プリンスと日産が合併した激動の時代を走り抜けた「スカイライン2000GT-B」は、今なお多くのファンを魅了し続けています。なかでも「奈5」ナンバーを掲げたこの個体は、当時の姿を色濃く残したまま、現代にその存在感を放っています。Nostalgic 2days(ノスタルジック2デイズ)の会場で発見した貴重な個体を詳しく見ていきます。
「奈5」ナンバーを掲げたスカイライン2000GT-B
2025年2月22日〜23日に神奈川県・パシフィコ横浜で開催されたNostalgic 2days(ノスタルジック2デイズ:以下N2d)で発見したのが、プリンス「S54B型スカイライン2000GT-B」だ。現在でも人気のあるC10型、いわゆるハコスカの1世代前のモデルで、プリンスが日産と合併する激動の時代から生き残った貴重な1台である。
しかもライセンスプレートには「奈5」という、新車当時か、あるいは新車からそう遠くない時代に払い出されたものが、いまもそのまま備わっている。出展していたAUTO ADVISER STUFF(オートアドバイザースタッフ)の方に話を伺った。
「このクルマは1968年式で、いわゆるIII型というモデルになります。1966年にプリンス自動車が日産と合併した後に生産されたクルマなので、コーションプレートが“日産自動車”となっているのが特徴です。同年8月にはC10型へとモデルチェンジされてしまうので、S54B型としては最終に近いモデルと言えるでしょう」
レースに勝つために6気筒エンジンを搭載した
当初は4気筒1.5Lエンジンを搭載していたスカイラインに、当時プリンスが販売していた上級車種「グロリア スーパー6」用の直列6気筒2Lエンジンを搭載。レースに参戦するためのホモロゲーション取得のために100台が製造されたのが「スカイラインGT」である。
いわゆるスカGの原点となったモデルである。6気筒エンジンを搭載するため、Aピラーから前(バルクヘッド前方)を一度切断したうえで、エンジンルームを200mm延長しているのが特徴だ(結果的にホイールベースも200mm長くなった)。
いまでは考えられないような急ごしらえのレースマシンで、第2回日本グランプリにエントリーしたスカイラインGTは、強敵とされたポルシェ「904」をたった1周ながらも抜き去り、グランドスタンド前をトップで通過。観客を熱狂させた。これが、のちに続くスカイライン伝説のスタートとなったのだ。
歴史を感じさせるディテールが残る、フルレストア車とは異なる魅力が満載
展示されていたクルマは20年前に再塗装を受けているものの、それ以降はレストアを受けることなく大切に保管されていたことが記録から明らかになっている。N2dの会場にはフルレストアされたピカピカのクルマが数多く並ぶなか、20年間も手を加えられていないにもかかわらず、まったく見劣りしない非常に状態の良い個体であることにも驚かされた。
また、フロントフェンダーには純正ではなく懐かしいGTナポレオンミラーが装着され、ワタナベ製8スポークホイールや社外品のプラグコード、自動車整備協会のステッカーなども当時のまま残されている。このクルマのヒストリーをリセットすることなく、丁寧に維持されている点も真の旧車好きにはたまらないポイントといえるだろう。
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