トランプ米大統領は、目指していた政府系ファンド(SWF)の創設計画を棚上げにした。政府内で3カ月にわたり協議を続けてきたが、求めていた広範な投資の柔軟性が得られないことが判明したという。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
トランプ氏は2月、詳細な計画の策定を指示する際、「世界最大級」の政府系ファンドを目指すと表明。膨大な政府資産を換金して原資とし、重要鉱物分野などの戦略的プロジェクトやTikTok(ティックトック)のような企業への出資に活用する可能性を示唆した。ファンドの収益を通じて国債返済に充てる考えにも言及していた。ベッセント財務長官は当時、1年以内に運用を開始できるとの見方を示していた。
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しかし、産油国の政府系ファンドに匹敵するような巨額ファンドを創設するという構想は、法的・財政的・政治的な制約に直面。現在では優先順位が引き下げられているという。非公開の情報だとして関係者は匿名を条件に語った。そのため議会の新たな承認を必要とせず、現行の政府機関を通じて立ち上げが可能な、より簡素で限定的な投資ビークルの導入が検討されていると関係者は述べた。
トランプ氏は中東訪問中、まずは債務返済を優先すべきだと述べ、政府系ファンドの創設構想に冷や水を浴びせてた。
トランプ氏から90日以内の計画策定を指示されていたベッセント財務長官とラトニック商務長官は、今月初めに提案をまとめた。だが、ホワイトハウス当局者は内容に満足せず、最終案はトランプ氏に提出されなかったという。
ホワイトハウスのデサイ報道官は、「トランプ氏の大統領令に基づき、財務省と商務省は政府系ファンドに関する計画を策定したが、最終的な決定には至っていない」と述べた。
財務省と商務省の報道官は、この件に関するコメントの要請に応じなかった。
原題:Trump Puts Wealth Fund on Back Burner as Ambitions Hit Limits(抜粋)
🧠 編集部の感想:
トランプ大統領が政府系ファンド創設計画を棚上げすることは、彼の野心に現実的な障壁が存在することを示しています。法的・財政的制約が影響し、大規模なファンドの実現が難しいことが露呈しました。結果として、より簡素な投資手法へのシフトが求められる状況は、今後の政策に新たな課題をもたらすかもしれません。
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