木曜日, 6月 5, 2025
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ホームマーケティングドリルの穴の自立支援~どれだけご利用者様の心が動いたかを問う~黒子ホームヘルパーのひかり

ドリルの穴の自立支援~どれだけご利用者様の心が動いたかを問う~黒子ホームヘルパーのひかり

🧠 概要:

概要

この記事では、介護支援における自立支援の重要性と、その背後にあるご利用者様の心の動きを考察しています。「やってもらう幸せ」から「自分でできる幸せ」への移行を促すことが真の支援であり、利用者自身の選択と納得感を重視する姿勢の必要性が強調されています。

要約(箇条書き)

  • 介護の現場で「やってもらって嬉しい」という受動的な満足から、能動的な「自分でできて嬉しい」ことが重要。
  • 自立支援はご利用者様の心を動かし、能動的な行動を促すための架け橋である。
  • 例として、利用者が自分でできることを増やしていくことで、笑顔や自信が芽生える様子が描かれている。
  • 自立支援は行動の変化だけでなく、心の理解と感情の変化を見逃さないことが大切。
  • マーケティングの観点から「ドリルが欲しいのではなく、ドリルで開ける“穴”が欲しい」考え方が示され、利用者の真の望みを理解する重要性が強調される。
  • 自立支援が成功するためには、利用者が自ら選択したくなる環境を整えることが重要。
  • 人は心が動いたときに行動が変わりやすく、支援者はその瞬間を見逃さずに寄り添う必要がある。
  • 支援のプロセスは、内発的動機づけを促し、安心感を持たせることが重要。
  • 本当の自立支援は、利用者と支援者がともに歩む関係の構築にある。
  • 支援者は、利用者が「いらなくなること」を恐れず、共に成長する姿勢を持つべき。

ドリルの穴の自立支援~どれだけご利用者様の心が動いたかを問う~黒子ホームヘルパーのひかり

黒子ホームヘルパーのひかり

2025年6月3日 11:20

“やってもらう幸せ”から“できる幸せ”へ。心は動いているか?

 介護の現場では、ご利用者様が「やってもらって助かった」「ありがたい」とおっしゃる場面によく出会います。けれども、本当に目指すべき姿は、その先にあります。「やってもらって嬉しい」から「自分でできて嬉しい」へ——。

支援とは、受動的な“満足”から、能動的な“誇り”へと繋ぐ橋渡しでもあります。そしてそれはご本人様の心も動いているかが重要です。

 たとえば、あるご利用者様。最初は「全部やってもらえるから楽でいい」とおっしゃっていました。ヘルパーはお手伝いさんだから、何でもやって貰えばいい、という感覚でいらっしゃいました。 ところが、日々の関わりの中でほんの少しでもご自身でできることが増えるたびに、笑顔が変わっていきました。「自分で洗えた」「自分で片づけられた」「やってもらわなくても大丈夫になった」そのたびに見せてくれる、自信に満ちた表情。それは、“できる幸せ”に目覚めていく姿でした。 支援とは、ご本人様の「できること」を増やしながら、同時に「心の納得感」を持って頂くことです。それを成してこそ、私たちがご利用者様と向き合う意味が生まれるのかもしれません。

 この記事では、マーケティングで言うところの、「人はドリルが欲しいのではなく、ドリルで開ける“穴”が欲しいのだ」からヒントを得て、「自立支援=動作=心が動く」という視点を、読者の皆さんと共有したいと思います。「できる/できない」にとらわれず、その人がどう感じ、どう納得し、どう選び取っていくのか——その旅路にこそ、自立支援の真価があるのではないでしょうか。

第1章:自立支援とはなにか

 ホームヘルパーの仕事において、自立支援は大切な使命の一つです。けれども、自立支援を「行動の変化」や「介助の縮小」といった“見える成果”だけで語ってしまうと、ご利用者様の心の動きや、理解の過程を見逃してしまうことがあります。 あるご利用者様が、夜間のトイレに行くためにポータブルトイレを使うことになったときのことです。初めは抵抗があり、何度説明しても「結構です」と断られました。でも、ある日私が少し笑いながら、「夜のお散歩コースにしては、ちょっと距離が長すぎますよね」と冗談まじりに言ったとき、その方はクスッと笑ってから「そうか…それもそうね」とつぶやかれました。翌日には自分から「ポータブル、ちょっと使ってみようかしら」とおっしゃいました。

 この「そうか…それもそうね」の一言に、自立支援の本質があると私は思います。人が「やってみよう」と思える瞬間には、必ず“心の動き”があります。そしてその心の動きは、誰かの強制や指示ではなく、「納得する」瞬間にしか生まれません。
 つまり、自立支援とは「相手の行動を変えること」ではなく、「相手が自ら選びたくなる土壌を耕すこと」なのです。

 そういった意味では、ホームヘルパーができるのは、道具を整えることや情報を伝えることだけかもしれません。でも、その一つひとつの言葉や関わり方が、ご利用者様の“納得する瞬間”に繋がります。

 ”納得する”はひとつの尊厳です。
身体の自立が心の尊厳を伴って広がるように感じます。

第2章:ドリルの穴を見失わない支援

「人はドリルが欲しいのではなく、ドリルで開ける“穴”が欲しいのだ」 マーケティングの世界で有名なこの言葉は、実は介護の現場にも通じる真理を含んでいます。 ヘルパーの支援もまた、「ドリルを提供する」だけでは不十分で、その先にある「穴」——つまりご利用者様が本当に望む暮らしや感情の変化、生活の自由に目を向けることが求められているのではないでしょうか。 たとえば、「自分でトイレに行けるようになる」ことを目標に、排泄介助の回数を減らす取り組みを行ったとします。そこで私たちが「トイレに行けるようになった=自立した」と考えてしまうと、大切な視点を見落とす危険があります。 本当にその方が望んでいたのは「夜間に安心して眠れること」だったかもしれません。あるいは「自分で決めて、自由に行動したい」という思いだったかもしれない。そこに気づかないまま「自立支援に成功した」と報告書を書くのは、ドリルの提供だけで終わってしまっている状態かもしれません。 陥りがちな落とし穴は、「支援方法=目的」としてしまうことです。「歩行練習をしたからOK」「入浴を見守りに変えられたから進歩」と、方法そのものが目的化してしまうと、ご利用者様の真の願いからズレてしまいます。 マネジメントの視点でも同じです。目標管理や記録評価をするうえで、「何ができたか」というチェックボックスにばかり目が向いてしまうと、その背後にある“なぜそれを望むのか”という問いが抜け落ちてしまいます。

 ご利用者様にとっての“穴”は、一人ひとり違います。ある人にとっての自立は「もう一度、自分の好きな料理を作ること」かもしれませんし、別の方にとっては「誰にも迷惑をかけずに過ごしたい」という静かな願いかもしれません。

 だからこそ私たち支援者は、つねに「これはドリルではなく、穴を支援できているか?」という視点を持ち続ける必要があります。支援の方法がどんなに整っていても、それが“心の穴”につながっていなければ、ご利用者様の納得や満足、心の動きにはつながりません。ドリルを使っている途中で、「自分は何のためにこの作業をしているのだろう?」とご利用者様が疑問を持ってしまえば、継続も達成も難しくなります。

 自立支援とは、ドリルの使い方を教えることではなく、その人が「こういう穴を開けたい」と自分で気づき、選び取っていくプロセスを支えること。その視点を忘れないことが、支援者としての姿勢であり、信頼を築く土台になるのだと感じます。

 ケアプラン、訪問介護計画書を熟読し、咀嚼しながら、常にご利用者様の変化に敏感でありたいです。“これは穴につながっているか”と自問しながら、変化の兆しに寄り添っていきたいと感じています。

第3章:心が動くとき、人は変わる

 人は、理屈だけでは動きません。
頭でわかっていても、心がついてこなければ、一歩を踏み出すことは難しいものです。逆に言えば、心が動いたとき、人は驚くほど柔軟に変わることがあります。支援の場で何度も目にしてきたのは、そうした“心の変化”の瞬間でした。

 あるご利用者様は、「自分で歩くのはもう怖い」と言って、立ち上がることすら拒まれていました。私たちは何度も「安全に配慮します」「手すりもありますよ」と説明しましたが、その都度「無理です」と首を振られてしまいました。 ところがある日、その方が好きだった昔の演歌の話をしていたとき、ふと「この曲、玄関のカセットテープにあるかしら」とおっしゃったのです。「じゃあ、一緒に玄関まで見に行きましょうか?」と声をかけると、驚いたことに、その方はすっと立ち上がって、私の肩を支えに歩き出しました。 私たちは“歩行練習”として何度も試みたことが、このときは“音楽を聴きたい”という思いと結びついたことで、ご本人の中で意味を持ち、行動につながったのです。

 このように、自立支援の鍵は「行動の練習」ではなく、「行動の意味づけ」にあります。

意味があると感じられたとき、やってみたいという気持ちが芽生え、その気持ちが自らの行動を後押しします。これが、いわゆる“内発的動機づけ”です。支援者がいくら「こうしたほうが良い」と説明しても、それが相手の内側から出た気持ちでなければ、真の自立にはつながりません。だからこそ、私たち支援者には、ご利用者様の“心の動く瞬間”を見逃さず、その芽を育てていく姿勢が求められるのです。 また、心が動くためには、「わかってくれる人がいる」という安心感も不可欠です。誰かに寄り添われ、自分の話を真剣に聴いてもらえる経験があってはじめて、人は新しい一歩を考えられるのだと思います。マニュアル通りの言葉や支援だけでは、心は動きません。

日々のささいな会話、雑談、冗談——そうした“余白”にこそ、心を通わせる種があります。そしてその種が芽吹いたとき、ご利用者様は“やらされる”のではなく“やってみたい”という感情を持ってくれます。

 自立支援とは、行動を変えることだけではなく、「その人の心がどう動くか」を丁寧に見つめ、共に揺れながら歩んでいくプロセス。
どんなに些細な一言にも耳を傾け、笑顔の奥にある本音を感じようと努めています。人は、心が動いたとき、本当に変わるのではないでしょうか。

第4章:自立支援とは、“いらない”を怖がらないこと

 ホームヘルパーの仕事は、突き詰めれば「自分の仕事がなくなる」ことを目指す営みです。この矛盾にも似た構造は、支援者にとって時に複雑な感情を呼び起こします。 ご利用者様ができなかったことをできるようになり、ひとつずつ私たちの介入が不要になっていく。それは支援の成果であり、喜ばしいことのはずです。けれど、心のどこかに「もう必要とされなくなるのでは」という寂しさや不安を覚えることはないでしょうか。実際、「ありがとう、もう大丈夫」と言われて、誇らしさと同時にぽっかりとした気持ちになることがあります。ここで私たちが立ち止まって考えるべきなのは、「支援が不要になる=関係が終わる」ではない、ということです。本当に意味のある支援とは、ご利用者様が「自分でやってみよう」「自分で選ぼう」と思えるようになるまでの土台です。それが「自立支援」の本質かと思います。

  ヘルパーの関わりが終わっても、ご利用者様が次の誰かとつながり続けられるように、自立を“孤立”ではなく“循環”をとらえる視点が大切なのではないでしょうか。

 私たちは、一時的なサポーターかもしれません。けれど、その一時がその人の人生において意味を持つ時間であったなら、それは決して“不要”だったわけではありません。そして、その人が自ら歩き出す姿を後ろからそっと見送る——それは、この仕事の静かで力強さでもあります。“いられなくなる”ことを怖がるのではなく、“いらなくなるまで”をどう誠実に関わるか。

それこそが、支援者としての成熟であり、喜びなのだと、私は受け止めています。

第5章:ともに歩くということ

 私たちは、ご利用者様を「支援する人」として寄り添いながらも、いつしか「ともに歩む人」、「背中を見せて頂いている人」になっていくのかもしれません。
堂々たる先輩の背中に私がついて行く——そんな感覚があります。

 日々の支援の中で教えられるのは、技術や知識以上に、「人が人と向き合うとはどういうことか」という問いです。弱さを見せてくれること、気持ちを打ち明けてくれること。

そのすべてが、“生きる力”のかけらのように、胸に響きます。

 “自立”とは、「誰の助けも借りない」ことではなく、「必要なときに助けを求めながら、自分の人生を選んでいく力」だと思います。その道のりに、少しでも伴走できること。それが、私がこの仕事を続けたい理由です。たとえ一緒に歩く時間が短くても、たしかに心がふれあったという記憶は、ずっと残ります。だから今日も、私は靴を履いて、ひとりの人生と向き合いに行きます。その方が歩きやすいように、すぐそばで、でも少し後ろから——

ともに歩く、そのひとときを大切にしながら。

◼️おわりに◼️

 “やってあげる”から“引き出す”へ。それは、介護を“作業”から“対話”に変える力を持っています。

 ご利用者様の中にある「できる力」を信じ、見守り、引き出す——そして、ご本人様が納得感を持って、次を選びとる—— そんな関わりが、“自立”という言葉の本質に近づく一歩だと思います。「失敗したらどうしよう」「もう歳だから無理よ」そんな不安の中で一歩を踏み出すには、支援者が“真剣なまなざし”で接することが欠かせません。「大丈夫、失敗しても一緒に考えましょう」そう伝えられる関係があって初めて、ご利用者様は“できる幸せ”に向かって挑戦できるのです。ご利用者様が「自分でできる」ことの喜びを感じるとき、私たちはようやく「支援者」ではなく、「応援者」になれるのかもしれません。ご利用者様の心の動きに敏感なヘルパーでありたいです。 最後まで、ご閲覧ありがとうございました!

スキや、コメントをお待ちしてます☺️

黒子ホームヘルパーのひかり

※こんにちは😃日々、ご利用者様に「生きる」魔法をかけて頂いてます。※皆様に肩の力を抜いて頂ける様な記事を書きたいです。※記事の事例は実際とは異なります。※どうぞ宜しくお願い申し上げます☺️



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