🧠 あらすじと概要:
あらすじ
映画『ソウルフル・ワールド』は、ニューヨークでジャズ・ミュージシャンを夢見る音楽教師ジョーが、夢が叶う直前に不運にもマンホールに落下するところから始まります。彼が迷い込むのは、魂たちが人間として生まれる前に自分の姿を決めるための世界。そこで出会ったのは、何百年もその世界にとどまる「22番」という魂。家に戻るために協力を求めるジョーと、義務感なく生きることを楽しむ22番の冒険が展開されます。二人が見つける「人生のきらめき」とは何かが物語の中心テーマとなります。
記事の要約
感想文では、物語の美しさや深いメッセージに焦点を当て、平凡な日常の中に潜む「きらめき」を見つけることの大切さが強調されています。特に、ジョーが演奏する夢を叶えた後の倦怠感や、22番から受けた影響によって彼が日常の美しさを再発見する過程が印象的です。また、夢を追いかける中で視野を広げ、人生のささやかなことに気づくことが重要であるというメッセージも伝わります。最終的には「あなたにとってのきらめきは何か?」という問いが残り、観客自身がそれを考えるきっかけを提供している点が魅力的です。
感想
・綺麗な物語
リアルというより綺麗なものは心地が良い夢を見れるよね、とも思った。物語の中盤で、ジョーに乗り移った「22番」は、ピザ、飴、ベーグル、通気口からの風など、ジョーの言う「ただの生活」に感動し、生きる意味を見出します。それを見ていたジョーも、木漏れ日、木から落ちる種子、そよ風など、平凡な生活の中にも「新鮮な何か」を見出すようになりました。物語の後半で、ジョーはジャズ・クラブで演奏する夢を実現します。しかし、その達成感はジョーが思ったものとは違ったため、喪失感のようなものを感じます。それは平凡な生活に戻ることへの倦怠感のようなものにみえる。
最終的には主人公自身のジャズピアニストという夢より22の気付きである“人生のささやかなこと”を優先させる。その後、ジョーは自宅の扉を開け「一瞬を大切に」 と自ら言い、深呼吸をして物語は幕を閉じました。
人生ってそれ自体が素晴らしい、みたいなことは、一見美しい。映画「セッション」や「万引き家族」とかのほうが綺麗だけじゃない現実を描いてるように思うので、この作品にたいしては、「綺麗な物語だな」というのが最初に思ったこと。
・描写が美しい。一人称の視点のところとか特に。忘れがちな今この瞬間を描く。ふっといつもの毎日が新鮮に感じられることはたまにあり、その時の美しさの再現性が高いなと感じた。生まれる前の世界にいるテリーとかジェリーのジョアン・ミロっぽい二次元の線の造形も面白い。あと、船の帆がサイケっぽい柄でヒッピーも少し感じた。
・一番のメッセージ性生きる意味など必要ない。きらめきは生きる意味ではない。生きる意味を求めると人は詰む。
きらめきは必ずしも生きる意味ではない。
きらめきを求めて。人生のきらめきは人によって違う。
夢を追いかけることもまた一つの人生だし、幼少期の頃の自分だけの宝箱を作るようなことも一つの人生。なににきらめきを感じるからそれぞれに違っていて、そこにはただ人生があるだけなのだと思う。
・最後の台詞の「精一杯日々を生きるよ」というセリフから。
「人生のきらめきは些細な日常に隠れているよ」と伝えているというより、「あなたにとってのきらめき」はなんだろうねという問いを残したようにも思えます。
・物語の後半で、ジョーはジャズ・クラブで演奏する夢を実現します。しかし、その達成感の後明日も同じことをやるのよと言われたた時に、「これじゃない」感を漂わせているシーン。それは平凡な生活に戻ることへの倦怠感のようなものにみえる。そこから這い上がる為に浮かんだ彼のキラメキは22番と共に過ごして気付いた日々のささやかなものを見逃さないということ。それはジョーの答えであり、ではあなたは?という問いが残っている。
・22番からのきっかけや、魚の例え話を聞いて、「音楽をやる」ということは、もう既にこれまでの人生で達成し、楽しめているということを理解したのではないかと思ったのと、地に足をつけることを忘れてはならないし、そこにある充足感を忘れてはならないということをジョー自身は感じたのではないのかなと思った。
・最終的には主人公自身のジャズピアニストという夢より22の気付きである“人生のささやかなこと”を優先させる。互いに影響を受け合う存在である。
・視野を狭めないこと。外側に常に出ること。囚われないこと。
夢を追いかけるあまり足元がみえなくなる。ジョーがリサイタルを終えて、でもこんな感じなの?と「これじゃない」感を漂わせているシーンは今までジャズの世界にしか意識がなかった証拠で、ある意味で囚われ、視野が狭くなっていたと思う。
自分で自分にプレッシャーをかけすぎないこと、普段の何気ない感覚を研ぎ澄ますことは大切。
・今までと少し違うことをするだけでも見える世界は代わる
ジョーは物語の中盤、猫になってみて、俯瞰して自分(中身は22番)をみることになる。母との関係や美容室での関係、自分が今までのままだったら起こらなかったことが沢山起こる。それによって、閉ざされてた世界が少しずつ新しい世界へと繋がっていく。ジョーに乗り移った「22番」は、ピザ、飴、ベーグル、通気口からの風など、ジョーの言う「ただの生活」に感動し、生きる意味を見出します。それを見ていたジョーも、木漏れ日、木から落ちる種子、そよ風など、平凡な生活の中にも「新鮮な何か」を見出すようになり、通行証を手に入れる。などが大まかな感想です。テーマ性や絵のタッチ、ジャズミュージックは心躍ったな〜。
他の人の批評も面白かったのでインタビューと共にリンクを貼ります。
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