ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、世界的な高インフレや為替変動などの厳しい経済環境を背景に、ヨーロッパやオーストラリア、ニュージーランド、中東やアフリカ(EMEA)においてPlayStation 5(PS5)の希望小売価格を引き上げると発表しました。この価格改定は2025年4月14日から適用されます。
PS5 price to rise in Europe, Australia and New Zealand – PlayStation.Blog
https://blog.playstation.com/2025/04/13/ps5-price-to-rise-in-europe-australia-and-new-zealand/
Sony raises PlayStation 5 prices in Europe, UK
https://www.cnbc.com/2025/04/14/sony-raises-playstation-5-prices-in-europe-uk.html
PS5 price rises substantially in UK and Europe | The Verge
https://www.theverge.com/news/647869/sony-ps5-price-rise-uk-europe-australia-new-zealand
対象地域ごとの新しい価格は、ヨーロッパではPS5デジタルエディションが499.99ユーロ(約8万1500円)、イギリスでは429.99ポンド(約8万3200円)となります。オーストラリアでは、Ultra HD Blu-rayディスクドライブ搭載の標準モデルが829.95オーストラリアドル(約8万3500円)、デジタルエディションが749.95オーストラリアドル(約7万5400円)に設定されます。また、ニュージーランドでは、標準モデルが949.95ニュージーランドドル(約8万7000円)、デジタルエディションが859.95ニュージーランドドル(約7万8800円)となります。
値上げ前と値上げ後を比較した表が以下。
製品 | 地域 | 値上げ前 | 値上げ後 |
---|---|---|---|
PS5 デジタルエディション |
イギリス |
389.99ポンド (約7万4652円) |
429.99ポンド (約8万2217円) |
オーストラリア |
649.95オーストラリアドル (約6万4725円) |
749.95オーストラリアドル (約7万4569円) |
|
ニュージーランド |
769.95ニュージーランドドル (約7万6959円) |
859.95ニュージーランドドル (約7万8981円) |
|
ヨーロッパ |
449.99ユーロ (約7万3424円) |
499.99ユーロ (約8万1433円) |
|
PS5 標準モデル |
オーストラリア |
799.95オーストラリアドル (約7万9502円) |
829.95オーストラリアドル (約8万2533円) |
ニュージーランド |
899.95ニュージーランドドル (約8万2594円) |
949.95ニュージーランドドル (約8万7210円) |
|
PS5用外付けディスクドライブ |
イギリス |
99.99ポンド (約1万9125円) |
69.99ポンド (約1万3388円) |
オーストラリア |
159.95オーストラリアドル (約1万5767円) |
124.95オーストラリアドル (約1万2433円) |
|
ニュージーランド |
169.95ニュージーランドドル (約1万5606円) |
139.95ニュージーランドドル (約1万2852円) |
|
ヨーロッパ |
119.99ユーロ (約1万9567円) |
79.99ユーロ (約1万3042円) |
ただし、Ultra HD Blu-rayディスクドライブ搭載の標準モデルに関しては、ヨーロッパおよびイギリスでは価格に変更はありません。また、PS5 Proの価格もすべての地域で据え置かれます。
一方で、PS5用の着脱式ディスクドライブの価格は各地域で引き下げられます。ヨーロッパでは79.99ユーロ(約1万3000円)、イギリスでは69.99ポンド(約1万3500円)、オーストラリアでは124.95オーストラリアドル(約1万2600円)、ニュージーランドでは139.95ニュージーランドドル(約1万2800円)となります。
SIEは、EMEAのうち具体的な国名が挙げられていない一部市場でも価格改定が実施される可能性があるとして、各国の販売店やPlayStationの直販サイトで確認するように呼びかけています。
経済メディアのCNBCは、SIEがPS5の価格を引き上げた背景として、インフレや為替変動といった経済的要因に加えて、アメリカのトランプ大統領が発表した「相互関税」の影響にも注目。180カ国以上に及ぶ関税政策の発表は金融市場や為替市場の不安定さを招いたとし、それが価格改定の一因である可能性を示唆しています。
トランプ大統領が相互関税導入を発表してハイテク業界に大打撃、Apple・Amazon・Meta・NVIDIA・Alphabet・Microsoftの株価が急落 – GIGAZINE
加えて、SIEがすでに2022年や昨年にも日本で価格を上げていたことを紹介し、今後アメリカでも値上げが実施される可能性があるとの業界関係者の見解も伝えています。
IT系ニュースサイトのThe VergeもSIEがPS5の価格を引き上げた背景について、単に「高インフレ」や「為替の変動」といったソニーの公式説明にとどまらず、アメリカの関税政策との関連を強く示唆しています。
PS5は主に中国で製造されていますが、トランプ政権は中国からの輸入に対して145%という非常に高い関税をかけました。スマートフォンやノートパソコンなど一部の製品は関税対象から除外されたものの、ゲーム機は除外されていません。そのため、SIEにとってはアメリカ市場でのコストが大幅に上昇しており、それが将来的な価格引き上げにつながる可能性があるとThe Vergeは見ています。
今回、SIEはアメリカでのPS5価格を据え置いたまま、ヨーロッパ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドでのみ値上げを実施していますが、The Vergeはこれについて「他の地域で先に価格を上げておくことで、アメリカでの値上げを緩やかにする布石ではないか」と分析しています。つまり、アメリカという重要な市場での急激な価格上昇を避けるために、他地域で先に調整した可能性があるというわけです。
また、今回の発表では2022年の値上げ時と異なり、「アメリカでは値上げしない」と明言されていません。さらに、PS5のデジタルエディションが特に大きく値上げされていること、そしてディスクドライブ搭載モデルやPS5 Proは地域によって据え置かれている点などから、The VergeはSIEが製品ラインごとに戦略的に価格調整を行っていると見ています。
この記事のタイトルとURLをコピーする