🔸内容:
『MaXXXine』概要
- 原題: MaXXXine
- 製作年: 2024年
- 製作国: アメリカ
- 配給: ハピネットファントム・スタジオ
- 上映時間: 103分
- ジャンル: ホラー、サイコスリラー
- 関連作品:『X エックス』(2022)、『Pearl パール』(2022)
公式サイト: ハピネットファントム・スタジオ
物語のあらすじ
1985年、ハリウッドでポルノから名声を得ようとする女優マキシーン(ミア・ゴス)は、新作ホラー映画『ピューリタンⅡ』のオーディションを受けます。しかし、その時期、ロサンゼルスは連続殺人鬼「ナイト・ストーカー」に脅かされ、マキシーンの周囲で女優仲間が次々に命を落とします。さらに、彼女は6年前の猟奇的な事件のトラウマに苦しむ中、謎の存在が近づいてきます。
感想
シリーズの完結編としての位置づけ
本作はA24制作の三部作の最後の作品であり、単なるスプラッター映画に留まらず、主人公の内面に迫るストーリーが展開されています。過去2作品を理解するためには、しっかりとその内容を把握しておく必要があります。
過去作品について
- 『X エックス』: ポルノ撮影中に老夫婦に襲われるクルーたちの物語。
- 『Pearl パール』: 老婦人の若かりし頃が描かれ、夢を追う彼女が両親を殺害する過程が語られます。
異なる作風
今作はホラー要素が控えめで、サイコスリラー的な心理描写が中心です。1980年代のアメリカ社会情勢を反映した作りになっており、観客に対して社会的な恐怖感を抱かせます。スプラッタージャンルを期待する観客には物足りなく感じるかもしれませんが、登場人物の心理に深く踏み込んだ作品となっています。
マキシーンの葛藤
マキシーンのハリウッドでの成功への執念は圧巻であり、彼女の冷徹さが際立っています。クライマックスでは、自身の関係者を殺してきたのが実の父親だったことが判明し、彼女の信念が試されます。彼女が手に入れた名声の裏には、何を失ったのか考えさせられる展開が待っています。
結論
『MaXXXine』はハリウッド入りの厳しい現実を描いた物語であり、単なる恐怖を超えた人間ドラマが展開されます。過去の作品を観た上での視聴をお勧めしますが、ホラー要素を期待する方には適さないかもしれません。シリアスなテーマに興味がある方には特におすすめの作品です。
🧠 編集部の見解:
この映画『MaXXXine』は、ホラー映画としてだけでなく、深い社会的テーマを内包している点がとても面白いです。特に、夢を叶えたいという強い欲望と、その背後に潜む犠牲の部分に焦点を当てているのが印象的でした。
映画は、ポルノ界からハリウッドに進出しようとするマキシーン(ミア・ゴス)の物語を描いていますが、そこでの転機や恐怖は、彼女の精神的な闘いによって引き起こされます。連続殺人事件「ナイト・ストーカー」の影響を受けた背景設定もしっかりと存在しており、観客は単なるスリルを超えた心理的恐怖を体験します。
一方で、過去作品の『X』と『Pearl』との関連性は、物語をより豊かにし、観客にとっての「予習」が必要不可欠だという点は少しハードルが高いかもしれません。しかし、これを踏まえて観ることで、キャラクターの心理やストーリーの深みがより理解できるのも魅力的です。
豆知識として、80年代のアメリカでは、エンターテイメント界に対する激しい規制や偏見が存在し、特にポルノ崇拝に対抗する動きがあったことが描かれています。この歴史的文脈を知ることで、映画のメッセージがさらに胸に響くかもしれません。
最終的に、マキシーンが失ったものと得たものは彼女自身の自己認識を変えてしまうほどのもので、夢を叶えるためにはとてつもない代償が必要だという厳しい現実を提示しています。映画を観終えた後は、ハリウッドという華やかさだけではない、影の部分にも目を向けたくなりますね。
-
キーワード:マキシーン
Views: 0