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概要
この記事では、ブランドを持続的に選ばれ続けるための戦略として、「思想」に加え「構造と言語」が重要であると紹介しています。著者は、ブランドの設計において定量的アプローチを重視し、企業が内部で統一された理解を持つことの重要性を強調しています。
要約の箇条書き
- ブランドには「世界観」や「物語」が重要だが、それだけでは不十分。
- ブランドを動かすためには、構造化と定量性に基づく戦略が必要。
- Valeur.incで、選ばれ続けるブランドの支援を行っている。
- 美意識のあるブランドでも、構造が必要であることを学んだ。
- 数字による管理が「戦略意思の裏づけ」となる。
- ブランディングは表現磨きだけではなく、明確な戦略と定量的説明が求められる。
- ブランドの構造設計から出発し、意思決定を促進する。
- 再現性の高い価値を持つブランドを構築することが重要。
- 継続的な価値を持つためには、構造と言語の精度が必須。
ブランドには「世界観」や「物語(ストーリー)」が必要だと言われる。
それは間違いではない。けれど私は、それだけでは不十分であり、ブランドは動かないと考えている。
動かすには、「構造化と定量性に裏打ちされた“戦略の言語化」が必要だ。
Valeur.incという屋号で、私は今、ブランドの「構造化」と「定量性」の設計を通じて、
“選ばれるブランド”ではなく、“選ばれ続けるブランド”の支援に取り組んでいる。
■ 美意識と定量のはざまで学んだこと
私のキャリアの原点は、すでに別の記事でも記載したが、ラグジュアリーファッションの「ヨウジヤマモト」だった。
美意識と思想に根ざした服作り。ただの流行ではなく、「なぜ存在するのか」を服で語るような哲学を持つ、唯一無二のブランドだった。
けれど私は、その中で「思想を守るには、構造を持たなければならない」ことを学んだ。
現場では、美しい言葉よりも、数字と現実が求められた。
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事業PLと店舗別の予実管理
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店舗別のCVR(Conversion Rate:接客転換率)とURO(Unit per Receipt:1会計あたりの購買点数)
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チャネル別CPA差分とリテンション貢献率
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在庫消化率/マークダウン比率とMD別の粗利構造(原価率)
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SNSのエンゲージメント率と店舗来店のアトリビューション分析
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各チャネルごとのCPO(Cost Per Order)/LTV(顧客生涯価値)比率と中長期ポートフォリオ設計
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年間広販費のROAS/ROI評価と予算配分設計 など
こうした数字を、単なる「実績」ではなく、「戦略意思の裏づけ」として扱うこと。
思想を持続可能にするためには、“測定可能な構造”が必要だった。
その経験は、後のブランド立ち上げやコンサルティングの現場で、確実に武器になっている。
■ 言語化とは、数字と構造をロジカルに整理できること
「ブランディングを強化したい」という相談を受けることがある。
けれど、私にとってのブランディングは、単なる表現磨きではない。
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誰に向けて
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どの市場から
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どの接点で
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どう差別化し
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何に投資して
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どのように利益を生むか
これを「誰もが理解できる言語で、かつ定量的に説明できること」が、私の定義する「言語化」だ。
ブランドは、言葉だけでは動かない。
数字で語れる構造を持ったとき、初めて動き出す。
言語化とは、感性だけでなく、戦略の再現性を担保するためのロジック設計でもある。
■ 現場を動かすのは、構造化と言語化の精度
Valeur.incでは、クライアントブランドの“構造設計”から着手する。
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売上のソースはどこか(SOB)
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顧客ファネルと滞留ポイント
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チャネルごとのKPIと貢献率
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社内体制との連動と意思決定スピード、など
構造と言語がなければ、社内共有は進まず、メンバー間の解像度もバラついてしまう。
逆に、それらが整えば「何をやるか/やらないか」の判断が明確になり、組織が動ける状態が生まれる。
ブランドが動き出すには、構造と言語の“精度”こそが肝になる。
■“選ばれる理由”ではなく、“選ばれ続けるベネフィット”をつくる
バズるブランドや一過性のヒットは、設計がなくても成立する。だが、再現性が低く、継続的な価値にはなりにくい。
市場の資本の原理も影響する。
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