ソニーは、ワイヤレスヘッドフォンのフラッグシップモデル「WH-1000XM6」を、5月30日に発売する。価格はオープンで、ソニーストアでの直販価格は59,400円。カラーはブラックとプラチナシルバーの2色を用意する。
2022年5月に発表したワイヤレスヘッドフォン「WH-1000XM5」の後継機。なお、WH-1000XM6発売後もWH-1000XM5は販売が継続されるが、継続販売されてきた2020年発売の「WH-1000XM4」は販売終了となる。また、海外ではブルーのカラーバリエーションも用意されるが、発売時点では日本では導入されない。
新モデルのWH-1000XM6では、グラミー賞受賞/ノミネート歴のあるサウンドエンジニアと共創することでバランスの取れた高音質を追求。従来モデルから7倍以上の処理速度を実現したという高音質ノイズキャンセリングプロセッサーやマイク基数の増加により、世界最高クラスを謳うノイズキャンセリングも強化している。
グラミー受賞/ノミネートのエンジニアと開発段階から意見交換
サウンド面では、著名なマスタリングエンジニアと開発段階から意見交換を行なうことで、高音質を追求。協力してチューニングを行なうことでチューニングを実施して「さらなる高次元へ到達」したといい、クリエイターが届けたい高音質を実現したという。
開発で共創したのは、2024年のグラミー賞最優秀アルバム賞に輝いたテイラー・スウィフト「Midnights」を手掛けたランディ・メリル氏や、デュア・リパ「Future Nostalgia」を手掛けたクリス・ゲーリンガー氏、アリシア・キーズ「The Dialy of Alicia Keys」を手掛けたマイケル・ロマノフスキ氏、ザ・チェインスモーカーズ「Memories…Do Not Open」を手掛けたマイク・ピアチェンティーニ氏の4名。
ソニーの担当者は、同社が目標として掲げる「アーティストの意図通りに音を届ける」とは“録音された音の再現”ではなく、“作品としての完成形を忠実に再現すること”であると説明。
マスタリングエンジニアとの協業についても「音楽の最終的な聴き心地を整える、作品としての完成度を高めるのがマスタリングエンジニア。音楽の“最終調整者”で、アーティスト・クリエイターの意図をよく理解する人々の知見を採り入れることで、ソニーが理想とする音質体験に近づけると考えた」と説明した。
ドライバー口径は前モデルと同じ30mm径で、柔らかいエッジ部と軽量で高剛性なドーム部を両立したカーボンファイバーコンポジット素材を使用している点も同じだが、WH-1000XM6ではドーム部の剛性を高めるとともに、ドライバー内側のボイスコイルボビンに穴を開けた独自開発構造を新たに採用。これにより高音域の再現性をさらに高め、より滑らかで伸びのある高音域再生を実現した。
また新開発の高音質ノイズキャンセリングプロセッサー「QN3」も採用した。QN3ではD/A変換技術を発展させ、「先読み型ノイズシェーパー」を新規開発することで音質を高めたという。
ノイズシェーパー自体は一般的なものだが、WH-1000XM6では最適な量子化ノイズを先読み計算してフィードフォワード処理する「先読み型」を採用。これにより、急峻な音の立ち上がりにたいする応答性を改善し、「迫力ある低音のエネルギー感やクリアなスピード感のある音質」を実現したとのこと。
BluetoothコーデックはSBC、AAC、LDAC、LC3をサポート。ヘッドフォン側で圧縮音源をハイレゾ相当の高音質にアップスケーリングする「DSEE Extreme」にも対応した。
処理速度7倍のプロセッサ+12基マイクで“世界最高クラス”ノイキャン
ノイズキャンセリングでは、理想的なノイズキャンセリング効果を提供するオートNCオプティマイザーが「アダプティブNCオプティマイザー」に進化。1000XMシリーズ最高レベルの精度で、外部の騒音や装着状況をリアルタイムで分析し、つねに最適なノイズキャンセリングを提供する。アダプティブNCオプティマイザーではメガネや防止の有無などで変わる装着状態や、外部の環境音、気圧変化などをリアルタイムで検知する。
またヘッドフォン内側にもマイクが左右各2基ずつ追加され、前モデルから4基多い合計12基に強化された。マイクが増えたことで、より精度の高いノイズキャンセリングを実現している。内側に追加されたマイクは耳孔に近い部分に設置されており、ヘッドフォンの装着状態を検出している。
12基に増えたマイクの検知やリアルタイム処理には高性能なプロセッサーが必要だといい、研究開発・半導体設計・商品設計の3部門が協業して、上述の高音質ノイズキャンセリングプロセッサー「QN3」を新規に開発。前モデルのWH-1000XM5に採用されていたプロセッサー「QN1」の7倍以上の処理速度を誇り、ノイズキャンセリング性能の向上に貢献している。
また完全ワイヤレスイヤフォンのフラッグシップモデル「WF-1000XM5」などでも採用している統合プロセッサー「V2」も搭載した。
動画を映画館のような迫力で楽しめる新機能も
新機能として、Xperiaで利用可能だった立体音響技術「360 Upmix for Cinema」に対応した。ソニー独自のリアルタイム信号処理により、ステレオ音源を映画館で聴いているような臨場感ある立体的な音場に変換するもので、WH-1000XM6ではXperia以外の端末と組み合わせた場合でも利用可能となる。
また同じくソニー独自の立体音響「360 Reality Audio」にも対応。
通話機能では、6基のマイクを使ったソニー独自のAIビームフォーミングアルゴリズムにより、従来よりも鋭い指向性を実現。前モデルよりも口元にフォーカスした集音を実現した。
また5億サンプルを超える機械学習によるアルゴリズム「ノイズリダクションAI」も採用。周囲の環境ノイズを抑えて自分の声だけをクリアに抽出する。
LEオーディオ接続時のスーパーワイドバンドにも対応。帯域が従来の2倍になり、より自然でクリアな音声で通話ができる。そのほか、本体のNC/AMBボタンを2回押すだけでマイクのON/OFFを切り替えることもできる。
本体は折りたたみ式に。ボタン周りも進化
操作ボタンはヘッドフォン左側に集約。従来モデルではノイズキャンセリング/アンビエントモードを切り替える「NC/AMBボタン」と電源ボタンが同じ縦長形状だったが、WH-1000XM6では電源ボタンを丸型にしつつ、表面から少し凹ませた形にすることで、指先の感覚だけで区別しやすくなっている。右側ハウジングはタッチ操作に対応。
筐体デザインも進化しており、前モデルでは非対応だった折りたたみが可能に。ケースもコンパクトになったほか、開閉もファスナー式からマグネットロック式になり、片手でも開閉が可能になった。
折りたたみ部分にはMIM加工を施した金属を採用した。デザイン性と精密さが求められる分野で使用されている技術だといい、高いデザインと高耐久性を両立している。
ヘッドバンドは、従来モデルから幅が広げられており、快適性と安定性が向上。後頭部側が太くなっているデザインで、装着時に左右の向きを直感的に判別しやすくなっている。
前モデルと同じく、サイズ調整後もデザインが変わらない無段階スライダーを採用。ハウジングのフィッティング調整機構の内蔵化や可動部のガタつき軽減なども行なわれている。
また前モデルは首掛け時にイヤーパッドが外側を向くように回転する仕様だったが、WH-1000XM6ではイヤーパッドが内側に回転する仕様となり、首掛けしてもファッション性を損ねないという。
バッテリー持続時間はノイズキャンセリングON時で30時間。充電しながらでも本体を利用できる「聞きながら充電」にも初めて対応している。なお同機能利用中はクイック充電/PD充電時よりも充電時間が長くなる。前モデルと同じく有線でも使用可能だが、USB-Cケーブル経由でのデジタル接続には非対応。
2台のデバイスに同時接続するマルチポイントにも対応するが、WH-1000XM5から仕様が変更されており、WH-1000XM6では再生中の機器を停止しなくても、別機器を操作すれば接続先が切り替わる「後勝ち」仕様になっている。
そのほか、アプリ「Sound Connect」からはイコライザーや、新モード「BGMモード」を使用できる。イコライザーは従来の5バンドから10バンドとなり、より自分好みのカスタマイズが可能となっている。新モードのBGMモードは、音源が遠くから聴こえるように感じられるモードで「別の作業をしながらのリスニングに最適」だという。
ソニー新ヘッドフォン「WH-1000XM6」登場
🧠 編集部の感想:
新しい「WH-1000XM6」は、音質追求とノイズキャンセリングの技術が進化したことが印象的です。特にサウンドエンジニアとの共同開発による高音質は、音楽愛好者にとって大きな魅力です。価格は高めですが、その価値は十分にありそうですね。
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