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ノスフェラトゥ(1922-1979-2024)bangaro

🧠 あらすじと概要:

あらすじ

『ノスフェラトゥ』(1922年)は、F.W.ムルナウ監督による無声映画で、吸血鬼の恐怖を描いた作品です。ブラム・ストーカーの『ドラキュラ』を基にしたものの、正式な許可を得られなかったため、独自のキャラクターであるノスフェラトゥとして誕生しました。物語は、トランシルヴァニアの吸血鬼がヒロインに迫る様子を描き、ドイツからの船旅を通じて恐怖が広がっていきます。リメイク作品も多く、1979年にはヴェルナー・ヘルツォークによる再解釈が行われました。最新のロバート・エガース監督版では、ヒロインに新しい背景が追加され、物語がより現代的に展開されます。

記事の要約

この記事では、1922年版『ノスフェラトゥ』の特徴と、そのリメイクである1979年版および2024年版との比較が行われています。無声映画ならではの表現技法や、特に影を使った恐怖表現について言及され、独特のスタイルがドイツ表現主義に属することが説明されています。また、物語の移動手段としての船旅や、時代による変化が描かれています。1979年版ではキャラクターの人間味が強調され、特にノスフェラトゥの描写やラストシーンの違いが指摘されています。2024年版のエガース版は、ヒロインに新たな設定が施され、テンポよく進行する点が評価されています。ウィレム・デフォーやリリー=ローズ・デップの演技も注目されています。

ノスフェラトゥ(1922-1979-2024)bangaro

吸血鬼ものである。吸血鬼といえばドラキュラだが、こちらはブラム・ストーカーの原作クレジットを許可されていないことでそもそも生まれたものらしい。それが1922年のF・W・ムルナウ監督の無声映画『吸血鬼ノスフェラトゥ』で、今回はそのリメイクということである。なんで『ドラキュラ』じゃなくてあえてこっちなんだろうね。だって、世の中公式『ドラキュラ』の映画もいっぱい作られている。でもなぜか、『ノスフェラトゥ』も何度かリメイクされていて、有名なのは1979年のヘルツォーク監督の『ノスフェラトゥ』である。そんな訳でノスフェラトゥ派もそこそこいまっせ、ということなんだな。ということで、今回のロバート・エガース監督版が公開されたタイミングで、22年版と79年版も比較のために観てみました。
22年版はパブリックドメインになっているようで、YouTubeなどでも観ることができます(日本語字幕はなし)。

これ、無声映画なので、途中にキャプションが字幕でつくんですが、日本語ないのでつらい…のもだけど、今の映画に慣れた身からすると、色々我慢しなきゃいけないことがあります。例えば、基本的にカメラは固定。なので、徐々に道の向こうからノスフェラトゥが迫ってくるんですが、ロングショットで視点移動がないので、「あーなんか徐々に来てるなー」という感じになります。それと、これもおそらく照明などの問題で、暗い画面が撮れない!真夜中と登場人物が言ってるのに、ま昼のような明るさ。時代のせいだからしょうがないけど、ホラーには困りますよね。でもこの作品、そんなハンディを乗り越える、画期的な恐怖を喚起させる手段を使ってます。それは、「ヒロインに怪物が迫る恐怖を、怪物の影が迫ることで表現する」です。このあたりが、この映画がドイツ表現主義と言われるゆえんですかね。ただこの表現の仕方は、1920年の同じ表現主義の『カリガリ博士』に既にあった気もするけど…

あと、トランシルヴァニアのノスフェラトゥが、ドイツにいるヒロインを襲いに行くのに使うのが船旅です。帆船です。ドイツといってもヴィスマルという町で、ドイツの北の東の端くらいにあります。そこに船で行くとなると、まず黒海に出て、そこから地中海を通って大西洋に抜け、北上してデンマークを迂回してバルト海に入る。まあまあ遠回りです。しかし考えてみれば、当時としては一番早い移動手段だったんでしょうね。あとは馬だし。しかし物語上も、ここは一瞬で済ませてもいいところ、船の中の模様もじっくり尺をとります。なんか超自然の力を使い、一瞬で移動させたくなります。

とまあこんな具合なんですが、リメイクしたい人たちには何か惹かれるものがあるんでしょうね。実際1979年のヘルツォーク版でも、22年版のセリフをそのまま使っているところが多かったり、全体的な流れもほぼ一緒。船旅も一緒。船とともにペストがやってくるのも一緒。なんと、ヴィスマルでノスフェラトゥが取得する屋敷も22年と同じ!

https://youtu.be/LF3ZwXEG45M?si=P0-0BMToLznN5tmf

そんな79年ヘルツォーク版ですが、22年版をただなぞっているだけではありません。まず、ノスフェラトゥであるドラキュラ伯爵(79年版では許諾が得られたらしくオリジナルの名前を使っています)が、ただの怪物というより人間味のある存在として描かれています。それは彼が多弁なこともあるのですが、演じたクラウス・キンスキーの存在が大きいのではないでしょうか。あと、大きく違うのはラストですね。22年の曖昧な終わりに比べ、ノスフェラトゥを殺したヘルシングが逮捕されそうになり、更にヒロイン・ミナ(イザベル・アジャーニ(たいへんおうつくしいです)が、ノスフェラトゥ化。明確なバッドエンドですね。これは時代を感じます。

あとヘルツォーク版で目立つのは、船からあふれ出る大量のネズミですね。実際に野放しになっているように見え、公衆衛生上大丈夫なのか?と思ったのですが、Wikipediaによると、動物虐待の疑いなどで問題になっていたようですね。

さて、そして今回のエガース版ですが、エガース版も22年をなぞる形なんですが、主要人物に新しい設定を加えています。一番大きな変更はヒロイン・エレンの設定でしょう。エレンはまったくイノセントな存在ではなく、実は結婚前にノスフェラトゥの情人であったことになっています。性的な虜になっていたと。そうなると、オリジナルやヘルツォーク版と同様にエレンは最後夜明けまで自分をおとりに、ノスフェラトゥを引き付けておくのですが、その意味がまったく変わってきますね。この改変はよいと思いますし、同じ筋を扱いながら、他の版よりもテンポよく見せてくれるのは現代的というべきか。また、ウィレム・デフォーがフォン・フランツ(ヘルシング教授に相当)役として、存在感を見せているのもうれしいし、エレン役のジョニーデップの娘さん、リリー=ローズ・デップさんも非常によかったと思います。

bangaro



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