ドイツのメルツ新首相は9日、ブリュッセルで欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会のフォンデアライエン委員長らと会談した。トランプ米大統領が各国との貿易交渉で、米国に有利な条件を強いる中、メルツ氏らは欧州連合EUとして結束した対応をとる方針を改めて強調した。
メルツ氏は記者会見で、8日にトランプ氏と電話会談し、欧州の立場を伝えたと明かした。ドイツが個別に米国と貿易交渉することは、「貿易問題では他の加盟国と一致団結して行動することしかできず、不可能だと説明した」という。
メルツ氏は、電話会談でトランプ氏がこうした事実を理解し、受け入れたとの印象を語った。また「私の見解では、この貿易戦争をエスカレートさせるのは得策ではないと伝えた。ゼロ関税が最善というのが私の強い信念だ」と述べた。

米トランプ政権のナバロ上級顧問(貿易・製造業担当)は、EUとの通商協定での合意は優先事項の一つだとしている
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トランプ氏は8日、英国との貿易協定枠組みでの合意を、他の国々との合意形成にも突破口を開く画期的な成果だと自賛したが、EUとの交渉はほとんど進展していない。EUは、妥協点が見出せない場合、米国産品に報復関税で対抗する考えだ。

ブリュッセルで会談したドイツのメルツ新首相(左)とフォンデアライエン欧州委員長(5月9日)
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メルツ氏との会談後、フォンデアライエン氏は別の記者会見で、トランプ氏との貿易協議のためワシントンを訪れるのは、具体的な提案が提示された場合に限ると述べた。
フォンデアライエン氏は「ホワイトハウスを訪れる場合、議論できるパッケージを用意したい。それは具体的で、両者が合意できる解決策でなければならない。現在その作業を進めている」と語った。
原題:EU Tells Trump: No Side Deals or Shortcuts on Trade Negotiations(抜粋)
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