かつて、アルコールがマストアイテムだった音楽フェスシーンに、異変が起きているらしい。
「Newsweek」が紹介したところによると、フェスに集うアメリカの若者たちの手には、ビールでも、カクテルでもカラフルなドリンクでもなく、「機能性キノコ」だそう(もちろん合法のもの)。これが、フェス会場での新しいトレンドとして注目を集めているという。一体どういうこと?
アルコールはもう卒業
Z世代が「キノコ」を選ぶ理由
従来のフェスといえば、アルコールやドラッグといった刺激物がつきものというイメージもあった。しかし、Z世代はそうした強い刺激ではなく、より穏やかで、かつ健康的な楽しみ方を探していると、Newsweekは報じる。
そこで、アルコールの代替として注目されているのが機能性キノコ。もちろん、幻覚作用のあるマジックマッシュルームなどとは異なり、こちらは健康効果が期待できるシロモノらしい。
たとえば、以下のような種類が紹介されている。
- Lion’s Mane:集中力と記憶力の向上に関連
- Reishi:鎮静効果で知られる
- Chaga:免疫サポートとして評価
- Cordyceps:エネルギーと持久力向上との関連性
これらの機能性キノコは、お茶やコーヒー、グミ、エディブルなど、さまざまな形で摂取可能らしく、フェスで仲間とシェアすれば、盛り上がること間違いなし!というわけだ。
急成長する機能性キノコ市場
その背景にある社会変化
機能性キノコ市場は、「Zion Market Research」によると、2022年に153億ドル規模となり、2030年には233億ドルを超えると予測されている。その急速な成長は、Z世代の健康志向の高まりと密接に関係していると考えられなくもない。
ミシガン大学の2024年12月の調査では、薬物を断つ学生の割合が過去最高を記録。また、同年の7月の調査では、アメリカの合法飲酒年齢のZ世代の64%が、過去6ヵ月間アルコールを摂取していないと回答したと同誌は伝える。
ウェルネス市場の進化と多様化
大麻飲料もアツい
機能性キノコと並んで注目されているのが大麻飲料市場だ。「Fortune Business Insights」によると、大麻飲料の世界市場は2023年に24億ドル規模で、2032年には1170億5000万ドルに成長すると予測。
「成人向け飲料代替品連合(Coalition for Adult Beverage Alternatives)」のDiana Eberlein氏は、Newsweekに対し、「私たちは機能性飲料の新たな波の最前線にいる」と言及。Eberlein氏は、これらの新しい飲料には「意図的で的を絞った使用事例のために設計された様々なカンナビノイドが組み込まれるだろう」と述べている。
いっぽうで、「THCやその他のカンナビノイドは、まだ主流の消費者に紹介されている段階であるため、これは大麻飲料カテゴリーの進化の始まりにすぎない」とも指摘。新たな可能性を秘めてはいるものの、安全性や法規制の整備など、解決すべき課題は山積だ。
日本のフェスシーンにもやってくる……?
機能性飲料はもはやトレンドではなく、日常の一部となりつつある。機能性キノコも、まさにこの流れを加速させる存在と言えそうだ。将来的には、日本のフェスシーンにも「機能性キノコ」の流れはやってくるのか?そこにも注目していきたい。