
テレビ離れが叫ばれる昨今。コンテンツの多様化とともに、視聴者の嗜好も細分化している。かつてお茶の間の中心だったテレビは、Z世代にとってどのような存在なのだろうか。
刺激を求める若者たちは、テレビに何を見出し、何を期待しているのか。「株式会社RECCOO」が運営するZ世代向けリサーチサービス「サークルアップ」の調査結果から、テレビの未来像を探る。
江頭2:50は「アウト」でも見たい!
若者の複雑な心理
同調査では、3月29日に放送された『オールスター感謝祭』での江頭2:50の芸について、学生300名にアンケートを実施。「不快感を感じた」と回答した学生は36%だった。過半数の学生は不快感を持っていないという結果から、江頭2:50氏の芸風は一定の理解を得ていると言えそうだ。
しかし、同調査で「今のテレビに江頭2:50氏の芸は適切か」と質問したところ、「適切ではない」と回答した学生が過半数を超えた。
興味深いのは、同時に「また見たい」と回答した学生も過半数を超えている点。「適切ではないが見たい」と答えた学生は33%と、もっとも高い割合を示した。この結果は、Z世代がコンプライアンス意識とエンタメへの欲求の間で揺れ動いている現状を如実に表しているとも捉えられる。
YouTubeでは満足できない
「スケール」への渇望
同調査では、テレビ番組の規制強化についても言及。74%もの学生が「違和感を感じる」と回答し、テレビの表現の自由に対する懸念を示した。また、多くの若者が、規制によって番組が「つまらなくなった」と感じている現状が明らかに。
では、Z世代はテレビに何を期待しているのだろうか。
同調査によれば、求められているのは「おもしろさ」に加え、「規模の大きさ」。YouTubeやTikTokのように、個人が発信する動画コンテンツとは異なる、スケールの大きな企画や豪華な出演者による番組は、やはりテレビならではの魅力と言えるだろう。
規制の波に呑まれた?
Z世代に“名指し”された番組たち
さて、規制によって「つまらなくなった」と感じる番組を質問したところ、以下の3番組が多くの票を集めた。
- 『世界の果てまでイッテQ』(29票)
- 『水曜日のダウンタウン』(22票)
- 『ガキ使 笑ってはいけないシリーズ』(21票)
これらの番組は、かつて斬新な企画や演出で人気を博していた。しかし、昨今の規制強化の影響を受け、以前ほどの刺激が失われたと感じる視聴者も多いようだ。皮肉にも、コンプライアンス遵守が、視聴者のテレビ離れを加速させている可能性も否定できない。
テレビの逆襲はここから始まる
巨大プラットフォームの潜在能力
とはいえ、Z世代がテレビを見限ったわけではない。彼らが求める「規模の大きさ」は、テレビの未来を切り開く鍵となるかもしれない。資金力、技術力、そして影響力……テレビという巨大プラットフォームの潜在能力を最大限に活かすことで、Z世代の心を再び掴むことも可能なはず。レガシーメディアの次なる挑戦にも期待していきたい。
『調査概要』
【調査日】2025年4月15日
【調査機関(調査主体)】サークルアップ運営(株式会社RECCOO)
【調査対象】現役大学生
【有効回答数(サンプル数)】300人
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