ハドソンのファミコン用ソフト「チャンピオンシップロードランナー」が、本日2025年4月17日で発売40周年を迎えた。

 本作は、主人公のランナーを操作して、ステージ内ある金塊をすべて回収して脱出すればクリアとなるアクションパズルゲームで、1984年に同社が発売した「ロードランナー」の上級者版にあたる。全50面で、1~10面まではステージ選択機能を利用して、任意の面からゲームを始めることが可能。11面以降を(ステージ選択機能を使って)プレイするためには、「シークレット・コード」と呼ばれるパスワードの入力が必須となる(※10面以降のステージをクリアするごとに、次のステージのパスワードが画面に表示される)。

 以下、マニュアルには「世界で一番むずかしい“ロードランナー”といわれている」と書かれていた、本作ならではの難解さと面白さを、筆者のプレイ体験を元に振り返ってみた。

【チャンピオンシップ・ロードランナー プレイ映像】

あまりの難しさに1面から悶絶。未知のハイテクニックの数々にも驚愕

 筆者が本作の存在を最初に知ったのは、マンガ雑誌の広告だったか紹介記事だったか、それともテレビCMだったのか、ハッキリとは覚えていないが「アレッ? また『ロードランナー』が出るの?」と思ったことはおぼろげに記憶している。先述のとおり、同じくハドソンから前年に「ロードランナー」がすでに発売されていたからだ。

 地元のおもちゃ屋で初めた見たパッケージには「警告! 『ロードランナー』未経験者お断り!」と書かれていたので、どうやら相当に難しいらしい。だが、筆者はファミコン版の元祖「ロードランナー」よりも先に、アーケードとPC(MSX版)の「ロードランナー」をすでにプレイしていた経験があったので、本作も問題なく楽しめるだろうとタカをくくっていた。

 だが、その自信は初プレイ時に、1面の段階で早くも木っ端微塵に打ち砕かれた。筆者は本作を買った友人宅で初めてプレイしたが、スタート直後に「あ、もうクリアできない!」と友人にすかさずツッコまれた。そんなバカなと最初は思っていたが、やがて絶対に取ることができない金塊の存在に気付いた。取り逃した金塊を取るためには、空中にいる敵のロボットの頭上を足場にして通り抜けるテクニックが必要だったことを友人から聞かされ、唖然としたことが今なお忘れられない。

 操作方法もルールも前作とまったく同じなのに、最もやさしいであろう1面、しかも最初の場面から、いきなり高度なテクニックを求められるとは……。こちらも記憶が定かではないが、確かテレビCMでもロボットの頭上を駆け抜ける場面が流れていたこともあり「ナルホド、そういうことだったのか!」と、うならされた思い出がある。

1面は開始直後、落下する3体の敵ロボットの頭上に乗り、反対側にあるハシゴにつかまることがクリアの必須条件

ランナーはジャンプできないので、先ほどのハシゴを経由しなければ、最上部にある金塊が取れず手詰まりになってしまう

 結局、プレイ初日は1面もクリアできず、友人からその解き方を教わるよりほかになかった。それでも、本作を攻略するうえで絶対に欠かせないテクニック「時間差掘り(時間差崩し)」の存在を知ったときは大いに感動した。

 本作では、ランナーが掘ったレンガは数秒後に自動で復元するが、複数のレンガを掘る際に復元するまでの時間を意図的にズラし、逃走ルートを確保する「時間差掘り」が1面から必須となる。この掘り方を初めて友人に見せてもらったときは、まさに目からウロコだった。

 ほかにも、途中で一度でも手順を間違えるとクリア不可能になる場面が1面から頻出し、レンガを掘る順番やタイミングを解き明かす思考力と、正確にランナーをコントロールするテクニックの両方が要求される本作は、アーケードやPC版(の序盤のステージ)とは比較にならないほど難しいことが痛いほどよくわかった。

難解極まりない、最終面の構造と攻略記事の衝撃

 その後、待望のファミコン本体を親に買ってもらった筆者は、具体的な日時は忘れてしまったが、友人から本作を借りてしばらくの間やり込む機会に恵まれた。

 まずは1面をクリアしようと、友人に教わった攻略法を真似るところから始めた。最初に遊んだときは、マニュアルをまったく読まずにプレイしたため気付かなかったが、マニュアルには1面の攻略法が書かれていたので、以前に見た友人のプレイも思い出しながら遊んだ結果、ようやく初めてクリアできたと記憶している。

 1面クリアに成功後、今度はステージセレクト機能を利用しつつ、2~10面も片っ端から遊んでみたが、やはりどのステージもなかなかクリアできない。唯一、自力でクリアできたのは「時間差掘り」などのパズル的な要素がなく、ただロボットを追撃をかわすだけですべての金塊が取れる3面だけだった。

 筆者が本作の攻略のコツに開眼する、最初のきっかけとなったのが雑誌の記事だった。「コロコロコミック」だったか「コミックボンボン」だったか、その媒体は忘れてしまったが、記事中には9面でロボットを小部屋に閉じ込めるテクニックが紹介されていた。早速、真似してみたら、今までさんざん苦労していたのがウソみたいに簡単にクリアできた。「ロボットはレンガの中に埋めて倒すだけでなく、閉じ込めることもできるのか!」と、またまた目からウロコが落ちた。

 1、3、9面を制覇しただけでも筆者はすごく嬉しかったが、その後も10面を筆頭に一度もクリアできない面がいくつも残り、本作の難しさを克服することはまったくもってできなかった。

 そして、筆者が本作の攻略のコツを覚える最大のきっかけとなったのが、「週刊少年ジャンプ」(1985年8月19日号)に掲載された袋綴じの記事「ファミコン神拳!!!」だった。

 ある日、友人が購入した「ジャンプ」を読んでいたら、「ゼビウス」の無敵コマンドや「ドアドア」のワープの裏技などに加え、本作の最終ステージである、50面の画面写真と詳細な攻略法が書かれていたので、とてつもない衝撃を受けた。

 生まれて初めて見た50面の全体マップは、まさに複雑怪奇。しばらく写真とにらめっこしたが、いったいどうやってクリアしたらいいのか、まったくもって見当が付かない。しかし、記事中では「二重時間差掘り」だの「頭ごなし空中落下堀り」だの、挙句の果てには身動きできないロボットをわざと解放するなど、数々の高度なテクニックを駆使した攻略法が詳しく解説されていた。「こんなに難しい面を攻略できるだなんて、書いた人はホントにスゴイ!」と、これまた特大の衝撃を受けた。

 しかも、ありがたいことに記事には50面を遊ぶための「シークレット・コード」も掲載されていたので、友人宅へ出掛けた際に早速チャレンジしてみたが、やはりと言うべきなのか、記事を読みながらプレイしてもなかなかうまくいかない。「二重時間差掘り」も「頭ごなし空中落下堀り」も、パターンを覚えるだけでも大変なのに、ほんの少し操作を誤っただけでも即クリア不可能になるのでプレッシャーがハンパなかった。

 その後、友人から再びソフトを借り受けた筆者は何十、何百回とミスを繰り返した末に、やっとこさで「ファミコン神拳!!!」の記事に載っていた攻略パターンをすべて成功させることができた。そして続けざまに、記事中では解説されていなかった最終盤の攻略パターンを自力で編み出し、初めて50面をクリアしたときの感動は今なお忘れることができない。

 50面クリア後、筆者は11面以降の攻略にもチャレンジすることにした。50面を繰り返しプレイした結果、前述のテクニックやロボットを意図的に特定の場所へ誘導する方法など、いろいろな攻略パターンを身に着けたおかげで未知の面もどんどんクリアできるようになった。

 当時のハドソンは、本作の全面クリアに成功したプレイヤーに対し、11~50面までのパスワードをハガキに書いて送ると認定証がプレゼントされるキャンペーンを実施していた。筆者は本作のソフトを持っておらず、たまに友人宅へ遊びに行くか、ソフトを借りてときしか遊べなかったので、残念ながらキャンペーンの期間中に全面クリアすることはできなかった。それでも遊べるときには「1日1面クリア」を大まかな目標として、本作に没頭した日々は本当に楽しかった。

 ここで余談をひとつ。筆者は前述の10面の最初のシーンがずっと苦手で、最後の最後までなかなかクリアできなかった。しかし、マニュアルの「シークレット・コード」を説明したページには10面クリア時の写真が掲載されていたので、写真に出ていた「シークレット・コード」をありがたく利用して、10面よりも先に11面をクリアしたことを今でもよく覚えている(ガキンチョの時分とはいえ、何と卑怯なことか……)。

同じく50面より。ロボットを解放してくぼみに誘導し、最後に逃げ出すための足場を作る

 本作は、2015年にWii Uのバーチャルコンソールで配信されたのを最後に、現在まで移植されていない。難しいが、ついついヤミツキになる面白さがある本作を、いつの日かまたプレイできる環境ができることを希望してやまない。



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