アメリカのドナルド・トランプ大統領が導入した相互関税により、特に中国で生産される製品は大幅な値上げをせざるを得ない状況に陥っています。ボードゲーム業界からも事業が成り立たなくなるという声が上がっているのですが、新たな調査で業界の4分の1が「ボードゲームの製造を完全に中止する」ことを検討していることが明らかになりました。

How President Trump’s Tariffs on China Will Impact Board Game Publishers and Designers — Cardboard Edison
https://cardboardedison.com/tariffs


Trump tariffs could mean 25% fewer board game publishers | Polygon
https://www.polygon.com/news/558274/trump-tariffs-board-game-survey-cardboard-edison-quarter

ボードゲームデザイナー向けのリソースをまとめるCardboard Edisonが、トランプ大統領が導入した相互関税がアメリカのボードゲーム業界に与える影響を調査しています。

アメリカのボードゲーム出版社の中で、製造施設を持つ出版社は少なく、ほとんどの出版社は中国でボードゲームの製造を行っています。ボードゲーム出版社にとって、中国は数十年にわたって最も手頃な製造地だったそうです。また、ボードゲーム出版社の多くは薄利経営で、供給の大部分を流通会社に約2倍の利益率で販売しています。そのため、間接費に加えて高額な関税をまかなう余裕はほとんど残っていないとのこと。

Cardboard Edisonはアメリカのボードゲーム出版社に対して直接、トランプ関税の影響どのように考えているのか聞き取り調査し、レポートをまとめています。Cardboard Edisonはボードゲーム出版社に対して、「アメリカが中国に対する104~125%以上の関税を維持した場合、貴社のアプローチはどのように変化しますか?」と質問しました。なお、この調査中にトランプ政権が中国に対して課す相互関税は145%にまで上昇しています。

回答したのは62社のボードゲーム出版社で、このうち52社が常に中国でボードゲームの製造を行っていると回答し、9社が時々中国でボードゲームを製造すると回答しました。なお、残りの1社は中国でボードゲームを製造したことがないと回答しています。そのため、レポートに含まれるのは中国でボードゲームの製造を行う61社の回答のみです。

Cardboard Edisonは各社がリリースしているボードゲームの数に応じて出版社を3つのカテゴリに分類しています。リリースタイトルの数が10タイトル未満の場合は「小規模」(37社)、10~49タイトルの場合は「中規模」(20社)、リリースタイトルが50タイトル以上の場合は「大規模」(4社)です。

以下は、トランプ関税の影響でボードゲームを値上げするか否かに関する回答をまとめたグラフ。90%が値上げすると回答しており、5%が未回答、残り5%が価格は据え置きになるか下がると回答しました。出版社の規模に関わらず、あらゆる出版社がボードゲームを値上げすると回答しています。


Brotherwise Gamesのクリストファー・オニール氏は、「関税下において、ゲームの価格を上げずに済む未来はないと思います」と語っています。

また、複数の出版社が生産拠点を中国以外に移転しても、値上げは避けられないと語っています。その理由は簡単で、中国の生産コストが他の地域よりも圧倒的に安価であったためです。なお、中国以外の地域でボードゲームを製造していると回答した出版社でさえ、トランプ関税の影響で値上げせざるを得ないと言及しています。

Catastrophe GamesValor Mountain Gamesのティム・デンシャム氏は、「私のゲームはほぼすべてアメリカで製造されています。しかし、紙はカナダ、インクはアジアから輸入されているため、関税の影響を受けます。この業界では関税を避けることはできません」と語りました。

さらに、ボードゲームの発行部数に関する回答をまとめたのが以下のグラフ。調査対象となった出版社の約3分の2が、トランプ関税が続く場合、ボードゲームの発行部数を減らさざるを得ないと回答しました。18%は「わからない」と回答しています。


この理由は、関税の導入により、出版社は発注時に追加の税負担をカバーするためにより多くの現金を手元に残しておく必要が出てくるためです。そのため、手元資金の余裕がないと、大量製造が難しくなるというわけ。一部の出版社はボードゲームを流通システムに販売することで得られる利益率が低いため、「ビジネスとして成り立たない」とまで述べています。

また、一部のカテゴリのボードゲームはトランプ関税により急激に数が減少することが見込まれます。製造コストが低く、利益率が高いカードゲームはトランプ関税下でも出版社にとって依然として魅力的な商品であり続ける可能性が高いです。しかし、高価な部品を大量に必要とするダイスゲームなどの魅力は劇的に低下すると指摘されています。

調査では、家族向けのボードゲームを制作すると回答した出版社は19%減少し、入門者向けのボードゲームを制作すると回答した出版社は33%減少、テーマ別のゲームを制作すると回答した出版社は36%減少、ダイスゲームを制作すると回答した出版社は41%減少、トランプ関税下でもボードゲームを製造すると回答した出版社は23%減少しました。小規模の出版社から大規模の出版社まで、ボードゲームの製造を止めると回答した出版社が多く存在した点について、Cardboard Edisonは「トランプ関税は業界に大きな影響を与えるでしょう」と語っています。

中には完全に事業を撤退すると回答した出版社もおり、「ゲームの製造を続けられるかは不透明」と回答した業界関係者もいます。

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