが煩雑で難しいことが問題視されています。特に、拒否する際の手続きが複雑化されていることや、同意の構造が一方的で不透明である点がダークパターンとされる所以です。
要約
- 問題提起: ホンダのアプリでユーザーが無自覚に同意を押す誘導があった。
- データ収集: カリフォルニア州の調査により、不要な入力を強要し、オプトアウトが困難。
- UIの不対称: 「すべて許可」が簡単で、「拒否」が複雑。
- 自律性の欠如: ユーザーの選択肢が少なく、プライバシーが侵害される設計。
- 意図のごまかし: 信頼がある場面での情報遮断は「技術の裏切り」。
- 問いかけ:
- 未来感を優先する設計が説明責任を後回しにする理由。
- 洗練されたUIが「断る自由」を奪っているのではないか。
- 信頼構築に対する「めんどうくさがり」に依存した設計への疑問。
- 結論: デザインはユーザーを欺く手段ではなく、信頼を形にする手段であるべき。
こんにちは。ダークパターン適正化推進協会です。
今回取り上げるのは、日本ではまだ大きく報じられていないものの、海外ではプライバシーとUX設計の問題として注目を集めているホンダ関連のニュースです。
発端となったのは、ホンダの車載アプリおよび連携スマートフォンアプリにおいて、ユーザーが十分に自覚しないまま同意ボタンを押してしまうよう誘導され、その結果として個人データが大量に収集・送信されていたという疑惑です。
実際にカリフォルニア州プライバシー保護局(CPPA)の調査によれば、ホンダはユーザーのオプトアウト(拒否)やデータ制限リクエストに対して、本来不要な8項目以上の入力を強要し、申請を煩雑化させていました。
また、クッキー管理画面では「すべて許可」はワンクリックなのに対し、「拒否」は複数ステップが必要であり、対称性のないUI設計(非対称アーキテクチャ)が問題視されています。
中でも問題視されたのは、同意の導線が一方的かつ不透明で、「拒否」や「設定変更」が極めて困難なUX構造になっていた点です。
実際の画像
参照元 AMERICAN HONDA MOTOR CO., INC. – CASE NO. ENF23-V-HO-2
このUXに何が起きていたのか?
詳しくは以下のレポートをご覧ください。
この記事では、この2つのレポートを受けて、私たちの見解を共有させていただきます。
「このUX、かっこいい。でも、安心できない」
洗練された車載インターフェース。統一感のあるアプリ設計。先進性と使いやすさが両立されたUI。
──それでも、私はこの事案を「未来的UX」として賞賛することはできません。
なぜなら、ユーザーの“自律性”が剥奪されていたからです。
同意ボタンが“あたりまえ”に強調され、「拒否」や「詳細」は小さな文字、あるいは別画面。
プライバシー設定の変更が困難で、“初期設定”のままなら大量のデータが送信される。
一見ナッジのように見えても、それが「ユーザーの利益のため」ではなく「企業の都合のため」だったなら、それは立派なダークパターンです。
ナッジとダークパターンの違いについては下記で書いています。
ダークパターンの本質は、「意図のごまかし」
ホンダのような大企業であればあるほど、その影響力は大きく、ユーザーは設計を“信じる”傾向があります。
しかしその信頼が、「情報を見せない設計」「選ばせないUI」になったとき、そこにあるのはテクノロジーの裏切りです。
“データを活用して、より良い体験を届けたい”──その思い自体は理解できます。
でも、だったらその意図を、きちんと説明し、選択肢を提示し、尊重する設計にすべきです。
見えない場所で“同意”を既成事実化するのは、「ナッジ」ではありません。
それは誤認誘導と情報遮断を組み合わせたダークパターンです。
この出来事が投げかけた問い
-
なぜ“未来感”を優先した設計は、基本的な説明責任を後回しにしてしまうのか?
-
UIが洗練されるほど、「断る自由」が奪われていないか?
-
ユーザーの“めんどうくさがり”に依存した設計は、本当に信頼を築けるのか?
これらは、今回のUX設計だけに向けた問いではありません。わたしたちすべてのプロダクトデザイナーに突きつけられたものです。
最後に
私たちが問題にしたいのは、ユーザーを意図的に欺くようなデザインです。
しかしそれ以上に深刻なのは、企業が自らの都合を優先しながらも、それをはっきりとユーザーに説明しない設計です。
ホンダのUXが、将来のスタンダードとして受け入れられるのであれば、それはユーザーに対して情報を正しく開示し、選択肢を明確に示す設計でなければなりません。
デザインは、ユーザーをだますための手段ではなく、信頼を形にするための手段であるべきです。
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darkpatterns.jp 運営チームより
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